1989年10月発売
あたし、仙子。仏心学園高校1年生。ご先祖さまは、女の子の足に見とれて空から落っこちちゃった久米仙なの。親友の青葉と図書館に行ったあたしは、すっごくステキな彼・温海さんと出会った。彼の目にみつめられて逆上したあたしは、運般用カートにのったまま、4階の窓からダイビング。そのままあえない最期!でも、気づいたのは図書館の屋上だった。もしかしてあたし、空を飛んだの?
「金太が好き!」大胆にも、クラスメートの前で佐斗子にライバル宣言してしまった結花。どうしようとあわててみても、あとの祭。好奇の視線がちょっぴりユーウツな毎日なんだ。おまけに、噂を知ってか知らずか、肝心の金太は以前とちっとも態度が変わらない。それが答なの?友達のままでいようってことなの?結花の中でだんだん不安が大きくなり…。好評『黒板にハートのらくがき』の続編。
バイトをクビになり、明日からどうしようかと困っていたわたしの所に、見知らぬじいさんがやってきた。彼は「萩原生菜子さんじゃね。わしは天野小次郎、あんたのおばあさんの恋人だった。わしのやっている下宿屋を手伝って下さらんか」と言った。えぇっ、いったいどういう事?でも、結局、その申し出を受けた。三日月荘、それが新しい職場。そこにはいろんな住人がわたしを待っていた。
南子、いとこの結婚式に出席するために、あるホテルに来ていた。そこで、ヘンなおじいさんに頼まれたのよ、花嫁になってくれって。でも相手はおじいちゃんじゃなくて、ニコニコ鉛筆の社長の息子さん。ホントの花嫁さんが式当日に行方不明になったらしいの。ヌッ、このままうまくゆけば玉の輿!南子、成り行きでウエディングケーキにナイフまで入れちゃって…これはなんだかアブナい予感。
あたし、高橋亮子、18歳。福島の田舎町を飛びだして、東京目ざしてバイクをとばしている。あんな町には、あたしのいる場所はなかったから…。バリバリのキャリアウーマンをしてる叔母の萠子の銀行を訪ねたあたしは、なんと銀行強盗にまちがえられた。うるさい叔母にうんざりし、町をうろつくあたしは、ふと立ちよったパン屋『らくだ』で、少年のような顔をして笑う店主・喜一と出会い…。
パリに住む写真家アドリアンは『世界のはじまり』に強くひかれ、『はじまりの地への旅』を企画していた。出発をひかえたある日、パリの映画館で、ひとりの娘、ミレナと出会った。ふたりはいっしょに暮らしはじめた。ミレナはチェーホフの舞台に立ち、アドリアンは旅立ちの用意を整える。アドリアンが『はじまりの地』として選んだのはチュルカナ湖、ケープケネディ、そしてヒロシマ。彼が旅立つ日、ミレナは「あなたの子供がほしい」とささやく。ふたりの歯車がすこしずつ違う方向にまわりはじれる。フランス書店賞受賞作品。
鬼才が描く4編の異常な愛の裏事情。-相続問題が引き金となって、嫁と舅の間に生まれた愛を描いた、「愛の帆掛舟」。癌に罹ったオールドミスの衝撃的な告白を綴った「愛の真珠具」。金持の息子とゲイボーイの愛の結末を描いた「愛の百万弗」。手堅い銀行員の夫に意外な愛人がー。夫婦の愛の行方を追求した「愛のハンカチーフ」。『愛の矢車草』の待望の続編、文庫書下ろし・各編挿画入り。
人間ってのは、みんな未完成な模造品だね、誰もが誰かを演じてるー。出来合いの「青春」を舞台にのせてドラマチックに演じきることを夢み、ついには、演技する自分を茶化すことにすら情熱を傾けてしまう永遠の青二才・亜久間一人。捉えどころのない「現代」をたくましく生き抜く自意識過剰な夢想的偽悪少年の、明るくねじれた自我の目覚めと初々しい愛と性の大冒険。新時代の青春文学。
フロイトの招きでウィーンに移住したペリー一家は、第二次ホテル・ニューハンプシャーを開業、ホテル住まいの売春婦や過激派たちとともに新生活をはじめる。熊のスージーの登場、リリーの小説、過激派のオペラ座爆破計画…さまざまな事件を折りこみながら、物語はつづく。現実というおとぎ話の中で、傷つき血を流し死んでゆくすべての人々に贈る、美しくも悲しい愛のおとぎ話。
キンギ牧師暗殺は、じつは本人の意志であり、その実行には、牧師の後継者で副大統領候補のバーネットが加担していた、という驚くべき情報がM16にもたらされる。休職中だった中年アナリスト、レイシーは、その真偽を確かめるべくスペインに飛ぶ。だが、情報提供者は殺され、レイシーは国際的な大陰謀に巻き込まれてゆく。老練な謎の暗殺者と中年スパイの死闘を描く長編サスペンス。
英国政府が矯正不能な男達を集めて大西洋の孤島に作った流刑地サート。そこではファーザーと呼ばれる男が指揮する規律ある集団ヴィレッジとアウトサイダー達が抗争を繰り広げていた。その陰で密かに進む脱出計画。そこに送られたラウトリッジを待つ運命は…。無実の罪に陥れられ、絶望のどん底に突き落とされながら、過酷な流刑地で人間として成長していく男の姿を描いた冒険小説。
野性よ、疲弊した文明を撃て。大雪山の闇を歩く。木が勾い、ヒグマが鳴いた。夜が明けると、そこは原初の村-自然とともに生きる人々の集落にまぎれこんだコンピュータ販売人が見たものは?迫力に充ちた長編小説。
20歳の娘アリスンはニューヨークに住んで演劇学校に通っている。芝居は彼女が夢中になれる唯一のもの。ボーイフレンドたちのいいかげんさにうんざりしていたとき、ディーンと出会った。彼は今までの男の子たちと全然違っている。優しくて知的だ。でも囲りの人間たちは二人の純愛を温かく見守ったりなんか決してしてくれない。強引に誘われたパーティー、それは二人にとって、ちょっと残酷なものだった…。80年代のサリンジャー、マキナニーの最もサリンジャー的作品。愛に向かって手を差しのべる、ポスト・モダンガール、アリスンの物語。