1989年10月1日発売
日本赤十字社の社員として大陸に渡った志摩たち救出隊は、オムスク駅で日本大使館補芦田均の出迎えを受け、英国側と作戦を練り直すため、モスクワに向かう。ペトログラードでは、レーニンによって指揮されたボルシェビキが武装峰起、臨時政府を倒して政権を掌握した。一方、元秘密警察の調査部次長ワシリー・イワノフは、甥のゲンリヒ・ヤーダとともに怪僧ラスプーチンが秘匿したというロマノフ王朝の厖大な財宝を手に入れるべく、皇帝一家が幽閉されているトボリスクへ…。果たしてニコライ2世救出は成るか?財宝は誰の手に!シベリアを舞台に息づく間もなく展開する救出行!第5回サントリーミステリー大賞・読者賞のダブル受賞の気鋭が放つ本年度最高の話題作。
東京で女子大生が誘拐された。父親のもとへ届いた犯人から手紙には、芭蕉の俳句が書かれているだけだった。仙台在住の郷土史家・実相寺禅堂と助手の貝原佐緒里が、謎の解明にのり出す。「奥の細道」ゆかりの地を訪ね歩いているうちに、事件の意外な真相が明らかになって…。須賀川-登米-鳴子…「奥の細道」ゆかりの地を舞台に展開する、長編トラベル・ミステリー。
日本の領空を侵犯したソ連の軍用機を、スクランブル発進した自衛隊機が撃堕した。航空自衛隊始まって以来の重大事件の発生に、防衛庁幹部、政府首脳はパニック状態に陥る。おりしも、陸上自衛隊にクーデターの動きが-圧倒的な迫力で読者を魅了する、近未来クライシスノベル。
古い車を洗って、別れた日。受話器のむこうの柱時計の音。ポストカードから始まる恋。なにげない日々のなかの、心にしみとおるストーリーを描く、新鋭の書き下ろし作品集。
ジョン・ロークが命を救った地震学者だという女は、驚くべき情報をもたらした。核戦争の影響で新たな断層が生まれ、フロリダ半島が海に沈もうとしているというのだ。このままでは何百万人ものアメリカ人はもとより、進駐してきたソ連やキューバの将兵も海のもくずと消えてしまう。ロークは第二合衆国政府とソ連軍を一時休戦させようとするが…。
秋風だつバラクラヴァ。早朝から床みがきをしていたローマックス夫人は、猫のエドモンドがくわえてきたものを見て仰天した。アングレー教授ーのかつら!こんなこと教授に知れたら大変だわ。けれどもその心配は無用のものだった。すでにこの時、当人は博物館の裏で冷たくなっていたのだから…。シャンディ教授の名推理が光るシリーズ第四弾。
ここに一人の女がいる。若く美しい娘。身なりも高価そうだ。この娘が気の狂った殺人犯で、目下追われているなどと信じられるだろうか。しかも大戦中、レジスタンスの同志をゲシュタポに売った裏切り者だと?男は、ふとしたことで彼女の車に同乗した。そして、強く彼女に惹かれていくのに気づいた。孤独な男と女の、終わりなき旅がいま始った。
死体だらけだ。ずたずたに引き裂かれ、ねじくれた死体が散乱している。ニューメキシコの山のなか、公道をはずれた草むらにチャトは立ちすくんでいた。はっとして振り向く。繁みの奥に目を凝らす。眼だ。影のなかから、邪悪で憎悪に満ちた眼がー悪魔よりも古い生き物、それがやつらだ。蠢き、這いまわる影にひそむ無数の眼、そして牙。やつらが街を、人を襲いはじめたのだ。闘えるのは、シャーマンの力を持つチャトただ一人だった。
世界をわがものしようとする悪の化身ゾウナを倒すべく冒険の旅に出たきみたちは、死と隣合わせの危険に満ちたピラミッドを抜け出して旅を続ける。東へしばらく歩いたところに、不気味な城砦都市が待ち構えていた。〈ワルキューレの冒険〉三部作は、本書で最後にして最大の冒険へと突入する。大団円はもうすぐそこだ。大長編シリーズ堂々の完結編。
ホールデン・コールフィールドが大人になったら、こんなふうに語るかもしれない。ブロードウェイの売れない役者サンディ君が、ニューヨークの街をさまよいながら語る、とびきりファニーで、ちょっぴりさびしいラヴ・ストーリー。「ライ麦畑でつかまえて」のアダルト版登場。
“関が原の戦いに敗れ、六条河原で斬首されたのは、ほんとうに石田三成だったのか?”-本多正信は黒い疑惑にとらわれた。“敗軍の将たる者が切腹もせずに、縄目の恥辱を、ああもやすやすと受けるものか?それに助命をこうにしてはあまりにも尊大な態度だった。もしや…?”歴史の常識に挑戦する巻頭の「望蜀の炎」ほか、全7編。戦国にあやなす、武将たちのくろぐろとした欲望を鮮やかに描ききった傑作短編集。
丸の内に本社を持つ山東物産では、合理化の一環として、人材派遣会社から多くの若い女子嘱託社員を採用している。そして漁色漢の社長は、これらの女性と次つぎに情事を重ねていた。社長夫人の保子は、人事課長の及木と不倫をつづけながら、社長の女漁りの対象になりそうな“名器”の女性を探して社長から遠ざけるように及木に依頼する。夫人の意を受けた及木は、名器探しに専念し、奔放に、大胆に、並み居る女性とのめくるめく性の快楽を追求していく…。-意表を衝く情事のバリエーションを生々しく活写する気鋭の新官能小説。
あたし、バレー部の佐々木クンに一目ぼれしちゃったの。だけど、最初にカレをメつけたのは、親友のアイコなんだァ。友情をとるか、恋をとるかーウーン、迷っちゃう。けど、佐々木クンとヒョンなとこで会っちゃって、あたしのハートはグビグビ大接近!でも、その佐々木クンには好きな人が。