1989年3月1日発売
泥沼の前線から呼び戻され、軍需物資あふれる闇市場の調査に歩く韓国軍兵士安栄奎、解放戦線に志願し、恋人と別れて山に入るベトナム人学生ファン・ミン。2人の若いアジア人の目の前に交錯する、生と死、謀略、野望、狂気、阿片、そして革命と統一…。自ら海兵隊員として参戦した体験のある黄晢暎が放つ、80年代韓国の大ベストセラー長編小説。
文字通り8の形をした“8の字屋敷”。この奇妙な建物が殺意を育ててしまった。男は誰も入れるはずのない部屋から放たれたボウガンで殺され、女さ閉ざされたドアの内側に磔にされた!犯罪芸術をめざす犯人と速水三兄妹の華麗な頭脳合戦の果てに二重三重の逆転劇が待ちうける。新本格推理に若き旗手いま誕生。
出雲の日御碕で女が殺された。しかし、そのとき、容疑者には、寝台特急「出雲」に乗っていたという絶対のアリバイが!巧妙に殺されていく4人の男女、犯行の動機まで解明されたが、逮捕には遠かった…。東京・出雲を結ぶ壮大なアリバイトリックに、恋人探偵の壮と美緒のコンビが挑戦する著者自信の傑作。
なぜ(Why)いつ(When)…そして誰が(Who)の3つのWが、事件が起こるたびに逆転して、捜査陣を大混乱に陥し入れる。たとえば奥多摩の鐘乳洞で突然出現した死体、そして渓谷を静かに渡っていく死体。どの場面にも「彼女」は近くにいて、確固たるアリバイもある。真犯人は果して誰か、驚愕のWhoが浮かぶ。
明治薩長体制の管理を離れ、広大な中国の大地に雄飛した今野頑太ら若き壮士たちは、自らの理想を大陸に実現せんと血と汗を流す。一方、上海行の船上で知り合った天草の少女お静は頑太を慕いながらも、苛酷な運命にもてあそばれて娼館へ売られていった。日中の交流に全人生を捧げた男たちの熱血ロマン。
新しい都会小説のジャンルをひらく、山際淳司の第一小説集。冷たい風が北北東から吹き、上空千五百メートルの気温がマイナス三度を下回ると、東京を春先の雪が包む。大都市の空中楼閣で季節はずれの舞いを見せる男と女、ひび割れた日常の中での、つかのまの透明な時間…。奇務な味の連作物語12編。
幕末の長州に生まれ、先取の気性と果断な行動で尊王攘夷の志士となった高杉晋作の短かく激しい生涯は、まさに動乱の世を奔るものだった。その晋作のユニークな素顔を、松下村塾時代の師、仲間、奇兵隊結成でバックアップした豪商、あるいは愛人だった芸妓などの視点から鮮やかに描き出した、著者得意の領域の歴史小説集。
伽〓琴に合わせて舞う私の白い蝶。移り行くウリナラの風景の中で、ありのままの姿で変わらずに生きようとする若い女性のほとばしるエネルギーを描く「ナビ・タリョン」。最後の安息を求める無垢で無防備な心に寄せる弔歌「かずきめ」。他に一編収録。在日韓国人二世作家の新しい風・新芥川賞作家の第一作品集。
エロ作家と自称する傍観者・峯三郎を小説の目に据え中国文化研究会のメンバー、情人蜜枝、マルクス青年守、桃代、支那浪人細谷源之助…。多彩な登場人物たちの3日間を切りとり、時間の同時性と野太い文体を駆使して貧婪無気味な人間探究を展開する。無限の苦悩と憧れの象徴〈中国〉を背景に混沌とした社会の肌を非情な眼で生々しく抉る戦後文学の記念碑的傑作。
どーしよう、どーしようっ、どーしようったらどーしようっっ!スープを飲んだ途端、突然苦しみだして倒れた蕗子さんたち、それに、ああこともあろうにあの美女丸までが、意識不明の重体にっ!事のはじめは親友カバちゃんの「ミーシャを守って!」という切なる頼み。ところが、その夜のうちに白〓@51B3の美少年は水もしたたる焼死体に!いったい犯人は何者?そして、皇帝の財宝とはっ?
春休み、3人娘はスキー場の近くにある舞の叔父の家へ。とは言っても…高級ホテルのような家とハンサムなおじさまに、由美とおケイはうっとり。同じころ、ゲレンデでは…。人気シリーズ第5弾。
受験シーズンのさなか、ケンイチとミサコが通うS高に起こったのは、進路指導室の放火事件。現場には、ジェームズ・ディーンの肖像が描かれた1冊の『ライ麦畑でつかまえて』が残されていた…。ふたりが犯人さがしをはじめた直後、今度は2年B組の窓ガラスが割られるという事件が発生。そしてそこには、ディーンの絵と謎の暗号文が…!ケンイチとミサコのユーモア・ミステリー第5弾。
幼なじみのマコに“思い”をつげてから、俺の世界は変わり始めた。いつもそばにマコがいるーそれが、今はたまらなくいとおしく思える。だから、なんとしても一緒に高校に…との願いも空しく、俺たちは別々の高校に通うことになってしまった。そんなとき俺は、凍えた色の瞳の少女・唯と出会い、その兄貴代わりになることになってしまったのだが…。続「キミのハートを追いかけて」。
やあ、みんな、ひさしぶり!ぼくたち魔訶不思議研究会のことは覚えているね?今回マカフシ研のメンバーは、ここ御殿場の、とある山中に春合宿にやってきている。実は、サヨリンのおじさんの経営するペンションに出るという幽霊の調査を兼ねているんだけど…。そこでぼくを待っていたのは世にもおぞましい恐怖の体験と、そして…胸の痛くなるような切ない思い出だったんだ…。
紋間公平は私立西陵武蔵野高校の学校医を務めている。もちろん本業は病院勤めの外科医だ。その病院へ、西陵の女子生徒・坂巻由美が救急車で運ばれてきた。由美は学校でも手に負えない生徒の1人。階段をふみはずしてケガをしたというが、由美は何かを隠している、と公平は思った。由美の見舞いに訪れたのは、非行少女3人組、そして、真面目な真由美という対照的な生徒たちだった。