1988年7月発売
ヘンリー・ジェームズが「13ページで書かれた傑作」と激賞した「ねじけジャネット」、サマセット・モームが「世界短篇小説百選」の一つにとりあげた「マーカイム」、解剖用死体の盗掘と売買を扱った「死骸盗人」など、鬼気迫る7篇を収録。眠れぬ夜の一服の清涼剤として、ぜひお試しください。ただし、のみすぎにご注意!
オシャレ泥棒-彼女達は一般にそう呼ばれていました。街はオシャレ泥棒の噂で持ちきりだったのです。最初、原宿のショップの前に停められていたワゴン車から洋服は強奪されました。その後…。愛以上のモノを求めて、彼女達は東京中のブティックを荒らし回った!カワイクて、オカシクて、ちょっぴりカナシイ。著者初の書き下ろし、現代少女の必読小説。
「私は両性具有なのかしら…。」家元夫人桜子が、自からの性の不思議さに気付いたのは、いつからだったか。確かにクリットが親指の第1関節部分ほどの大きさになって、男性の機能としても使用出来そうだ。古代インドにその源を発する両性具有者=ヒジュラの秘密組織は、彼女の運命を予想もしない方向へと導く。
桃園で供物をととのえた3人は、再拝して誓いの言葉を述べる。「ここに劉備、関羽、張飛の3人、兄弟の契りを結び、心を一つにして力を合わせ、苦難にあい危険にのぞむものを救けて、上は国家の恩にむくい、下は民草を安らかにしたい」と。
洛陽に還御した天子は、衰微している漢室を救えるのは山東にいる曹操以外にないと勅命を下し彼を招聘した。精兵20万を率いて入洛した曹操ではあったが、やがて帝を奉じて都を許都に移し、権力をことごとくわが手に収めてしまった。
冬のさなか、劉備は諸葛孔明の教えを乞おうと臥竜山にむかったが、二度とも会うことができない。年改まったある吉日、三たび孔明をたずねた。劉備の、世の乱れを憂える真情と「三顧の礼」に応えて孔明は、彼とともに新野に出、天下の形勢を論じることとなった。
鬼神不測の術をもつ諸葛孔明は、七星壇を築いて東風を祈り、孫権と劉備の率いる呉・蜀連合軍は、折から吹き出した風に乗じ火攻めによって曹操の水軍を焼き払う。これぞ赤壁の戦いである。敗走に敗走を重ねた曹操は、関羽の義にすがって逃げのびた。
一たんは魏王の爵位を受けた曹操であったが、奇策を駆使する孔明の前に敗色濃く遂に漢中を捨てた。それを見るや諸侯もすべて降伏。蜀の勢いは大いに上り、「わが君はおん年五十をこえ、仁義のほまれ高く」と孔明、劉備に皇帝の位につくことをすすめる。
曹操の策略に落ち入り、さしもの豪傑関羽も落命。だが曹操の夢には夜毎に関羽が現れ病篤く、跡を曹丕に托して死を迎える。張飛は部下の恨みを買って寝首をかかれ、劉備もまた二弟の亡霊が自分を招いているのを見て、死の近いことをさとるのだった。
南中を平定し成都に還った孔明は、劉禅を擁し中原の地をうかがうが、戦況はかばかしからず病も重い。弟子に自分の亡き跡を細かく指示して息絶える。それを知った司馬懿は進軍する。だが車に孔明の木像が端座しているのを見、仰天して逃げ出してしまうのだった。
蜀、魏、呉の創業の英雄たち、劉備、関羽、張飛、孔明、曹操、孫権らはすでに亡く、2代目以降の守成の時代となるやその活力の低下は苦しい。やがていずれも晋の皇帝司馬炎の軍門に下り天下は統一された。太唐元(西暦280)年のことである。
イスラム世界の民話・伝説が奔放不羈な空想の翼に乗って燦然と花開いた物語の饗宴アラビアン・ナイト。千と一夜にわたってシャハラザードが繰り広げる綺談のアラベスクは歓喜と陶酔の夜へとあなたをいざなう。文学的香り高いマルドリュス版の完訳。
バグダードの床屋、自称「沈黙家」が、生来の詮索好きから、恋にやせ細った若者をさんざん悩ませたあげく、自分がいかに慎み深く口数が少ないか、6人の兄を引合いにとうとうと語りだす「仕立屋の話」はまさに抱腹絶倒の面白さ。シャハラザードの話術が冴える。
回教王オマルの側女ソフィーアとは、実は海賊にさらわれて王のもとに献上されたキリスト教徒の王女にほかならなかった。復讐を誓うキリスト教徒軍と回教徒軍のあいだに、延々王家3代にわたる戦いが始まる。『平家物語』をおもわせる『千一夜物語』中の最長篇。
勇猛果敢の若き王子カンマカーンが登場。イスラム軍・キリスト教徒軍の最後の対決が迫る。前巻にひきつづいて語られる長篇物語の終幕の後は、孔雀や烏や狐など、小さな動物たちの語りだす知恵の数々が、さながら小粒の真珠のようにきらめく寓話集「鳥獣佳話」。
七たびにおよぶ航海の行く先ざき、海に陸に空に地に、シンドバードが出会う世にも怪奇で不思議な事どもと驚くべき冒険の数かず。このおなじみ「船乗りシンドバードの物語」を生み出したのは、旅に憧れ未知の世界に好奇心をもやす、古今かわらぬ人間の心だ。