1988年発売
ローラの一家は、インディアン居留地の小さな家を去り、長い旅のすえに、ミネソタのプラム川のほとりに移った。広大な肥えた大地で、小麦の収穫に目を輝かす父さん、学校へ通いはじめたメアリーとローラ。順調にすべりだした生活はある日とつぜん、いなごの大群におそわれたー。新天地を求め、力強く生きるインガルス一家の物語第3作。
人間の存在を揺るがす根源的な不安を、心の奥深くに刻んだ即時待機の特攻体験。終焉の日常は暗く美しい光を放ち、〈夢〉の世界へと飛翔して行った。死をかかえ込み極限を生きた特攻隊員の異常な生の日々を、穏やかな島の人々の生活と対比させ、鋭い感性で描く「出孤島記」など、生と死のはざまで、現実と非現実、日常性とは何かを問う島尾文学傑作7編。
1963年11月21日、ケネディ暗殺前夜、北大西洋“ブロッケンゾーン”と呼ばれる謎の海域において、極秘任務中のイギリス海軍の潜水艦が消息を断った。その夜、クレムリンの一室に集まった英独仏のスパイは、堅く秘密を誓い合い、本国へ帰り、栄光への階段を昇り始めた。そして二十有余年。同じ海域でSOUSAS網の点検任務についていたアメリカ海軍の深海調査艇『シーナイト』が、謎のメッセージを残し消息を断った。沈没海域は深度3500メートル。残存酸素量は48時間。陸海空に、必死の救援活動を繰り広げるアメリカ海軍。それを妨害する全ヨーロッパ海軍。彼らの目的は何か?シーナイトが深海で目撃した謎とは!迫真の書下ろし長編ハイテク軍事サスペンス。
夏休みを迎えた星子のもとに“魔少女”からカミソリ入りの手紙が届いた。そこには「宙太さんと別れなければ、お前を地獄へ落とす」という、おぞましい文面!さすがにゾーッとなったけど、そんな脅しも何のその、例によって新しい恋を求めて白馬へと旅立つ星子。しかし、“魔少女”の黒い企ては、親友のリツ子や春之介をも巻きこんで、北アルプスの山々を、暗雲でおおいつくそうとしていた。
あたしこと春田南子は憧れの清水先輩に頼まれて参加したハロウィーンの仮装パーティーで殺人事件に遭遇してしまったの。被害者は先輩の知り合いの女子大生。ところが、先輩、突然、あたしに一緒に来てくれって尾行の北野刑事たちをふりきると上野駅から寝台特急『北斗星』に。あたしちょっぴりドキドキ。もしかしたら何かが起きるかもって秘かな期待…そして起こったの。またまた殺人が。
しのぶの唱えたおまじないが彼女の生命を脅かす程の不幸を招くとは、しのぶ自身まだ知らない。だが、『妖気』をキャッチしていた人がいた。級友の自称霊能力者、松戸である。その朝、不運続きのしのぶは、初めてのラブレターを投函した。宛名は隣町の高校に通う敬介。が、敬介には恋人がいた。手紙を取り戻そうと、親友、小夜子の運転する車に便乗し、郵便車を追って、災いの中へと走り出した。
時は江戸中期、将軍・徳川家元の治世。神田極楽横丁・おけら長屋に住む浪人・長谷川誠之進の娘・お美津は、長屋の人たちと上野の山へお花見に来ていた。ところが、一陣の風が巻きおこり、空には怪しげな雲が…。閃光が走り、爆発音とともに落ちてきたのは、目を疑うような絶世の美少年!なんとなく彼に心ひかれるお美津だが、正体不明の少年をめぐって、つぎつぎと怪事件が発生し…。
パセリは麻布十番の洋食屋『ホームラン軒』の娘。男まさりで腕力には自信あり!でもスケ番にケンカを売られ、投げとばしたために、柔道部をクビになっちゃって…、幼なじみの達夫の誘いで文芸部に入部したのはいいけれど、書いていった詩をバカにされ、大激怒。でも、ひょんなことからその詩が雑誌広告に採用されることになって…。元気少女・パセリのパワフル・コメディー。
学校の行き帰りに通りかかるお店でみつけたアンチック・ドール。里沙は、なぜか心ひかれるその人形に「リサ」と名をつけた。リサを自分のものにしたいーそう人形に語りかける里沙の心の中に、ある日リサの答えがきこえてきた。リサと、声にならない会話をかわす里沙だが、不思議な予言の言葉が、心に響くようになり。-『里沙の日記』から。表題作ほか傑作SF短編5編を収録。
わたくし、宮さま主催の懇親会へご招待いただいたのに、大阪支社へ出張をいいわたされてしまったのです。支社で、秋本さんという明石家さんまさんにソックリな方と一緒にロック歌手・耶馬人の取材に行ったことから、殺人事件にまき込まれてしまったのです。どんなですって?わたくし、誘拐されたのです。殺されたのは、大阪に来る車内で見かけた女性。-お嬢さま記者・遥シリーズ第2作。
兄の綜太郎の勧めで郁生は兄と一緒に、小学生のためのサマースクールに学生リーダーとして参加することになった。夏休みのその時期、郁生は暇だったし、リーダーになるとバイト料が出る。4日間拘束だが、涼しい高原のキャンプはなかなか魅力的だ。顔合わせ後のミーティングは気楽なムードだし、スタッフのメンバーもみな気さくだったが、特に子供好きでもない郁生には少々不安が残った。
さとみは夏樹とフィギュア・スケートのペアを組んで4年目。気持ちはぴったりでも、さとみの体重増が悩みだ。そこへ現れたのが小柄でかわいい由加。彼女、どうやら夏樹とペアを組みたがっているらしい…。ヤキモチもあって自転車レースへ転向宣言をするハメになったさとみ。家業が自転車工場だからパパは大賛成だけど、わたし、自転車に乗れたっけ?女の子の意地をかけて、猛練習が始まった。
今日は、あたし(大谷リン)の高校の入学式。朝、バス停からその高校までのキャベツ畑のなかの道で、あたしはチョウチョの群れに襲われてしまった。「やだーっ!あっち行ってよぉ!」鞄をふり回し、必死で追い払っていると、突然横からプシューッとなにかがまかれた。見ると、ウェットスーツに身を包んだ男の人が、殺虫剤を片手に、右半分を泥だらけにして笑っていた。な、なんだ、この人?
本書に収めた五作は、「奇妙な味」を主題としている。推理小説の一つの分野となっている奇妙な味は、まずストーリーの意外性と、非日常性を身上とする。非日常と言っても荒唐無稽なお伽話とは異なる。それは日常の中にぱっくりと口を開いた非日常の世界である。
“キープ・オン・ローリング”-転がるのをやめたら、それでお終いなんだ。転がっている間は、どんなバンドも可能性のかたまりさ。自由を求める若者の、爆発するエネルギーとクールで繊細な生態を描いた、初の本格ロック小説。いま、小説から音が飛び出してきた。巻末には、「著者へのインタヴュー」を附す。
マンハッタンを舞台に、一方には都市の再活性化を計ろうとする市当局、その手先になっている新興マフィアがいる。他方には見捨てられた街に暮らす黒人やヒスパニツク、アジア系の若者たちがいる。両者の抗争の間に日本人建築家が飛び込んで、恋人と共にひとつの計画を練りあげる。摩天楼のアウトロウを舞台に繰りひろげられる、反文明のサスペンス長篇小説。
ケイと裕一のこと「六本木の悲劇」って言うのよ…。ジャズスポット『A列車』で毎夜演奏する木島裕一トリオ。恋人を交通事故で失なったヴォーカルのケイは、悲しみのため酒におぼれて声が出ずうまく歌えない。ジャズピアニストの父が失踪して20余年、裕一は結婚生活に破れて今はひたすらピアノを弾き、傷心のケイを励ます…。ジャズに魅せられた青春の光と影を奏でる愛情物語。