1988年9月1日発売
芸能評論家・町田卓二はある夜、誰も入れるはずのないマンションの自室に帰ると、吸いかけの葉巻きが灰皿で煙を上げていた。そして深夜、失踪中のアイドル歌手・古三沢涼子から、町田のせいで自殺する、という電話がかかってくる。ちょうどその頃、ある男が町田の名刺を持って殺されていた。町田は身に覚えのない殺人事件の容疑者にされてしまう。「密室と瞬間移動」。不可能犯罪に挑む本格ミステリー。
全米最悪の犯罪都市ロサンゼルスでは、ストリート・ギャング団同士の凄絶な抗争が、日夜くり広げられていた。そのため、ロス市警ではギャング特別班゛CRASH゛を設置し、警戒にあたっていた。事件発生!ギャング団の黒人少年が対立するギャング団に撃ち殺され、事態は一挙に前面抗争の危機に。CRASHに所属するベテラン警官ボブ・ホッジスと新人のダニー・マクガヴィンのチームは、深夜のスラム街にパトカーを走らせた。7万人のストリート・ギャング対L.A.特捜隊。映画化!全米興収1位の衝撃作。
結婚3年目のサラ・バーニーは、大西洋に面したリゾート地で、夫とともに夏の休暇を過ごしていた。表面的には幸せな若夫婦に見えたが、夫の凄まじい暴力に、サラの忍耐は限界に近づきつつあった。逃げるのだ、それも夫が決して自分を捜そうとしないように。ある夜、サラはヨットでセーリングに出て海に飛びこみ、溺死を偽装した。名前を変え、かつらをかぶり、サラは新しく生きるためにグレイハウンドの乗客となるが…。息づまる心理サスペンスの秀作。
おれの名は間兵介。スパイになることを妄想しながら、細々と翻訳の下請けで糊口をしのぎ、女房にも頭の上がらない、しょぼくれた男だ。だが、そんなおれにもチャンスが巡ってきた。元陸軍中野学校の教官だったベテラン・スパイが助手を探しているというのだ。おれは喜びいさんでそのスパイを訪ねたが…著者会心のユーモア・ハードボイルド傑作集!
桂萌実は、女優を夢みる映画大好き少女。本格的に映画の勉強をするために、全寮制の札幌映画学園の2年生に転入してきた。萌実が住むことになったのは、ライラック館というロマンチックな女子寮。同室になった、すごい美少女・沙羅と大親友になった萌実は、僚と友樹という素敵なBFまでできて、毎日ルンルン。ところがある日、萌実の鏡の中に、恐ろしい女の顔が浮かびあがり、それ以来、教室やロケ現場で奇怪な事件が…。ライラック館の乙女たちを襲う、恐怖のシネマ・リハーサル第1弾!
〈愛〉がひきおこす困難と栄光。ロンドンとパリで開催された2つの国際シュルレアリスム展にはさまれた1937年に刊行された『狂気の愛』は、ブルトンがもっとも精力的な仕事を展開していた時期に当る。〈狂気の愛〉というテーマはフーコーの〈狂気の理性〉と通底する。絶対的な愛が現実に打ち克つ愛の栄光を止揚する。
それは、余りにも突然だった。死の定め、それが16才の少女に襲いかかってくる。それを知ったのは皮肉にも16才の誕生日だった。逃げ場の無い悲しみに心乱れ、自殺ばかりを考える少女。そんな少女を死の淵から救ってくれた冴えない青年に少女は心をひかれていく。そして愛するが故に、自分の気持ちを分かってもらうためについた嘘が思わぬ悲劇に発展していく。
「スカートに導かれて魂へ到達した」「臀に魂はない」-。70の坂を越えてなお貧欲に男漁りを続ける老女優テレーズをめぐる、狂気・反逆・無償の犯罪・自由と宿命の相剋。卓抜な警句が奔流のように迸り、濃密な香りを漂わす禁断のエロスの華が妖しく咲き乱れる世紀の奇書。
東大工学部教授が書いた物語に、3人の東大生がイラストの腕を奮う…師弟協力により誕生した異色SFファンタジー。これは、「空飛ぶ絨毯」で大空に開眼し、トップクラスのスペース・レーサーとなり、自家用宇宙船「ルーシー」を駆って宙航レース“ジャパン・カップ”に挑む男と、彼を取り巻く女たちの物語である。
映画、小説と常にアメリカの読書界に話題を投げかけるベストセラー作家キングの多彩な活動を詳細な資料と記録で構成した、本邦初・キング研究書の決定版。キング・オブ・ホラー、スティーヴン・キングの全貌。
機械文明の桎梏を打破し、真に人間として生きるにはいかなる方途があるのか?第1次大戦後の混迷するイギリスとイタリアを舞台に、ヨーロッパ文明に潜む危機と脅威を容赦なく抉り出し、「生」の新たな方途へのヴィジョンを大胆に提示しようとするロレンスの問題作。
アメリカ1920-30年代、マラソン・ダンスが吹き荒れた。ハリウッドに憧れる若い男女が果敢に挑戦するがそこに待っていたものは-。時代の空気を敏感に嗅ぎとりそしてあらがう心模様をクールな文体の中に描き切った傑作。