1989年10月1日発売
古い車を洗って、別れた日。受話器のむこうの柱時計の音。ポストカードから始まる恋。なにげない日々のなかの、心にしみとおるストーリーを描く、新鋭の書き下ろし作品集。
ジョン・ロークが命を救った地震学者だという女は、驚くべき情報をもたらした。核戦争の影響で新たな断層が生まれ、フロリダ半島が海に沈もうとしているというのだ。このままでは何百万人ものアメリカ人はもとより、進駐してきたソ連やキューバの将兵も海のもくずと消えてしまう。ロークは第二合衆国政府とソ連軍を一時休戦させようとするが…。
秋風だつバラクラヴァ。早朝から床みがきをしていたローマックス夫人は、猫のエドモンドがくわえてきたものを見て仰天した。アングレー教授ーのかつら!こんなこと教授に知れたら大変だわ。けれどもその心配は無用のものだった。すでにこの時、当人は博物館の裏で冷たくなっていたのだから…。シャンディ教授の名推理が光るシリーズ第四弾。
ここに一人の女がいる。若く美しい娘。身なりも高価そうだ。この娘が気の狂った殺人犯で、目下追われているなどと信じられるだろうか。しかも大戦中、レジスタンスの同志をゲシュタポに売った裏切り者だと?男は、ふとしたことで彼女の車に同乗した。そして、強く彼女に惹かれていくのに気づいた。孤独な男と女の、終わりなき旅がいま始った。
死体だらけだ。ずたずたに引き裂かれ、ねじくれた死体が散乱している。ニューメキシコの山のなか、公道をはずれた草むらにチャトは立ちすくんでいた。はっとして振り向く。繁みの奥に目を凝らす。眼だ。影のなかから、邪悪で憎悪に満ちた眼がー悪魔よりも古い生き物、それがやつらだ。蠢き、這いまわる影にひそむ無数の眼、そして牙。やつらが街を、人を襲いはじめたのだ。闘えるのは、シャーマンの力を持つチャトただ一人だった。
世界をわがものしようとする悪の化身ゾウナを倒すべく冒険の旅に出たきみたちは、死と隣合わせの危険に満ちたピラミッドを抜け出して旅を続ける。東へしばらく歩いたところに、不気味な城砦都市が待ち構えていた。〈ワルキューレの冒険〉三部作は、本書で最後にして最大の冒険へと突入する。大団円はもうすぐそこだ。大長編シリーズ堂々の完結編。
ホールデン・コールフィールドが大人になったら、こんなふうに語るかもしれない。ブロードウェイの売れない役者サンディ君が、ニューヨークの街をさまよいながら語る、とびきりファニーで、ちょっぴりさびしいラヴ・ストーリー。「ライ麦畑でつかまえて」のアダルト版登場。
“関が原の戦いに敗れ、六条河原で斬首されたのは、ほんとうに石田三成だったのか?”-本多正信は黒い疑惑にとらわれた。“敗軍の将たる者が切腹もせずに、縄目の恥辱を、ああもやすやすと受けるものか?それに助命をこうにしてはあまりにも尊大な態度だった。もしや…?”歴史の常識に挑戦する巻頭の「望蜀の炎」ほか、全7編。戦国にあやなす、武将たちのくろぐろとした欲望を鮮やかに描ききった傑作短編集。
丸の内に本社を持つ山東物産では、合理化の一環として、人材派遣会社から多くの若い女子嘱託社員を採用している。そして漁色漢の社長は、これらの女性と次つぎに情事を重ねていた。社長夫人の保子は、人事課長の及木と不倫をつづけながら、社長の女漁りの対象になりそうな“名器”の女性を探して社長から遠ざけるように及木に依頼する。夫人の意を受けた及木は、名器探しに専念し、奔放に、大胆に、並み居る女性とのめくるめく性の快楽を追求していく…。-意表を衝く情事のバリエーションを生々しく活写する気鋭の新官能小説。
あたし、バレー部の佐々木クンに一目ぼれしちゃったの。だけど、最初にカレをメつけたのは、親友のアイコなんだァ。友情をとるか、恋をとるかーウーン、迷っちゃう。けど、佐々木クンとヒョンなとこで会っちゃって、あたしのハートはグビグビ大接近!でも、その佐々木クンには好きな人が。
駅でみかけたステキなアイツーあとでわかったんだけど、彼の名前、野本康隆って言って他校のサッカー部だって。わたしたち仲良し3人組、ゆう、里香子、文音はたちまちトリコになり、追っかけ開始。まず、アプローチ作戦から…幼ななじみの弘志の助けをかりて、順調にコトは運んだンだけだ、誰が恋人になれるか、が大問題。
あたし、南条キリコ、聖キャロル女子学院中等部3年生。身長159cmだけど、容貌はそれなりの線はコえてると思う。ロンドンに行ったママから送られてきた不思議の国のアリスの“鏡”から、いきなり虹色メッシュのバーニイちゃんがとび出してきて、「Hi、ベイビイ!」だって。鏡の世界は不思議がいっぱいで…!
わたしって、どっちかっつうと一人でいる方が好きな普通の子だと思うんだけど…。名前は陽子、高校生だけど、人魚の生まれかわりなの。誰も信じてくれないけどネ。で、いろいろ事情があって、親威にあずけられたんだけど、その真柴家にアメリカ人がいたんだ。小説家のお姉ちゃんもいてオモシロカった!そこで、恋って何だか知ったの。
あたし、天野美鈴、15歳。ほやほやの高校一年生。江戸時代からつづく星雲一刀流の15代目。剣道の腕前をかくして剣道部に入った。だって剣の達人なんて知られたら、大好きな矢島先輩にきらわれてしまいそう。かわいい女の子になろうとするけど、青い眼、金髪の美青年・ジミーは美鈴の心もしらず。
平和相互銀行の帝王・鬼里山秀蔵は己の事業と地位をより強固にするべく、もと地検で“カミソリ”の異名を取った菊坂重光を顧問弁護士に迎え入れる。が、野望空しく鬼里山は急死。代りに菊坂が第2の帝王たらんと、鬼里山一族はじめライバル潰しを画策する。その内紛を政財界は座視するはずがなかった。平相銀呑み込み作戦が密かに開始されたのだ。