1988年発売
北ヴェトナム領内で27日間の潜入任務を無事終えた米国海兵隊偵察チーム。だが収容のヘリとの会合地点で攻撃を受け、ラムゼー軍曹だけがとり残された。捕虜収容所に送られた彼を待っていたのは、劣悪な待遇と厳しい思想教育。反米宣伝に協力すれば待遇を改善するとの誘いをラムゼーは頑として拒み、密かに脱走計画を練りはじめる。想いは一つー生きて再び故郷の土を踏むこと。そして雨季が訪れたある夜計画は実行に移された!ヴェトナムの山河に展開される決死の脱出行ー地獄の戦場に送り出された兵士の心情と勇気を描いて共感を呼んだ力作。
マフィア・ファミリーの若き後継者マイケル・コルレオーネは、シチリア島に潜伏中、アメリカにいる父“ゴッドファーザー”から指令を受け取る。「義賊グイリアーノをアメリカへ逃せ」-グイリアーノはシチリアの山賊で、奪った金品を貧しい民衆に分け与える27歳の英雄。前途有望な若者だったが、ふとしたことから警官を殺害し、無二の親友ピショッタとともに無頼の道を歩むことになったのだ。生来の才気と勇敢さで、彼はシチリアの盗賊を統合し、一大勢力となっていく。マフィア発祥の地を舞台に雄大な構想で描く『ゴッドファーザー』姉妹篇。
シチリアの民衆を虐げる貴族や政治家に敢然と挑戦する義賊グイリアーノは、ローマ政府や官憲はもちろん、昔から血の掟で島を支配するマフィアとも対立を深めていく。グイリアーノの生き方に惹かれるものを感じたマイケル・コルレオーネは、なんとか脱出の道を開こうとするが…。さまざまな思惑と陰謀が渦巻くなか、はたして誰が本当の敵なのか、味方なのか?マイケルとグイリアーノに危機が迫る!『ゴッドファーザー』の巨匠プーヅォが、裏切りと復讐、友情と侠気が炸裂する男の世界を鮮烈に描破。マフィアの源流をたどる血と硝煙のロマン。
世界のテロ組織に武器を供給しているといわれる武器商人ギャントは、ナチス再興を企てる極右組織の領袖でもあった。彼の身辺を探るべく派遣されたイスラエルの諜報員は謎の失踪をとげていた…。諜報員の行方を追うよう依頼された私立探偵ステッドマンはギャントの組織に迫る。彼が探り当てたのは、ナチス再興計画のカギとなる、奇怪な古代遺物の存在だった。キリストの体を貫いたと伝えられる、聖なる槍の秘密とはー国際謀略とオカルトを鮮やかに給合させた傑作。
マイアミビーチには、不思議な連中が集まってくる。-元シークレットサービスの捜査官で現在は写真家のジョー・ラブラバは、一人の女性と知り合った。彼女の名はジーン・ショー、かつて少年の頃のラブラバが夢中になった銀幕のスターだ。だが、彼女の周囲には奇妙な男たちが出没する。沼沢地帯から来た大男のならず者、キューバの刑務所を脱出してきた殺人犯。-やがて、一枚の脅迫状が届き、男と女と悪党が織りなす、金と欲望の犯罪ドラマがスタートした!ベストセラー作家レナードの代表的傑作。アメリカ探偵作家クラブ最優秀長篇賞受賞。
セント・ブルーノーの町は不穏な空気に包まれていた。初の黒人市長になると思われていた市会議員ランキンが何者かに暗殺されてから、町の黒人地区パン・フライは不気味に鳴りをひそめていた。一方、対立するフランス人移民地区フロッグタウンの犯罪組織も何事かを企んでいるようだ…。フロッグタウン出身のシェード刑事は流血の抗争を防ぐべく、必死にランキン暗殺の犯人を追う。だが一触即発の空気の中、白人青年が黒人映画館主を射殺する事件が起きた!ついに抗争の幕が開くのか。-期待の新鋭がリアルな筆致で描く迫真のヴァイオレンス。
きっかけはマウス・ハウスでひらかれたディナー・パーティーだった。グルメ記事の担当になった中年の新聞記者クィラランは、そこで昔の恋人と再会した。彼女は今では陶芸家と結婚し、自分も女流陶芸家として活躍していた。ところが、まもなく行方知れずになってしまったのだ。夫婦げんかが原因の家出と思えたのだが…過去に忌まわしい事件があった邸で次々起こる怪事件。新聞記者クィラランは、推理能力を秘めた飼い猫ココとともに驚くべき真相を掘り起こす。アメリカ探偵作家クラブ・ペイパーバック賞候補の猫好きに捧げる新シリーズ第一弾。
イスラエルのキブツに隠遁していたソールは、元モサドである義父が失跡したために課報の世界に戻ることになった。一方、砂漠で贖罪の生活を送っていたドルーは、バチカンの枢機卿の行方不明事件を追及すべく、〈石の結社〉の召喚を受けた。世界各地で、老人たちが次々と謎の失踪を逐げていたのだ。まるで〈夜と霧〉が甦ったかのように-〈夜と霧〉とは、反ナチ分子を恐怖の底に陥れるためのヒトラーの勅令だった。そのナチの悪夢が再び到来したのだろうか?それぞれの失踪事件を追ううちに、ソールとドルーは邂逅する。二人の戦士は手をたずさえ、奥深い陰謀に立ち向かっていくことになるが…?屈指のストーリー・テラーによる、手に汗握る冒険長篇。
清流とゆたかな木立にかこまれた城下組屋敷。普請組跡とり牧文四郎は剣の修業に余念ない。淡い恋、友情、そして非運と忍苦。苛烈な運命に翻弄されつつ成長してゆく少年藩士の姿を、精気溢れる文章で描きだす待望久しい長篇傑作!
新月の妖しい光の下、魔性の巫子・嫦娥は短剣を片手に舞いを舞っていた。やがて銀色の刃物は、若い娘の胸に深々と突き立てられた。処女の新鮮な生血を浴び、ゾッとするような笑みを見せる嫦娥…。不可思議な力をもつ嫦娥と、比類ない強さの黒騎士を中心に、月族は、いままさに九州の地を平らげようとしていた。立ちはだかるのは、大和の日見子。霊力をもつ巫女同士の全面対決は、目前に迫っていた。日見子の軍に、タケトは在った。愛する娘を惨殺した嫦娥に、復讐を誓っていた。裂帛の気合とともに、豪剣・多雲が唸る。
長野県警・諏訪署の人情刑事、道原伝吉は雪どけの八ケ岳・縞枯山へ急行した。目から血を流した男の凍死死体が見つかったのだ。続いて、犯人と思われる美女の絞殺死体が…。捜査が進むにつれて、男の死には2人の男が繁りを持つことが明らかになった。2年前連続して起きた遭難事故、それも縞枯山で!犯人の焦点を絞れず難航する捜査の裏には、美しい姉妹の悲しい恨み節が隠されていた。事件の影に潜む3つの殺意を伝吉は解くことができるだろうか?ズッコケ刑事貞松とのコンビも快調な、道原伝吉シリーズ最新刊。
奄美へ向かうYS11機が、吐〓喇の孤島・蛇石島に不時着、カメラマンの竜崎らは、分け入った山中で野生山羊とヒッピー達の死骸を発見した。急ぎ事故現場に戻ったものの、彼らを待っていたのは自衛隊武装集団による乗員乗客の大殺戮であった。一人危地を脱した竜崎だったが、YS11機は海に沈んだと発表され、彼を助けた漁船員は抹殺された。島で何が進行しているのか?竜崎の逃亡が始まった。長篇冒険小説。
報道記者の風見孝治は、かつて解放戦線の総攻撃を前に、恋人のビェン一家を国外へ脱出させ、自らはサイゴン陥落の歴史的瞬間を取材するため、アメリカ大使館に篭った。重傷を負った風見が生き残り、ビェンは死んだ。-8年後、神戸でビェンの弟妹に再会した風見は、この2人の後で蠢く陰の男たちの正体を知らされ、ビェンの死の真相を追った(表題作)。他、重い旋律でかなでるサスペンス・ロマン5編。
嘉永2年、江戸南町奉行所見習同心・加田三七は御奉行遠山左衛門尉景元に抜擢され、弱冠25歳で定廻り同心の大役に就いた。そんなある雨の夜、岡場所の女おきくが殺された。現場の寺裏には足駄の歯跡があり、女の首には黒ずんだ痣があった。三七は岡場所の持主・権兵衛の行方を追ったが、権兵衛もその夕、水死体で発見。首にはやはり黒い痣が(「犬と猫と鼠」)。他12篇を収録する人情捕物帳傑作。
戦国時代に天下の覇を競った名将たちの卓抜な政略と戦略について記されたものは多いが、その心に分け入ったものは少ない。父を追放した武田信玄、兄を放逐した上杉謙信、父を殺し弟を討った伊達政宗、乱暴狼藉の限りを尽した織田信長、その信長を本能寺に屠った明智光秀、そして秀吉…。下克上の世を激越な心と鋭利な先見性で生き抜いた名将たちの屈折した心と天才性を余すところなく描いたユニークな伝記。
殺人犯が精神異常者だったら、正式の裁判を受けないですむー両親や検事はそれを選んだ。だが被告のクローディア・ドレイパーは、私は責任能力がある、裁判を受けたいと主張する。マクミラン検事VS.レビンスキー弁護士の法延における熾烈な闘いと、人間らしさを求めて自らの恥部をもさらけ出して苦悩するクローディアの姿を描く感動の法廷ドラマ!ワーナー映画化。