1989年3月発売
コンビニエンス・ストア「オールデイズ」目黒店で、毒入り弁当が発見された。この店の一人娘内藤典子に。本社勤務のエリート相原邦夫はずっと片想いを続けてきたのだ。相原はすぐに目黒に直行したが、その夜、殺人事件が起きる!男女の鮮烈な愛と、現代の不夜城コンビニエンス・ストアの知られざる内幕を描く。
25の謎であなたに挑戦する、鬼才岡嶋二人の傑作推理短編集。犯人はだれか、なぜ完全犯罪は破れたか、暗号やダイイング・メッセージの解読。「ちょっと考えてみて下さい」という文章が探偵ゲームの始まりです。南伸坊のイラスト入り、超短編ミステリー集。
娘ざかりを剣の道に生きたある武家の娘。色白で細面、けして醜女ではないのだが父に似て口がいささか大きすぎる。そんな以登女にもほのかに想いをよせる男がいた。部屋住みながら道場随一の遣い手江口孫四郎である。老女の昔語りとして端正にえがかれる異色の表題武家物語のほか、この作家円熟期の秀作7篇。
ある夜、花子探偵は男のヒトとお酒をいっぱい飲んじゃった。酔ったあげく、彼の部屋で朝を迎えるとそのヒトがバスタブで死んでいた。花子の体にはユビ1本触れず、何者かに殺されたそのヒトのために体を張って犯人探しをする花子クン。ご存知南条、青野両刑事の活躍もあいまってホシは追いつめられた。ホシはオシャレで変質者という意外な事実も分ってくる。花子探偵の腕のふるいどきだー。
この作品においてドストエーフスキイは人間の魂を徹底的に悪と反逆と破壊の角度から検討し解剖しつくした。聖書のルカ伝に出てくる、悪霊にとりつかれて湖に飛びこみ溺死したという豚の群れさながらに、無政府主義や無神論に走り秘密結社を組織した青年たちは、革命を企てながらみずからを滅ぼしてゆく…
非凡な頭脳と繊細な感受性そして超人的な体力に恵まれながら、思想も感情も分裂し、悪徳と虚無に生きる呪われた男スタヴローギンを主人公に、狂言的革命主義者ピョートル、ロシア正教に根ざす民族主義者シャートフ、徹底した反宗教的個人主義に生きるキリーロフら、革命思想に憑かれた人間たちの破滅を描く現代の黙示録。
恒星間ゲートを利用して未知の惑星に志願者を送りこみ、回収の時まで無事生きのびていられたら合格。これが上級サバイバル・テストだ。よし、やるぞ!ハイスクール生徒のロッドは、両親の猛反対を押しきって、クラスメイトたちとともにゲートをくぐった。事故で回収が不可能になることなど、露ほども知らずに…。ロッドの長い戦いが始まった。
地獄の池で見つけた一筋の光はお釈迦様が垂らした蜘蛛の糸だった。絵師は愛娘を犠牲にして芸術の完成を追求する。両表題作の他、「奉教人の死」「邪宗門」など、意欲溢れる大正7年の作品計8編を収録する。
「もはや、自分は、完全に人間でなくなりました」廃人同様のモルヒネ患者の手記の形を借りたこの作品は、無頼の生活に明れ暮れた太宰治自身の自伝であり、遺書ともいえる(「人間失格」)。ほかに家族の幸福を願いながら、自らの手で崩壊させる苦悩を描いた絶筆「桜桃」を収録。
はるか数千年の昔、アラビア半島の大ナフード砂漠の奥深く栄えたという伝説の都市イラム。その古代都市を本拠にする謎の組織によって拉致されたデイヴィッド・ローゼンを救出すべく、美貌のパレスティナ人ガイド、レイラ・ラシドとモサドのショーレム大佐の一行はナフード砂漠の奥地めざして旅を続けるが…。世界世覇をもくろむ地下組織と、それを阻止しようとする考古学者の死闘を、壮大なスケールで描く冒険伝奇サスペンス巨篇。
日本では卑弥呼が邪馬台国を統治する頃、中国は後漢も霊帝の代、政治の腐爛は黄巾賊を各地にはびこらせ、民衆は喘ぎ苦しむ。このとき、たく県は楼桑村の一青年劉備は、同志関羽、張飛と桃園に義盟を結び、害賊を討ち、世を救わんことを誓う。--以来100年の治乱興亡に展開する壮大な世紀のドラマ。その華麗な調べと哀婉の情は、吉川文学随一と定評のあるところである。
黄巾賊の乱は程なく鎮圧されたが、腐敗の土壌にはあだ花しか咲かない。霊帝の没後、十常侍に代って、董卓(とうたく)が権力の中枢に就いた。しかし、群雄こぞっての猛反撃に、天下は騒然。曹操が起ち袁紹が起つ。董卓の身辺には、古今無双の豪傑呂布(りょふ)が常に在り、刺客さえ容易に近づけない。その呂布が恋したのが、董卓の寵姫貂蝉(ちょうせん)。傾国という言葉は「三国志」にこそふさわしい。
黄巾賊の乱より10年、天下の形勢は大いに変っていた。献帝はあってなきものの如く、群雄のうちにあっては、曹操が抜きんでた存在となっていた。劉備玄徳は、関羽、張飛を擁するものの一進一退、小沛の城を守るのみ。打倒曹操!その声は諸侯の間に満ち、国舅(こっきゅう)董承を中心に馬騰、玄徳など7人の謀議はつづく。誰が猫の首に鈴をつけるのか。--選ばれたのは、当代一の名医吉平。
乱世の姦雄を自称し、天下を席捲した曹操も、関羽には弱かった。いかな好遇をもってしても、関羽の心を翻すことはできない。玄徳を慕って千里をひた走る関羽。そして劇的な再会。その頃、兄孫策の跡を継いだ呉の孫権は、恵まれた自然と豊富な人材のもと、国力を拡充させていた。失意の人玄徳も、三顧の礼をもって孔明を迎えることができ、ようやく天下人として開眼する。