1988年発売
週刊誌の女性編集者北川真弓は、四国取材の途中、屋島で藤の花の下に倒れた若い女の他殺体を発見した。被害者は東京で夫とスナックを経営する人妻。そして離婚の寸前だったという。真弓は週刊誌の記事にするべく事件を追う。浮かび上がった被害者の人生、そして意外な犯人とは?旅情ただよう、アリバイ崩しの名編。
美しい津永和佳子に身辺警護の依頼を受けた私立探偵三影潤は、伊豆の海辺にある彼女の別荘を訪れた。そこには盲目の従姉と病身の祖父が同居していたが、三影の一瞬の油断をつかれて依頼主和佳子が殺害される…富豪の別荘で展開される大胆なトリック殺人を描く表題作のほか4編を収録。本格推理短編集。
マレーシアの高原カメロン・ハイランドの密林に消えた大富豪。その謎を日本・マレーシアの両警察が追ううちに次々と起こる連続殺人。緊張をはらみつつ、事件は意外な結末へと一気に向かう。1967年に起きたタイ・シルク王「失踪」事件を背景に、雄大な構想でまとめあげられた本格長編推理完結。
夏の行先不明列車銀河鉄道X号に乗った男は恋人に見送られ、上野を発った。男は翌日、北上川で死体となって発見された。恋人と隣り合わせた人物と老婆も殺害されてしまう。そして恋人も連環殺人者であるとする警察の疑いに、衣子は「愛の推理」を働かせ第3の男を暴き出す。トラベルミステリーの白眉。
モーツァルトの子守唄が世に出た時、“魔笛”作家が幽閉され、楽譜屋は奇怪な死に様をさらすー。その陰に策動するウィーン宮廷、フリーメーソンの脅しにもめげず、ベートーヴェン、チェルニー師弟は子守唄が秘めたメッセージを解読。1791年の楽聖の死にまつわる陰謀は明らかとなるか。乱歩賞受賞作。
池上鮎子の恋人で新聞記者の北条が、デートから京都へ戻る新幹線の車中で毒殺された。鮎子は警察の事情聴収をうけた際、北条には京都に婚約者がいたと知らされ、衝撃と疑念をおぼえる。謎を追いはじめた彼女の前に次々意外な事実が広がる。そして北条が記者として追及していた巨大悪とは?トリック、構想とも卓抜の問題長編。
史上最強最大の怪物メルセデス、グロッサー。それを改造した“銀のメルセデス”が日本に実在する!?放送作家の鳥居貢は狂喜した。TV番組『陛下のメルセデス』の取材でシュツットガルトへ着いた矢先の情報だ。ヒトラーの命を受け極秘につくられた銀のグロッサーは日本に運ばれていた…。だが、女性プロデューサーの島本理江に、企画中止をもとめる脅迫状が。過去の闇の中から何者かが触手を伸ばし始める…。事実と伝説の交錯する中から歴史のドラマが浮かびあがる、壮大なカーアクションロマン。
思いがけない収穫を得て帰国した鳥居貢をはじめとする取材班を待っていたのは、上部からの圧力による番組中止というTV局の決定だった。しかし、島本理江は取材を強行する。何が彼女を動かしているのか。貢は新たな疑問を感じた。“銀のメルセデス”を日本に運んだ運転手の名前が判明した!が、彼は7年前、事故死していた…。情報を集める貢のもとへ届いた1通の手紙。差出人は謎の運転手。そして貢のもとに父親が遺した小さな鍵が…。深まる謎、そして恐るべき事実が明かされていく!
闇のフィクサー、クロベマスオの情報を売った業界記者がドーベルマン犬に襲われた!母親と娘の理沙も何者かに連れ去られてしまった!鳥井貢は単独で、“銀のメルセデス”が隠されているという丹沢渓谷へと乗込むのだが…。ヒトラーの怪物メルセデス、グロッサーは実在するのか。そして父親の死の真相は?島本理江のバックにある国際秘密組織の狙いは…。いよいよ完結!
10代将軍・家治の晃東照宮参詣費用2千万両を、いかにして捻出するか-。この難しい仕事を見事やり遂げた田沼意次は、次第に逼迫する幕府財政を立て直すため、新しい“事業”に着手する。だが、意次の前には、反対勢力の厚い壁が…。賄賂の卸問屋=田沼意次像を打ち破り、熾烈な政治抗争のなかに意次の“志”を定着させた気鋭の力作長編。
春の選抜高校野球大会。優勝候補・亜細亜学園を相手に、1対0とリードした開陽高校は、9回裏二死満塁のピンチに追い込まれた。開陽のエース・須田武志が、この局面で四番打者に投じた最後の1球とは?また、捕手で主将の北岡明は、なぜ愛犬と共に殺されたのか?フレッシュな感覚と緊密な構成で、人間心理の光と影を描く気鋭渾身の長篇推理。
「未来、逢いたかったわ。逢えたわね…」久しぶりにトコん家に泊まりにいったあたしは、首にかじりつかれてしまった。あたしの一番の関心は、朱海さんのこと。なのにトコったら、異性は敵だ、不潔だっていうんだから。今、華雅では、あたしをよび戻す運動をしてるんですって。どうしたらいいの?そんな時、桐村さんが学校を中退して、洋太郎くんと別天地で生活することになったの。
剛は父が死亡したため就職し、三奈子は志望校に失敗してM短大に通っていた。三奈子は恋人の剛といつも一緒にいたかったが、仕事の忙しい剛となかなか会えず、話題も食いちがったりで、少し不安を感じていた。そんな時、大学の友人あさ子に誘われて、三奈子は仕方なくパーティに出席した。三奈子はそこで、パーティというのにプールで泳いでいる邦夫と知り合い、一目惚れされてしまった。
いつも引っこみじあんの16歳の由香子。あこがれの君、サッカー部の夏希を遠くから見つめるだけだった。ところが美人でタレント志望の千晶が彼に急接近。積極的にアタックして夏希の「彼女」におさまってしまった。それ以来、由香子は千晶の代役ばかり。夏希への恋心をかくす、せつない日々だったが…。好きなのに、見つめるコトしかできなかった。だけど、ちょっぴり勇気を出せば、私だって変われるよね。由香子の恋の物語。
かすみと美和子は、親友同士。ふたりともまだ恋は知らないけれど。でも、ある日、美和子がクラスも名前も知らないヒトに、ひと目ぼれしてしまったの。なんとか彼を探しだしたい。ふたりは、おたがいの思いをつづった交換日記をはじめるけれど…。一方、他の学年の写真を借りて、幻の彼を見つけようと、かすみは近所で不良と評判の幼なじみ、和泉伸吾の家を訪ねることを決心して。
ボクこと小川モネが名門・私立白鳳高校に編入してから、はや半年。両親の離婚に落ちこむヒマもなく、今は文化祭にむけてカンカンガクガクの毎日(ボクは“生徒会役員”なのだ)。そんなある日、ひょんなことからプロの劇団を学校に呼んじゃおうなんてムボーな企画に巻きこまれてしまった(それもとんでもなくお金のかかる!)。『家庭ホーカイ』ぐらいじゃ落ちこんでなんかいらんないっ。
17歳の春。蝶子は聖園学院高校の2年生に転入学した。つらい初恋を忘れるために。そして、夏。長崎を旅して、蝶子はふたつ年下の男の子達に心ひかれていく…。やがて、秋、冬とめぐる季節の中で、恋を知り、恋に傷つき、でもその悲しみに負けないで、少しずつ大人になっていく少女の一年。
世の中、なんて不公平なんだろう。親友の亜理沙は、スポーツ万能、成績抜群、おまけにきれいで、取り柄のかたまりみたい子なのに。そんな子の友達でいられるのが不思議なくらいに、何をやってもダメなあたし。けどね、ちょっとキザっちい森野君と出会ってから、あたしも、少しずつ変わってきたような気がするんだ…。あーあ、森野君と亜理沙が“仲のいい幼なじみ”じゃなきゃいいのになぁ。
広子は22歳、一流不動産商社に勤めるOL。叔父の喜三郎から見合い話を一方的に押しつけられ、広子はなんとなくその気になった。本当は社内のエリート社員・武田に胸をときめかしているのだが…。見合い相手の健二は、CMプロデューサーというが、さえない男だった。見合いの席での喜三郎の行動にも腹をたてた広子は、早々と席をたった。ところが、その直後にふたりは街で再会した。