1988年発売
事故死を遂げたハリウッド・スター。捜査にとりかかったコロンボは、車に仕掛けられた奇妙な細工に気づく。野心にみちた歯科医がしるす謀殺のカルテ。-その謎に挑むうち、コロンボの疑惑は四年前の、もうひとりの俳優の怪死にのびていく。二つの死に共通する完全犯罪のトリックとは?カリブ海の楽園ジャマイカで何が起きたのか…。
800名の客を乗せた遊覧船がデトロイト川でテロ集団に乗取られた。そんな大事件も、殺し屋のマクリンには全く無関係の出来事のはずだった。しかし服役中の彼のボスが、自分の早期仮釈放を条件にFBIと裏取引を行なった結果、マクリンに事件解決への尽力を要求してきたのだ。やむなくマクリンは凶悪な犯人一味に単身挑むが!アル中の妻、ヤク中の息子を抱えた異色の中年殺し屋登場。-ハードボイルドの気鋭が描く会心のアクション。
王朝文学を華やかに彩った清少納言とはどんな人間であったか。-結婚、破局、中宮定子への献身そして公達・殿上人との恋模様など、謎の人間諾子の真実に迫る著者はじめての書き下ろし歴史小説。
美人の評判の保母・芝山里枝が顔を滅多打ちにされて惨殺された。新聞記者の根津が、死体に化粧を施す仕事に従事する影の薄い、老婆のような中年女に会ったのはその葬儀の日のことだった。事件を追う根津の前に、やがて明らかになるこの2人の女の因縁。そして真相に迫る根津にとりついたあの女の不気味な死の影ー表現作のほか、4篇の傑作ホラー・ミステリーを収録。
「どう?…触ってもいいのよ」少年の、唾を呑みこむ音が響くー。美人のスタイリスト・小夜子は、若くしてファッション界に君臨し、まだ初々しさの残る少年モデルを物色しては、貪り喰っているー。そんな小夜子を付け狙う男は、少年との写真をネタに脅迫する。凌辱の限りをつくした男の欲望で、初めて被虐の悦びを知り、果てもなくつづく獣欲に、小夜子は牝の泪をながすー。
福岡黒田藩6石取りの足軽の子に生まれ、父母妻子を捨てて志士の道に投じた歌人国臣は、西郷隆盛に「藩と幕府は無用有害。時代の要求は民衆を柱にした新しい国づくり。実現の道は公武合体でも佐幕でもない。ただ討幕のみ」と、火矢の飛び出す眼光で開眼を迫る。天皇に「回天三策」を献じると、討幕の潮流に火を点じるため生野に挙兵-。知られざる維新史の深部に迫る。
古びた洋館の一室、正装に身を包み大量の花の中に横たわって死んでいたのはこの館の主人で醜い容姿のために同僚たちから蔑まれ疎外されてきた男だった。まもなく復讐を告げる手紙が同僚たちに届き、彼らは次々に無残な死を遂げてゆく。そして「死者による殺人」という奇怪な事態の背後にはさらに陰惨で恐るべき真相が-。人の心の闇の部分を鋭く衝く、戦慄の書下ろし本格推理。
エディ・ブラック 28歳、売れない俳優、失業保険受給者、離婚歴あり、一人息子は前妻と同居。ある蒸し暑い7月の午後、エディの運命は変わった。永遠に…。エディは突発的な出来事から人を殺し、現場から逃亡した。だが、皮肉にもそんな彼にツキが回り、スターへの階段を…。-タクシー・ドライバーで生計をたて、3年を費やして完成したデビュー作。“ミステリー界の新しい潮流”とNYタイムズ紙絶賛の話題秀作。
芦花公園の近くでジョギング中のルポライターが殺された。数日後、今度はその恋人が車にはねられた。さらに横浜で若い女性の白骨体が発見された。三つの事件は明らかにつながっていた。十津川警部は事件を解くカギはルポライターがワープロで書いた消えゆく寝台列車同乗ルポにあると推理したが、神奈川県警の見解は違っていた。
広島で被爆した原民喜(1905-51)は、見たものすべてを書き尽すことのみを心に決め、激することなく静かに物語った。だからこそ「夏の花」「廃墟から」「壊滅の序曲」等の作品が伝える原爆の凄惨さと作者の悲しみを、いっそう強く深いものにしている。生前の作者自身の編集による能楽書林版(1945)を底本とした。
箱が人を殺したって…?なにせ密室の中で殺人が起こって、そこには死体と箱しかなかったというのだ。食べきれないほどのごちそうを期待して、パーティーに出かけた石津、片山両刑事の前に出されたのは、こんな難問だった。またまた怪事件発生!!毎度おなじみの三人と三毛猫ホームズが、家庭内の複雑な憎しみがもたらした、この事件のトリックに挑戦した。他に「三毛猫ホームズの披露宴」など6編を収録した絶好調の人気シリーズ。
夫を捨てて、突如出奔した母・絹子。「ドナウ河に沿って旅をしたい」という母からの手紙を受け取った麻沙子は、かつて五年の歳月を過ごした西ドイツへと飛ぶ。その思い出の地で、彼女は母が若い男と一緒であることを知った。再会したドイツの青年・シギィと共に、麻沙子は二人を追うのだが…。東西ヨーロッパを横切るドナウの流れに沿って、母と娘それぞれの愛と再生の旅が始まる。
絹子は娘・麻沙子の説得にも応じず、ドナウの終点、黒海まで行くと言い張る。絹子の若い愛人・長瀬の旅の目的に不安を感じた麻沙子とシギィは、二人に同行することにした。東西3000キロ、七ヶ国にまたがるドナウの流れに沿って二組の旅は続く。様々な人たちとの出逢い、そして別れー。母と娘それぞれの、年齢を超えた愛と、国籍を超えた愛を、繊細な筆致で描き上げた人生のロマン。
鎌倉の旧家、里井家の長男・幸太郎が鈍器で撲殺されたのを皮切りに、銃殺、毒殺と次々に恐るべき殺人が行われる。探偵事務所を営む手島利明とその恋人、輝子の2人は、莫大な財産目当ての凶行とみて調査を進め真相に迫る。里井家の少年がもらした「宝探し」のひとことが指し示す凶悪無類の真犯人は一体、誰か?
資産家に嫁いだ美貌の人妻・瀬戸溶子が突然消えてしまった。そして夕刊の風景スナップに彼女の姿が認められたとき、数人の男女が行方を追うため旅立った。やがて杜の都・仙台と美しい鳴子峡で連続殺人事件が起きる。溶子の謎の正体とは?真犯人は一体誰なのか?本格推理と愛憎劇の見事な融合、傑作長編。
桜の木の下に死体。そして血塗られた文庫本…。480キロ離れた横浜と奈良で、昼と夜、同じ状況で連続殺人が起こる。被害者2人を結ぶ細い糸を必死にたぐり寄せた浦上伸介だったが、彼の前に鉄壁のアリバイが立ちはだかった。高笑いする犯人の緻密なトリックを、あなたは浦上より早く解明できるか?