1987年発売
ソ連人科学者ピョートル・アサーノフは、英国情報部員の手引きによって、西側に亡命を企てていた。音響電子工学の専門家であるアサーノフの新型ソノブイの研究に、米・英の国防筋が眼をつけたからである。彼の協力で、この新型ソノブイが完成すれば、西側は、ソ連との対潜作戦で絶対的優位にたつはずだった。折しも、ソ連のプレーリー級新型潜水艦が北の軍港ポルヤルニーを出航しようとしていた…スパイ&軍事テクノロジー小説の白眉。
すべての発端はアーマンドなる男がキャシディの家に押し入ったことだった。彼の目当ては各国のスパイの連絡先が記されたキャシディの手帳。が、アーマンドの後を追って謎の2人組が闖入、さらに同夜、20名もの武装集団が現われる。その目的は何か?キャシディはCIA幹部アリスンに探りを入れ、広大な敷地を誇るアーマンドの実家と南米のさる小国をつなぐ大規模な陰謀を察知するが…!キャシディ教授シリーズ。
元国務省の謀報員チャーリー・ブルーワーは、罠にはまり刑務所暮らしをしていた。ある日、彼にイランの謀報員が接近、保釈と引き換えに、ハイテク装置の部品を米国からイランへ密輸してほしいともちかけた。その装置を完成させれば、イランは中東を制覇できるーと。やむなくブルーワーはその危険きわまりない任務に着手した。そして、その瞬間から、米国政府とブルーワーの間に、追う者と追われる者の息詰まる攻防戦が始まったのだった…。エドガー賞作家の最新ハイテク謀略小説。
7月の夕暮れのカイロ。アラブ人テロリスト・グループが合衆国国務次官一行を襲った。が、襲撃は失敗。かわりにアメリカ人の親子マリア・マイケルズとジョーイが誘拐された。マリアはニューヨーク・マフィアのドン、パードレの一人娘だった。合衆国大統領は早速関係者を招集、事態の収拾にのりだすが、一向に進展をみない…。無能な政府に業を煮やしたパードレはついに直接行動に打って出る。部下をひきいてホワイトハウス襲撃を決定したのだ。
大阪の繁華街十三で、“ジュウサンノカク”というダイイングメッセージを残して、津軽出身の男が死んだ。一方、津軽半島の西側にある十三村に、ネプタ祭りの取材に行った三村佐知子が行方不明になり、数日後、山奥の滝壼の中で死体となって発見された。伝統的な祭り“ネプタ”を再現して、村興しをはかる若者たちと、原子力開発の利権に揺れる山村で起きた謎の殺人事件を追って、佐知子の先輩、マリリンこと朝倉麻里子は恋人の羽塚たかしと共に津軽へ…。大阪と津軽を結ぶ線上に浮かんだ、一人の容疑者を追って、麻里子とたかしの推理が冴える。書下ろし会心作。
夜更けに天麩羅を揚げて食べる隣家の活気にむせるアパートの住人たち。ナマケモノで鼻つまみの男がホトケとなり、同じアパートに住むよしみで、葬式を手伝うことになった若い夫婦の姿を鮮やかに描いた表題作ほか、淀みかかった生活の活力を描き出した短篇連作。
シチリアの貧しい家庭に育ったパスカルは、ある日故郷をとび出し、モンテカルロの賭博場で思いもかけない大金を手に入れる。郷里で偶然発見された水死体を自分と誤認された彼は、全く新しい人生を始めようと決意するが…。人間のアイデンティティ(存在証明)を根源まで問いつめた、ノーベル賞作家の代表的長篇。
すでに始まっている日本の聖戦。戦後民主主義の虚妄を暴く犯罪者たち。法政大学テロリズム研究会リーダー(22歳)が書き下ろす衝撃の監獄文学。
「心の中にいた獣がはじめて自分で疾走する荒野を見つけた!」上役の女性関係のスキャンダルもみ消し工作で出会った19歳の少年と殴り合いの死闘を演じたことで、かつて学生運動に命をかけた青春の日々が甦った!今まで眠っていた“獣”がめざめた!男の生きざまを鮮烈に描くハード・ロマン衝撃作。
スチュアート家のペットは、ばかでかい宇宙怪獣だった。その名もラモックス。ある日、彼は飼い主のジョン・トマスの留守をいいことにつまみぐいにでかけるが…。初めて目にする怪物の姿に、街はたちまち一大パニック。おちゃめでとぼけたラモックスと、ジョン・トマスが巻き起こす大騒動の頴末は?ハインラインの傑作ユーモアSF、待望の完訳。
3000坪の武蔵野の豪邸“土筆庵”を舞台に次々起こる密室殺人!数百億円の遺産と会社の実権を残し、女主人は殺された。相続人たち全員が容疑者。陰謀渦巻くなか、美貌の女刑事・鮎川阿加子は、勇躍、捜査に乗り出すが、犯人の誘いに乗せられて…。4つの密室が複雑に絡みあう長篇本格推理!そして意外な結末!
へつらいと騙し合いの文武百官のワナにおち、あるいは奸婦の毒牙にかかり罪を犯した好漢たち。少華山に朱武、桃花山に李忠が、二竜山に楊志・魯達が。ついに梁山泊に、晁蓋を首領に呉用を軍師に、林冲ら11人は義軍たる面目をかけ立ち上った!宋江・武松も登場し、往くところ風雲を呼ぶ、波乱万丈の疾風篇。
東京・新宿にある損保界名門の世紀火災海上保険は、大揺れに揺れていた。経済誌『中央経済』に、1年も前の大蔵省監査に絡んで、社内の恥部がデカデカと掲載されたのだ。「こんな記事を書かせていいのか」「なんのための広報課だ」-上層部からの理不尽な圧力に、広報課長木戸徹太郎の悩みは深まる。
権力に執着しつづける会長、その会長に追従するしか能のない、そのくせ会長を煙たがっている社長、その社長を無視して独断専行に走る常務、面子を潰された復讐心も手伝って、異常なまでにシビアな監査を行う大蔵省ー。どこか何かが狂っている企業の中で問われるミドルのビヘイビアを鮮烈に描く問題作!