1988年10月1日発売
ジェミニ星系デクストロ第二惑星で人類が出遭った種族は、カイバーと呼ばれた。全身を金色の甲殻に覆われた彼らは、言語学者・高橋恵子から恐るべきスピードで人類の知識を吸収していくが、奇妙にも自らの文化を語ろうとはしない。一方、デクストロはノヴァ化を迎えつつあった。英米SFの最前線に立つ二作家が放つ意欲的ファースト・コンタクトSF。
この物語は、墓地に逃げこんだ男の悲鳴で幕があがる。そして展開するのは魑魅魍魎の世界-たとえば、「貴様は…一体…何者だ。亀頭は震え声で叫んだ。声を出すことによって、萎縮してしまった魂をふるいたたせようとしたのだ。おれか、赤い濁った双眸から鬼火のような燐光がほとばしった。おれは地の底の闇より幾多の呪われた自我を担って地表の物質界に蘇生した魂だ。おまえのような痴愚な凡夫とは人間の種類がちがう。特殊な頭脳の持主なら、おれの背髄中に息づいている超太古の叡知を視ることが出来るだろう」というように!欲がうず巻く・性が疼く・力が暴れる-人間の胸の奥の呵嘖をゆさぶって文が跳ねる。-著者会心の長編伝奇ロマン第5巻乾の項。
箱根のホテルでアルバイトをすることになった大江星夫の仕事は、前庭でアイスクリームを売ることだった。やっと売れたアイスクリームを客がひと舐めした瞬間、星夫の面前ですさまじい苦悶の形相で死んだ。ちょうどその時、ホテルから出てきた美女が、蜂が入ったと悲鳴をあげてスカートを高くまくり上げた行為は、星夫には事件と無関係とは思えなかった。警察から釈放された星夫は、井澄晶子という美女を追及せずにはいられない気持ちで、ホテルの近所にある広大な母神教本山の安楽境に乗り込んだ。晶子の美貌に圧倒されて、怒りを忘れた星夫は、安楽境に滞在することにしたが、そこではどろどろした派閥争いから地獄のような怪事件が続発する。最後の1ページまで逆転の連続する書き下ろし長編本格ミステリー。
いつ終わるともしれない戦いを続けるマントル王朝連邦国とコア王国。ルーニ・シューイは、マントル王朝連邦国の少年空中隊員として、いつものように出撃したが、“ルシアの谷”上空で奇襲をうけてしまった。ルシアの谷に墜落してゆくルーニ。その先は敵国の領土だ。コア王国スルガール島の周辺に不時着したルーニの命を助けたのは、チェルト・フレイユというひとりの少女だった。戦いのない平和な国があるというチェルトの祖父の言葉を信じ、ふたりは第四世界へ旅立つ。ねこまんまのポチを仲間に、ふたりと一匹の旅が、今始まった。
ボクの名前はヒロユキ。高校1年。平凡な学生だったボクはある日交通事故にあってしまい、そのまま気を失ってしまった。気付くとそこはまるでみたことのない世界だった。そのうえ、ボクの意識は異世界の冒険者アドル・クリスティンと名乗る少年の体に入りこんでしまっていたのだ。魔王ダルク・ファクトに支配されたここエステリアで、ぼくはイースの本をめぐる壮絶な戦いに巻きこまれた。
ピーター・フィンレーはケーブル・テレビ局のリポーター。ジョークとウィットでは誰にも負けないニューヨーカーだ。そんな彼のところにひとりの男がやってきた。8日前から行方不明の美人テレビ・スター、ベギー・リンの前夫だという。そして彼女はすでに死んでいるはずだと爆弾発言。フィンレーはさっそく調査にのりだすが、翌日から巻き起こるのはアイスピックを使った残虐な連続殺人だった!MWA新人賞候補の都会派ミステリ。
アメリカがもっとも活力にあふれた時代を迎えようとしていた1945年。卓越したアイデアと未来を予測する非凡な才能で、全米を支配する自動車産業界に挑戦した男がいた。男の名はプレストン・タッカー。楽天的で明るく実行力に富み、何よりも自由を求める男…しかし彼を恐れた米国財政界は、強力な力で次々と卑劣な妨害を始めた。すべてを賭けた未来の車で巨大な敵の陰謀にただひとり挑むタッカー!時代は彼を求めていた…。ジョージ・ルーカス製作総指揮、フランシス・コッポラ監督で映画化。
満月の夜、東京・麻布の高級住宅街で、美人モデルが、首を鋭利な刃物で横一文字に掻き切られて殺された。それよりひと月ほど前にも、やはり麻布で若い美人ばかりが、心臓と性器を抉り取られて殺された。信じがたいことだが、娘たちは“悪魔の生け贄、悪魔の花嫁”として殺されたのだ。そしていま、こともあろうに緋沙子と恋人・翔の2人にも悪霊が取り憑いてしまった。突然、部屋の壁がさざ波のようにくねり出して、そこから生きた蛇がポトッ、ポトッ…。2人の裸身を這いまわり、ついには黒い蛇の群れにも埋もれてしまった。美貌のホラー・クィーンが、「血のピアス」に続いて贈る待望の“血のシリーズ”第2弾。
高校1年生の折尾久美古は、試験のヤマが当るという霊感?少女。ある日、帰宅した途端、玄関の壁のなかから声がする。唐突に“友達になって下さい”というのは幽霊少年!最初は恐怖に震えた久美古も、少年が頻繁に現れるので、不思議と慣れてきた。そして、幽霊少年の正体が気になってくる。“あなたは誰?”久美古が担任で憧れの山口先生に相談すると、霊に詳しい先生は、古着屋で買ったGジャンが怪しいという。で、2人は古着屋のある原宿へー。霊感少女のちょっぴりせつない初恋を描くロマンチックホラー。
ワンピースの裾を捲り上げ、白い臀部を剥き出しにして、犬這いの格好で交わる新妻・有紀美と実の兄・五郎。背徳の蜜の味を知り、夫の目を盗んで逢瀬を重ねる二人は、だが、官能の波に翻弄され、肉欲の果てに待ち受ける陥穽に気づく暇もなく、新たな絶頂へと昇りつめていく…。
1926年アラゴン29歳の作品。シュルレアリスト時代最後の小説で、頂点を示すと同時に次の段階への道程を暗示している。青年の幻想を夢を、現実生活を通して描く詩的作品。20年代のパリを描く、実験的な都市小説。
“不可避の死”の運命を背負った死の武器・特殊潜航艇乗員の坂田少尉と稲田二等兵曹。果たしてこの若者二人は真の勇者なのか、演技の英雄なのか-刻々とその時が近づく。軍港・呉から密かに特潜を運ぶ伊号24潜水艦内は、ハワイが近づくにつれ切迫した重い空気と狂気性が満ちてきた!。真珠湾奇襲まで単独航行1ヵ月。密室艦内に飛び交う鮮烈な男の死生観とエロチシズム。そして緊迫感-。三島由紀夫氏が絶賛した20年前の名作-今甦える!
自分は誰とも一体になれないのか。-狂人と健常者の狭間に身を置き、他者を求めながらも得られずに自ら死を選ぶ男の狂気を内側から描いて、現代人の意識に通底する絶対的な孤絶を表出した待望の純文学長篇。
アフガニスタンのカブール、カンダハル、更に昔から蓮の花の都とされたパキスタンのペシャワール、この近辺に近代国家が定めた国境を国境と認めないように幾多の遊牧の部族が住んでいる。宗派は色々あるがいずれも敬虔なイスラム教徒であり、敵には勇猛果敢な聖戦士である。当然のことながら友愛厚く誇り高い。農耕定住の日本から旅すればことごとくが違い、たちまち眩暈に陥る。シルク・ロードの自然とイスラムの民を吹き過ぎる、豊潤にして苛烈、悠遠な音調につつまれた物語の数々。
88年、夏。鈴鹿。NESCAFE AMERICANA RACING TEAM No.10、キャサリン・コバーン。鈴鹿8時間耐久レースでは、トニー・シャープレスとともに初の女性だけによる〈ネスカフェ・アメリカーナ・レーシング・チーム〉の第1ライダートシテ出場。クラッシュでトニーが鎖骨骨折というアクシデントに見舞われたが、キャサリンは棄権せず1人で走り抜き、チッカーフラッグを受けた。彼女が教えてくれたのは勇気、そして…。
「留守番電話」って知ってる?バカにしないでよ、という顔をしたあなた、あなたは本当に「留守番電話」を知っているのか?自信がぐらついた人はこの本を読んでみよう。ほかにもあなたの知らなかったことがどんどん出てくることは、この私が保証する。15の不思議な味が楽しめる、ときめきの世界へ、さあ、どうぞ。