1988年発売
僕たち結婚しよう。二人で新しい生活を始めるんだ…。お互いに家庭のあるジェリーとサリーは、人目をしのんで愛しあい、ついにそう決意する。それぞれの妻や夫との確執や対立を乗り越えて、彼らは晴れて夫婦になれることになるのだが…。アメリカ東海岸のロング・アイランド海峡に面した美しい町を舞台に、二組の若い夫婦がくりひろげる長い夏の日のラブ・ストーリー。
モスクワの発電機工場主任技師クズネツォフ、本名マルムードフ。第二次大戦でドイツ軍の補虜となる。祖国での帰国捕虜処刑の噂から、アメリカ側偽造の身元証明を携えスパイとして祖国に潜入。彼が目にしたのは再婚した妻と、初めて見る娘の幸せそうな姿だった。ソ連の革命から現在まで、そしてアメリカの情報戦略の非情さをバックに緻密な筆で綴った、ある名もないスパイの生涯。
幼しくて母を亡くしたジャニュアリーは,米演劇界の大物プロデューサーとして知られる父マイク・ウェインを本当の恋人のように愛していた。高校を卒業した彼女は、父と二人きりの休暇を過ごす為にローマへ赴くが、その地で事故に遭い重傷を負ってしまう。3年に及ぶスイスでの療養生活を終えて、父の許に帰ったジャニュアリーを待っていたのは、父の破産・再婚という現実だったー。
父マイクの破産・再婚のショックを紛らわすかのように、ジャニュアリーは雑誌記者の仕事に情熱を注いでいた。インタヴュアーとして彼女は初老の作家トム・コルトと出会う。年齢の差を越え恋におちた二人。だが、幸福な日々も長くは続かなかった。そして最愛の父マイクと継母の死。巨額の遺産と共にジャニュアリーは独り取残された。華麗で哀しい愛の物語の意外な結末はー?
警察の保安顧問を務めるリーランドは、クリスマスの夜、ロスの石油企業で働く娘のもとを訪ねた。が、契約成功を祝うパーティのさなか娘の会社をテロリスト・グループが占拠する。偶然、彼らの目を逃れたリーランドは、最初の人質が射殺される現場を目撃。人質の命を守るため、彼はたったひとりで、テロリストたちに戦いを挑んだ。高層ビルでの死闘を描くノンストップ・アクション。
みずから望んで、砂漠化の進む中央アフリカの奥地に赴任した医師マロリーは、憑かれたように潅漑計画にとりくんでいた。が、そんな彼を嘲笑うかのように、突如、サハラ砂漠に巨大な川が出現する。マロリー川と名づけられたその大河を殺すべく、彼はあやしげなテレビ・プロデューサーとともに、水源を目指す奇妙な旅に出発した…。『太陽の帝国』のバラードが放つ話題の最新長編。
百合子を首相夫人にすると誓う渋谷忠太郎。彼は国会対策委員、副幹事長、そして大臣と、自民党内を出世してゆく。満たされぬ思いを抱きつつも夫に付き従う百合子。弁護士・辻と愛子の夫婦は全く別の人生を歩み始めた。やがてそれぞれの夫婦に思いもかけぬ事件が…。-戦後日本の輝きと翳りを描ききった、著者初めての社会派エンターテインメント。
日本を経済封鎖、完全占領するホワイトハウスの極秘プロジェクト「チェリー計画」を日本人記者太刀一希がスクープした。だが、計画は着々と進んでいく。日米会談決裂、日本のサミット脱退。孤立した日本に残された道は、ソ連と手を結ぶことなのか、それともすでに手遅れなのか-。詳細な情勢分析に基づき、10年後の日本の経済社会、政治情勢を描いた画期的なミステリー小説。
“作家になるべくしてなった”文学界の風雲児が、初めてその過去を語る。幼時の記憶、恋愛、夜の世界での体験から直木賞受賞に至るまで-本音と虚構とが見事に溶けあい、その多彩な魅力が集約された長編小説。
世界は「破滅」に向かっているのに、大人は誰も気がつかない-『ノーライフキング』、呪われたゲーム・ソフトの謎を追って、少年たちの新しい戦いが始まる。90年代の現実を鮮烈に描く、異才、注目のデビュー作。
1942年・夏、ひときわ熱く燃えた季節。ナチの軍靴の響きとともに訪れた、短くも激しい恋…。レジスタンスに身を捧げるジェロームと、少年の心をもつシャルル。2人の間で揺れ動き、過去におびえる女、アリス。出会いから7日目、ついに選択の時が来た-。恋愛小説の名手・サガンが奏でる、哀しい愛の三重奏。
『マクベス』の上演には必ず災厄がふりかかる-パリスもその言い伝えは知っていた。しかし彼自身が死体の発見者となり、殺人の容疑をかけられることになろうとは…売れない俳優パリスにひさびさに舞い込んだ仕事は、地方劇場で上演される『マクベス』の端役だった。共演者は皆、一癖ある俳優ばかり-思わぬ殺人事件に巻き込まれたパリスの悲喜劇を、才人ブレットが達者な語り口で描いた人気シリーズ最新作!
太陽系帝国財務相、ホーマー・G・アダムスは生きていた。島の王たちの作りだしたデュプロ、複製といつのまにかすりかえられ、誘拐されたアダムスーかれは五人の太陽系帝国要人とともにアンモニア大気に覆われた惑星グラハトに幽閉されていたのだ。厳重な監視下にありながら、ひそかに脱走計画をねりはじめた六人の前に、意想外の人物が現われた。もう一人のアダムスが姿を見せたのだ。少なくともどちらかが島の王が送りこんできたスパイのデュプロにちがいない。だが、偽者はアダムスだけなのか…。六人それぞれが疑心を抱きつつ、ついに計画は実行された。
恋しいエルミザードの消息を求めて、エレコーゼは黒い船に乗り、新たな次元ー〈輪の界〉へと出発した。そこで〈混沌〉勢力を粉砕すれば、エルミザードのいる次元へ帰れるかもしれないと信じて。〈輪の界〉の沼地を進むエレコーゼは、ナチス・ドイツの非道を逃れ、この次元にやってきたゲルマン貴族フォン・ベックと知りあった。ふたりは大型蒸気船に乗りこんで〈輪の界〉の中心部をめざすが、その行手には地獄の公爵バラリザーフの罠が待ちかまふていたのだ。さまざまに転生を重ねながら〈混沌〉を戦う英雄エレコーゼの活躍を描く、待望のシリーズ第三弾。
太陽系最大の惑星ー木星。神秘に満ちたこの巨大惑星に、果たして生命は存在するのか?この問題の究明こそ、地球を遥かに離れ、木星軌道上をめぐる観測ステーションで暮らす人々にとって、最重要の課題だった。木星をとりまくメタンやアンモニアの大気の奥深くにまで、いくつもの探査機が投入された。だが生命はもちろん、その存在を暗示する証拠すら、なにひとつ発見されなかった。ついに地球の国際宇宙局は、経済的な理由からプロジェクトの中止を決定したが…。科学者作家ベンフォードが最新の科学知識をもとに迫力あるタッチで描きあげた『アレフの彼力』の姉妹篇!
馬にひかれた真紅のシボレーが大通りを走り、通貨は稀少な蒸溜酒、昼夜をとわず武装自転車暴走族が略奪のかぎりをつくす奇妙な世界…だがこれこそ核戦争後の廃墟から甦ったロサンゼルスの姿だった!しかも、妖しげな“儀式”を行なって信者をふやす淫祠邪教が不気味に勢力を拡大している。ミュージシャンのリーヴァスは、かつての恋人がこの教団に囚われたと知り、その奪還を決意した。だが、総本山《奇人宮》への単身潜入した彼を待っていたのは、想像をはるかに超えた異様な光景だった!米SF界に新風を吹きこんだ期待の俊英が暗黒の近未来を描くディック記念賞受賞作。