1988年発売
好きな人に突然さよならを言われて、めぐみはベッドで寝込んでいた。するとお祖父ちゃんの高校時代のアルバムから光が放射され、めぐみとお祖父ちゃんの意識は50年前へとタイム・スリップした。そこでふたりは、奇跡の出逢い、マイケルとミニーのこと、ソウル五輪を夢見た砲丸投げのこと、そして最高のハートを持つアンドロイド誕生の瞬間と、高校時代の、小さな四つの物語を見つけた。ロマンチック・ファンタジー。
あいびぃ屋敷には、相変わらず女3人、男1人、犬1匹が住んでいる。元ゾクのバイク少女・麗子、お嬢さま育ちの幼児型・路乃、艶っぱい美女、冴ー彼女たちに住みつかれてしまった家主の馨は影がうすい存在だ。その馨のところへ、ラブレターを握った少女・朋美が訪れたのだから、3人は興味津々。ところが驚いたのは朋美のほう。個性豊かな女性が次々と現れたのだから、無理もない…。
あたしがバイトしている巨大迷路で、殺人事件が起こった。さっそく明石刑事と北野刑事がやってきて、事件解明にのりだしたが、迷路での行き止まり殺人(一種の密室殺人)なので、2人ともお手上げ。殺されたヒトは食品会社の社長さん。あやしい人物が次々と浮かんだ。そんな時、あたしに声をかけたのが死んだヒトの息子の正紀クン。憂いを含んだ目ーあたし好み、もう協力しちゃう…。
美也子はバイクが大好きな女子高生。レーサーであった兄の影響で、今ではすっかり走る魅力にとりつかれている。幼なじみでツーリング仲間の瞬には、「友達以上」の気持ちを感じているけれど、美也子の想いはなかなか通じない。そして、ふたりの間に微妙に波紋を投げかけてくる、兄の元婚約者・真貴子。落ちこんだ時にはバイクで元気を取り戻して、美也子は青春のオフロードを走りつづける。
名吟高校の「ハデなネーチャン」グループのひとりが、あたし、17歳の七音子なのね。どういうわけよっ、と怒りたいけど、まあミルクよりはお酒が好き、同級生より三十男が好き、という程度には不良してるからね。で、あたしの今つきあっているのが、26歳の奏司さん。ところが、鳴子ってホントのハデ女が奏司さんに横恋慕してるからタイヘン!真っ赤な恋の火花散る、恋人たちの物語。
あたし、吉田日和。高2の女の子。おとんのひとことで静岡から東京へ引っ越すハメになった。でも、あたしは静岡に残りたかった。だって、好きな男の子がいるんだもん…。仕方なく転校してきた高校には、モヒカン刈りの男の子がいたりして怖いし、家に帰ればおかんの書き置きがあり、「家出だ!」といって、おとんはあわてて静岡へ戻っていってしまうし、いったいこれからどうなるのぉ?
精悍な、猛禽のような顔つき、暗い眸と黄金に輝く髪、極限まで鍛えあげられた巨大な体躯の若人ー美しき獣、ハリィデール。すべての記憶をなくした彼は、自分自身を捜す旅に出て、荒野を越え、海辺の村にやって来た。折しもその村が巨人族の襲撃を受け、彼はそこで神々の戦士「美獣」としてグングニールの神槍を授けられ、闘うことになるのだった。かくて、使命に目覚めた美獣の血と闘争と殺戮の日々がはじまった…。
“人間の土地の王になれ”予言者はいった。神々の王・オーディンに選ばれた美獣・ハリィデールは神槍グングニールを片手に征服への道を驀進する。闘いの途中知り合った黒小人・ギンナルとおだやかな中にもりりしさを秘めた美少女・ミザーラを従え、ミッドガルド南部を制圧する。北には、最大の敵、不死王スカイハイトがいる…。過去を探して終わりない旅を続ける戦士・美獣に最後の闘いの時がきた…。長編ヒロイック・ファンタジー。
藩魂を貫いて壮絶な死闘を挑む会津白虎隊。寛永寺で一夜にして敗れ去ったが、三河武士の骨法を示さんと決起した上野彰義隊。1人の若き俊英が天狗に一撃されたために起きた水戸天狗の反乱。カラフトの隠密・間宮林蔵。西郷隆盛摩下の猛将・桐野利秋…。コップ酒を呻りながら等々呂木仙神翁が語る10の史譚。いずれも日本男子の面目躍如たる時代伝奇小説。
公立高校の校長をしていた奏男は、50歳を過ぎて教え子の母親と駆け落ちし、職を失った。地方都市でひっそりと始めた私塾は、今までの教師生活では得られぬ充実した喜びを彼に与えてくれた(教師)。進学・ツッパリ・学習塾そして組合問題など、現在の教育が抱える問題を、教師の側から見据えた連作。
「愛してる、スーザン」「私の子供を産んでくれ」「私の妻として、ここで生活してくれ」孤独なスーザンに、無機的なコンピューターの声が呼びかける。彼女の家に侵入し、彼女を監禁し、体のすみずみまで調べ、そして求愛するコンピューター《プロテウス》。彼はついに、スーザンを受胎させようと行動をおこした。恐怖におののくスーザンに、氷のように冷たい《プロテウス》の触手がのびる。高度に機械文明化した現代に君臨するコンピューターという“悪魔”。…スーザンは第二のローズマリーになるのか?スティーヴン・キングの次代をになう恐怖小説家、ディーン・クーンツが放つハイテク・ホラーの傑作。
久野冴子は仕事を持ち都会で生きるひとり暮しの若い女性。春夏秋冬の季節の移ろい、淡淡と過ぎていく日々のなかで、妻子ある男性やかつての同級生の男友達との秘やかな関係が、彼女の心に目に見えぬほどの影をおとす。大部分を水面下に隠して水に浮かぶ船の喫水のように、ひとりの女性の日常の喫水を描くことで、水面下にひそむ人間の意識や感情の大きな移ろいを細やかな筆で浮き彫りにする会心の長篇小説。
甲斐の若き猛虎・武田晴信(信玄)の運命は、隻眼の男・山本勘助を知行百貫で召し寄せた時から開かれていった-。諏訪頼重を討ち、宿願だった諏訪を押さえ、父信虎ですら果たし得なかった信濃経略への大きな一歩を踏みだした晴信。これはすべて、軍法にたけた城取りの名人・勘助の武略によるものだった。信濃の一角に武田領を作った晴信は勘助が描く「絵」によって、天下取りの目標を定めていく。「武田幕府を開く!」という野望を秘めた晴信と勘助の戦略をうたいあげる時代大長編。
子供たちは、美しい地球を求めて旅立った。海をさがしに行く少年。空をさがしに行く少女。河をさがしに行く少年…。そうだ、まだ僕たちは人間をあきらめてはいけなかった。この一冊、いま新しい「星の王子さま」。
ドブ掃除から映画館の席取りまで、なんでも引き受ける“なんでも屋大蔵”こと釘丸大蔵のもとに舞い込んで来る依頼の数々、浮気調査の報告書が盗まれた!猫が誘拐された!私は一体誰なんでしょう?…奇妙な依頼の背後に隠された意外な事件。飄々とした大蔵が、持ち前の行動力と鋭い勘、そして冴えた推理で次々と難問を解決する。ほんわかあたたかな連作ミステリー5編。
明治44年8月、巨大な円筒が東京湾に落下した。円筒から姿を現わした4台の怪異な機械。それはなんと、13年前にもロンドンを襲った火星人類の戦闘機械だった。高熱光線を発し、帝都を焼き払う戦闘機械。帝都危うし!この危機に決然と立上がる押川春浪、吉岡信敬らバンカラたちの集団・天狗倶楽部の面々。帝都の運命や如何に!明治末の東京を舞台に繰広げる書下ろしSF長編。