1988年発売
民間人初の宇宙飛行士、ウェイトレスのサンディーと探偵のデュークを乗せてスペース・ローリーは飛び立った。直後に地球は核戦争で壊滅。孤立無援の船はやむなく地上に降りた。しかし、地上に破壊のあとはなく、原始の自然が広がるのみ。しかも口のきけない村人達はサンディーを神とあがめるのだった。-故郷の石塔の中で女神サンディーヌがタリオンに語った不思議な物語。それは女神自らの運命をも巻き込んだ妖魔と人間の遥かな戦いの歴史だった。そして神々の血を受けついだタリオンの使命とは?いま新たなる戦いがタリオンを待ち受ける。
第二次世界大戦後、陸軍より独立し、一人歩きをはじめたアメリカ空軍。そこに六人の男たちが入隊した。ある者はパイロットとして、またある者は整備兵として、新生空軍の伝統を築きはじめる。その彼らが直面した第一の試練は、極寒の朝鮮戦争だった!数々の飛行シーンをまじえて、巨大組織アメリカ空軍に生きる人々の姿を描き、全米でベストセラーになった話題の大河航空ロマン。
朝鮮で初めて実戦を経験したケリイたちは、東西冷戦の中で空軍の中核に成長していく。空軍の過酷な生活は家族にも多大の犠牲を強いるが、妻たちは気丈に耐え、それぞれの生き方を模索する。だが東南アジアの小国ヴェトナムで発生した戦火が、彼らを飲みこみ、いま燃え盛ろうとしていた!ワイルド・ブルーー征服されざる蒼空に挑んだ男たちと、その家族を描く雄渾のサーガ。
ヴェトナム戦争は大きな試練だった。B52爆撃機隊を率いるワシントンは、優秀な北ヴェトナムの防空網に苦戦を強いられ、強引な攻撃方法を主張するデュークと衝突。一方、ケリイやガーヴィーたちも、ファントム戦闘機を駆って過酷な任務を続けていた。上層部の無理解のために、優秀な男たちが泥沼の戦場でつぎつぎと倒れていく。だが彼らは飛びつづけるー空がある限り!翼を愛した男たちと、彼らを愛した女たちが織りなす感動のドラマ。第二次世界第戦後から1970年代に至る空軍の歴史を通じ、アメリカ社会の変遷をも浮き彫りにする航空巨篇。
突然それは襲ってきた。海水浴中の教師チャイルズは、一瞬のうちに血の臭いに包まれ、恐ろしい光景を目にした。それが発端だった。その日から、予期せぬ時に幻影が見えるようになったのだ。それも、吐き気をもよおすような連続殺人の現場ばかりだ。まるで犯人と同化し、犯人の目を通して見ているように…。やがて狂気の殺人鬼は彼の存在を察知し、彼が勤める女子校に魔を手をのばしてきた。自ら望まぬ超能力を持った男の悲劇を描く、ベストセラー作家の代表作。
イギリスへ向うフェリーの船室で、劇作家アンソニー・ムーアは殺人事件を目撃した。驚いた彼は事務長に知らせに行くが、戻ってみると船室は空だった。数日後、二つの死体がイギリス南部で発見された。警察の依頼でムーアが確認したところ、それは件の殺人事件の加害者と被害者だった。内務省に所属する二人の男の話では、事件に莫大な額の金が絡んでいるという。不可解な思いに捕われつつも、ムーアは仕事でカナダへ赴く。だがそこにも邪悪な黒い影が迫ってきた!トロント市街と雪の森林地帯に展開する死の計略。新鋭が放つ力作サスペンス。
十八歳の誕生日を迎えて、フィリッパは実の両親を捜しはじめた。だが彼女が探りあてたのは、父は少女暴行罪で服役中に獄死、母はその少女を殺害した罪で今も服役中という恐ろしい事実だった。母メアリの出所が間近であることを知ったフィリッパは、養父母の反対を振り切って、出所後の母と一緒に暮らすことにした。だがフィリッパだけがメアリの出所を待っていたのではなかった。娘を殺された父親も、復讐のために、殺人者の出所を待ちかまえていたのだった…。人の犯した罪とは何か、親子の絆とは何かを問う、ミステリの新女王の戦慄の問題作。
暗黒街を牛耳る麻薬王ブルヌッチを監獄にぶち込む絶好のチャンスだった。彼の依頼を受けていた殺し屋が証人となることを承知したのだ。だが公判当日、法廷へ向かう証人は、何者かの手によって狙撃されてしまったー。目前で証人を殺された辣腕の黒人警部ラツトは、怒りの炎を燃え上がらせた。こうなったら手段は選ばない、何がなんでもブルヌッチを叩きつぶす!その夜、スーパードームのロック・コンサートに出かせたラットはそこで意外な人物に出会うが…黒人警部のパワフルな捜査を描き、ニューオーリンズの暗部を抉り出すシリーズ第二弾。
キューバによる宣戦布告なき対アメリカ戦争、白い十字軍(クルサーダ・ブランカ)作戦とは?失踪した夫を求める人妻を助けるうち、またも邪悪な陰謀に巻き込まれた隆治、柊子、ミゲル。奥アマゾンに浮かぶ巨大基地を舞台に、怒りと哀しみが交錯する…。最新書下し長篇!
推理作家の朝見は、自作の映画化に立合うため、ロケ現場の法隆寺を訪れた。女優・薬丸淳子は熱のこもった演技で短剣を胸に突きたてた。ところが小道具の短剣は本物で危うく命を落としかける。薬丸と朝見は犯人を追及するうち恋に堕ちるが、その眼前で次々と奇怪な殺人が…。しかもその殺人は朝見の作品そのままに、なおかつ作品を上回るトリックと謎を秘めていた!奈良-和歌山-東京を結ぶ殺意の延長線上に浮かんだアイドル歌手・岡村有香の飛び降り自殺。殺人者の死を賭した挑戦とトリックの暗示するものとは…。
レコーディング・ディレクターの不死原徹は、元恋人・スーザンの依頼で、富豪ジプシー・アルのため、レコード制作にロスへやってきた。アルのヨットに向かう車を、突然何者かが狙撃。運転手が言った。アルの客はすべて狙われる、と。ヨットのキャプテンは、徹を狙うのはネオ・ナチだと言う。そしてヨットが爆破され、さらにスーザンが誘拐されてー。ジプシー音楽の謎と、ネオ・ナチの組織が絡み合う冒険アクション。
サンフランシスコ、八月の日曜。探偵免許停止中の〈私〉は、妻に去られた親友のエバハート警部補と彼の自宅でけだるい午後を過していた。玄関のベルが鳴ってエバハートが席を立った。と、銃声が二つ。エバハートが撃たれ、飛び出した私も左肩を撃たれた。警察の捜査でも、犯人は中国人だということ以外、手がかりはまったくなし。エバハートはなぜ狙われたのか?好評“名無しの探偵”シリーズ待望の新作。
大名、旗本、豪商の邸のみを荒し、貧乏人に恵むという義賊次郎吉。町方の必死の捜索にもかかわらず杳として正体を見せず、江戸八百八町の暗闇を翔ける。だが豪商蔦屋の奸計に、次郎吉は追いつめられた。老いの一徹、次郎吉を追う目明し勘右衛門、奇妙な友情で結ばれる浪人小谷新九郎、蔦屋に追いたてをくらいながらも次郎吉に声援する貧乏長屋の面々…。下町人情を背景に義賊の活躍を描く長篇時代小説。
みちのくの外ヶ浜という浜に、善知鳥という名の珍が棲むという。自分を狩った猟師を、地獄で迎える鳥だそうだ。生きてる時は、黒い柔らかな羽毛に包まれた、お腹の真白なかわいい鳥だ。殺されると、恐ろしい金属の化鳥に変わる。嘴を鳴らして、猟師の肉を裂き、骨をつついて、どこまでも追い廻す。…表題作より。語りのたくらみによって物語の妖しい戯れを紡ぎ出す待望の短篇集。
太平洋戦争前夜の難局のなかで、衆望をにない首相となるが、日米開戦を避けられずに辞職し、戦後、マッカーサーによる戦犯容疑での収監を拒み、その前夜に自決した文人宰相の悲劇の生涯を、公私両面からあますところなく描く。毎日出版文化賞受賞。
孫娘の不慮の死に疑念をいだいたアモレル老婦人は、田舎の別荘で引退生活を楽しんでいるメグレに調査を依頼する。アモレル家を訪れたメグレは、そこで意外な人物に出会う。中学時代の同級生マリクが老婦人の娘婿として、この大富豪の一族を支配しているのだ。しがない税務署員の息子のマリクが…。彼は今の自分を誇示しながらも、一家の内情をメグレに知られることを極度に恐れている…。
出雲の諸手船神事の夜、1年前に死んだはずの村の有力者、那智慶一郎が突如、美保関に現れた。時を同じくして、出雲歌舞伎で沸き返る加賀戸村に異変が起こりはじめる。村の宝泉寺の五百羅漢に火がともり、誰もいないはずの賽の河原には子守唄が…。不吉な予感がした基子は、友人の麻理子と素人探偵のたかしを呼び寄せるが、出雲七不思議の手毬唄どおり奇怪な殺人がつぎつぎと実行されていく。神話シリーズ第一弾。