1989年5月発売
曹真をはじめ多士済々の魏に対して、蜀は、玄徳の子劉禅が暗愚の上、重臣に人を得なかった。蜀の興廃は、ただ孔明の双肩にかかっている。おのが眼の黒いうちに、孔明は魏を叩きたかった。--かくて祁山の戦野は、敵味方50万の大軍で埋まった。孔明、智略の限りを尽くせば、敵将司馬仲達にもまた練達の兵略あり。連戦7年。されど秋風悲し五丈原、孔明は星となって堕ちる。
友人との約束で、葉山マリーナに出掛けた兼坂浩一。その目の前で艇が大轟音とともに爆破された。一体、何者の仕業か?そして友人の安否は?謎は謎を呼び、さらに浩一に死の恐怖が次つぎと襲い掛かる。そんな折、突然、祖母が不可解な死を遂げた。遺された古新聞に包まれた白いレース掛け。爆破事件と祖母の死は連動しているのだろうか?事件は、イワノフ王朝の秘宝をめぐり、国際的な、壮大な展開を見せてゆく…。ボルシェビキ革命直後の歴史的な謎を題材にした書き下し大長編。
「あなたには死相が見える。自ら死に赴く者を救えば、あなたも救われる」京都を訪れた折、占い師から告げられた予言どおり、氷川隆也は、相模湖で身投げした絶世美女を救った。やがて彼女を愛し始めた氷川は、悪妻京子の殺害を企てたが、計画は失敗に終わった。ところがその後、京子は大阪・道頓堀で何者かに毒殺された。だが、隆也をはじめ、殺害動機を持つ者たちには鉄壁のアリバイがあった…。古都の四季を背景に、驚くべきトリックを駆使して描く本格推理の傑作。
「ブルーダイヤはどこだ!」ある夜、ソープ嬢藤木美輪は、2人組の男に襲われた。失踪した美輪の兄が、強奪した50億のダイヤを独り占めしたという。半信半疑の美輪は、兄の一人娘良を預けてある探偵緒形に、ダイヤ探しを依頼。緒形は恋人の短大生温子、元警官でオカマの未宇と調査を開始した。マセチビ天使・良に振り回される大人たち。やがて、ダイヤを狙うもう1つの影が浮かび上がり、ついに殺人事件が発生した…。人気女流が書き下ろした傑作ユーモア推理。
西暦紀元前54年、エジプトの首都・アレキサンドリア。エジプトに滅ぼされた小国キルマの生き残りアシラスは、大商人イスペロに育てられ、野性的な13歳の少年に育っていた。ある日アシラスはプッチ、ペロポとともに、運河で溺れかけた少女を救うが、彼女はプトレマイオス朝の王女・クレオパトラだった。彼女との出会いにより、アシラスの不思議な運命の扉が開かれようとしていた…。