1988年5月発売
慶応2年10月、高野広八以下18人の曲芸師たちは、横浜を出港、アメリカをへて、ヨーロッパ各巡業の旅に出る。この破天荒の旅のさきざきで彼らを待ちうけていたものは何か…。850日にわたる広八の詳細な日記をもとに、幕未期に欧米諸国を漫遊した旅芸人の驚き、とまどい、喜び、そして哀しみの日を活写する。巻未には90頁に及ぶ年譜・著作目録を収めた。
あるときは仙人、戦国の武将を、あるときは宋代の文豪書聖を、生き生きと語って余すところがない露伴史伝の世界。これら諸作には当代文明への痛烈な批評も蔵されている。初期作品の幽幻の俤を残す「観画談」、少年との心温まる釣行を描く「蘆声」をあわせ収める。
東京に向かう新幹線の車中で、弁護士が怪死、アタッシェケースが消失した。同じ頃、香港では日本人美術商が死んで、奇妙な暗号を残していた。二つの事件は意外な展開をみせ、1200年も前の鑑真和上渡来のナゾに関連してゆく。これを解くため香港の名探偵陳展望が動員され、日本になってきた!得意の分野に実力発揮した会心長編。
かつて文化人類学の学究だった志度正平は、あるできごとをきっかけに民間の破壊工作員となった。ニューヨークで白人の娼婦ロッサナと自堕落な同棲生活を送っていた志度のもとに新しい依頼があった。アメリカ巨大鉱業会社から、ペルーの山岳ゲリラの首領抹殺の仕事がきたのだ。志度は首都リマに向かった。
ペルーの首都リマに到着した志度正平は、自分に酷似した日系の革命家ツトム・オオシタになりすまし、二人のインディオと共にゲリラの進発地チャカラコ渓谷に向け出発した。4千メートルを超すアンデスの山々を越えていくつかの戦闘に耐え、ゲリラの進発地に潜入した志度を過酷な運命が待ち受けていた。
三歳の誕生日を迎えるアカネちゃんは、すっかりおねえさんらしくなったモモちゃんやママと、たのしく暮らしながらも、別れたパパを“お客さん”と慕います…。母と子の触れ合いを、簡潔な文章と対話で綴った、児童文学の不朽の名作「モモちゃんとアカネちゃんの本」シリーズ第5作。
屋根裏部屋に隠されて暮す兄妹、腹を上にして池の底に横たわる150匹のメダカー脈絡なく繋げられた不気味な挿話から、作家中田と女たちとの危うい日常生活が鮮明に浮かび上る。性の様々な構図と官能の世界を描いて、性の本質を徹底的に解剖し、深層の孤独を抽出した吉行文学の真骨頂。「暗い部屋」の扉の向こうに在るものは…谷崎賞受賞作。
防衛大出身の2人の青年エリート自衛官との狂おしい愛。男には潔くあってほしいと切望するキャリアウーマンの澄みわたる心の内と男女の本質をクールに描く傑作。北海道新聞文学賞受賞。
宙太との幸せな新婚生活を夢見たのも束の間、突然現れた宙太の母上に結婚式をめちゃめちゃにされてしまった我らが星子サン。宙太を忘れ、新しい恋を見つけようとの決意も健気に一路四国へ感傷旅行。ところが、瀬戸大橋の向こうで待っていたのは、イイ男だけじゃなかった!またもや恐怖とナゾの事件に巻き込まれてしまった星子、ほんとうの愛を見つけられるのか?怒涛の新シリーズ突入。
好きな人に突然さよならを言われて、めぐみはベッドで寝込んでいた。するとお祖父ちゃんの高校時代のアルバムから光が放射され、めぐみとお祖父ちゃんの意識は50年前へとタイム・スリップした。そこでふたりは、奇跡の出逢い、マイケルとミニーのこと、ソウル五輪を夢見た砲丸投げのこと、そして最高のハートを持つアンドロイド誕生の瞬間と、高校時代の、小さな四つの物語を見つけた。ロマンチック・ファンタジー。
あいびぃ屋敷には、相変わらず女3人、男1人、犬1匹が住んでいる。元ゾクのバイク少女・麗子、お嬢さま育ちの幼児型・路乃、艶っぱい美女、冴ー彼女たちに住みつかれてしまった家主の馨は影がうすい存在だ。その馨のところへ、ラブレターを握った少女・朋美が訪れたのだから、3人は興味津々。ところが驚いたのは朋美のほう。個性豊かな女性が次々と現れたのだから、無理もない…。
あたしがバイトしている巨大迷路で、殺人事件が起こった。さっそく明石刑事と北野刑事がやってきて、事件解明にのりだしたが、迷路での行き止まり殺人(一種の密室殺人)なので、2人ともお手上げ。殺されたヒトは食品会社の社長さん。あやしい人物が次々と浮かんだ。そんな時、あたしに声をかけたのが死んだヒトの息子の正紀クン。憂いを含んだ目ーあたし好み、もう協力しちゃう…。
美也子はバイクが大好きな女子高生。レーサーであった兄の影響で、今ではすっかり走る魅力にとりつかれている。幼なじみでツーリング仲間の瞬には、「友達以上」の気持ちを感じているけれど、美也子の想いはなかなか通じない。そして、ふたりの間に微妙に波紋を投げかけてくる、兄の元婚約者・真貴子。落ちこんだ時にはバイクで元気を取り戻して、美也子は青春のオフロードを走りつづける。
名吟高校の「ハデなネーチャン」グループのひとりが、あたし、17歳の七音子なのね。どういうわけよっ、と怒りたいけど、まあミルクよりはお酒が好き、同級生より三十男が好き、という程度には不良してるからね。で、あたしの今つきあっているのが、26歳の奏司さん。ところが、鳴子ってホントのハデ女が奏司さんに横恋慕してるからタイヘン!真っ赤な恋の火花散る、恋人たちの物語。
あたし、吉田日和。高2の女の子。おとんのひとことで静岡から東京へ引っ越すハメになった。でも、あたしは静岡に残りたかった。だって、好きな男の子がいるんだもん…。仕方なく転校してきた高校には、モヒカン刈りの男の子がいたりして怖いし、家に帰ればおかんの書き置きがあり、「家出だ!」といって、おとんはあわてて静岡へ戻っていってしまうし、いったいこれからどうなるのぉ?