1987年発売
由緒ありげな住まいで、お妙様とも春香院様とも呼ばれる由緒ありげな女が殺された。これまた由緒ありげにも、現場には小倉百人一首の読み札が落ちているだけで、目星は皆目つかない。怪事件、難事件となると、普段は腰の重い“ゆっくりの旦那”こと八丁堀同心・若月雨太郎の探索心にも火がついて…(しかぞ住む)。江戸の市井を舞台に男と女が生み出す事件の数々を人情味豊かに描く好評時代推理シリーズ。
地球の闇の世界と死を賭した闘いを繰りひろげた千夏響と竜造寺悟らエクソシストたちは、地球の危機を救うべく“神界域アガシュ”へとさらなる旅に出発した。一行は暗黒の魔手によって、かけがえのない2人の仲間、ウィスパリング・スカイとリゼロッテを失った。だが、光の洗礼を受け霊人となった響は、宇宙船セグを駆って意識ホールへと突入していった…。
長期間、レース界から遠ざかっていたトヨタは遂にレース復帰を決意した。世界のビッグメーカーにのしあがったトヨタだが、なぜか技術面の評価は低く、新たな世界戦略に総力を結集することになったのだ。北米でのカンナム・シリーズ、常勝ポルシェ、マクラーレンに対抗するのは、10年前、悲運にもデモ走行だけに終ったトヨタ7にターボを積載したニューマシーンだった…。長篇本格カーレース小説第5弾!
視床下部から航宙刺激ホルモンを分泌し、超光速航行を可能にした人類で唯一の存在、“脳”。“大闘争”の後滅亡した人類に代って、Brainより無数に生み出されたクローン脳“脳”は、“船”を操り背面世界を非対称航行する。そして超未来、クローンの“脳”に異常が発生した。このままでは航行自体が不可能となり、背面世界で2度めの終局を迎えることになってしまうが…。超未来史を描く究極のSF巨篇第1巻。
典型的な短篇型のもの書きであるぼくの作品の中でも、ことに短いものばかりを集めてあります。長いものでも400字詰原稿用紙20枚強、短い作品では4、5枚などという超ミニ・ストーリーのオンパレードです。あらためて読みなおし、われながら、よくもまあ、この短さで小説が書けたものだと半ばびっくりし、半ば感心しているしだいです(あとがき)。シリアス、ハチャハチャとり混ぜて37篇、乱れ射ち!
リンゴの白い花がほころぶ北国の遅い春。ねぶた祭りと共に過ぎ去る短い夏と一面紅葉の秋。そして雪に覆われた長い冬。鮮烈な四季の移ろいを背景に、十和田湖、恐山、竜飛崎など胸せまる北のさい果ての絶景に木霊しあう、住民と旅人たちの哀愁の犯罪交響曲。-海渡英祐・斎動栄・夏堀正元・草野唯雄・楠田匡介・赤石宏・高木彬光らが奏でるミステリー北帰行。魅力のミステリー紀行シリーズ第17弾!
ピアニスト、リロイ・ジョーンズ。彼の指には才能がある。私はそれを知っていたし、それがこわかったのだ。2年前に捨てたあの男、私の奴隷であった男のために今、愛と快楽の奴隷になろうとするルイ子。リロイの奏でるジャズ・ミュージックにのせて描く、愛と復讐の物語。
ー優しさに込められた惨酷、惨酷に秘められた哀しみー少女から女へと華麗な変身をとげる美しくも多感な蝶たちの青春。好奇心ではなく欲望を、少年ではなく男を愛することで、美しい女友達の枷から逃れようとする心の道筋を、詩的緊張を込めた文体で描く。第96回芥川賞候補作。
恋する女のために南米で働いた。その金はすべてロンドンの女の口座に振り込んだ。3年。結婚しようと帰って来た霧の都に、女はいなかった。金も消えていた。裏切られた恋。酔いつぶれてテムズ川岸に寝ていたマシューの前に、不思議な女が現われた。これは夢かー。次々に襲ってくる危機の連続と悪党の数々。やがては名作『死にゆく者への祈り』を生むヒギンズの大都会陰謀サスペンス。
夫の単身赴任中に売春で摘発された妻。企業戦士の留守宅を守る若妻たちが陥る甘美な不倫の調査に乗りだした総務部長の乗木広明。彼はイラン出張中の社員の妻伊穂子の不審な動きから、イ・イ戦争の中、石油利権獲得に暗躍する産業スパイとそれを操る黒幕・沢井の策謀を察知する。石油戦争の渦中に飛びこんだ乗木が極秘で指令された夜の管理職とは…そして乗木を襲う黒い罠から彼を助ける謎の男は…?
タロット占いの二階堂日美子は、友人の皆川昭子の家に招かれたが、昭子は何者かに刺し殺されていた。彼女は生前不倫をしていたらしい。数日後、「値打ちを調べて欲しい」と、殺された昭子から一枚のタロットカードが届いた!ダイイング・メッセージか?調べてみると、そのカードはそろいで1億円するという歌麿のものらしい。さらに、昭子の夫・治郎の許に脅迫状が…。そして、つづいて起こる謎の連続殺人!事件を追う日美子にも黒い影が襲いかかった!大トリックを駆使し、レトロ感覚で描いた好評“日美子”シリーズ!書下ろし長編推理小説の秀作!
東京・飛島山公園の展望台で平凡な主婦・井上典子が、売店のアルバイト学生・矢部富美子に刺殺された。典子には人に怨まれるようなところはないし、富美子は東大に学ぶエリート学生だった。2人にはまるで接点がなかった。動機なき衝動殺人とみなされたが、その裏に恐るべき都会の狂気が隠されていた…《展望塔の殺人》。緑色を異常に嫌悪する男の失われた記憶とは?《緑色の死》。逃げても隠れても電話のベルが追ってくる恐怖《都市の声》。ある朝、やり手で鳴る商社の重役が黒いハイヒールを前に発狂していた《発狂する重役》。鬼才が全力投球で描いた極上品ぞろい!
北海道から東京へ、美しい女殺し屋・冴子を護送する任務を受けた若いはみ出し警官・外月と老刑事・大迫。冴子奪取を狙って迫り来る武装やくざたち。そして、女殺し屋の白い肉の魔性!危機一髪の二人の前に忽然と現われた謎の“風来坊”とは?ガン・マニアの著者が、アクションと色気の限りを尽くして描く異色の長編力作!
来日したエラリー・クイーンにもらった貴重な色紙の紛失事件。謎のダイイング・メッセージや崩せないアリバイ。…難事件、怪事件の数々を、いつもみごとに解き明かしてみせるのは、銀座にあるバー「三番街」のバーテンダーである。-犯人当てと謎解きの粋をこらして読者に挑戦する、連作本格推理。安楽椅子探偵物の傑作!
「自殺の名所」である東京近郊のマンモス団地「高村」。8月の早朝、1人の男が、植込みにうつ伏して死んでいた。男は、化粧品会社のセールスマンで、この団地の主婦層に人気があった。身分が分かると、普段はおしゃべりの団地の奥さん方が、皆、一斉に奇妙なほどに沈黙してしまった。
鎌倉光風学園高校教師・大苗吾郎は、犬語、猫語を理解できることから、犬猫先生と呼ばれている。犬猫先生は、教え子の姉の披露宴に出席。そこで出会ったもじゃもじゃ頭の初老の男は、なんと、かの名探偵・金田一耕助だった!披露宴から8日後、若妻が鐘楼から墜落死!犬猫先生と金田一探偵は…。著者初のパロディ・ミステリー!
ホーム電業の影近三兄弟。長兄は社長、次弟は副社長、末弟の宗佑は常務で、アメリカ現地法人の社長をしていた。独身の宗佑は、秘書と恋仲になり、「自分が死んだら会社の株を100株贈与する」という遺書をつくってやった。数日後、女は消え、彼は謎の転落死を遂げた!?ベストセラー『十年後』の著者が、恐怖の企業買収社会の到来を予見!
平家落人の里といわれる湯西川温泉郷の宿で、昔懐かしい映画の上映会が開かれた。新進女流講釈師・初柴あやめは、映画に登場した出演女優の奇怪な心中事件に好奇心を燃やすが、その矢先、露天風呂に浮いた同宿の女性編集者の死体!妖しく美しい蛍火祭に誘われて、謎が謎を呼ぶ…。好評書下ろしシリーズ第3弾!