1989年9月1日発売
ニューヨーク市警のはみだし刑事ニックは、所轄管内で2人の人間を殺害した日本人サトウの護送を命じられる。が、相棒のチャーリーともども大阪空港に着いた早々、出迎えの警官に扮した一味に、まんまとサトウを奪われてしまう。この大失態を挽回すべく、アメリカ人刑事コンビは、言葉もわからぬ異国の大都会で必死の捜査を始める。大阪を舞台に描く異色のポリス・アクション。
泥沼の戦争がつづく近未来の中米。米軍砲兵隊特技士官ミンゴラは、潜在的超能力開発の訓練を受け、特殊部隊に参加する。彼を特ち受けていたのは、悪夢にも似た非現実的な世界だった。ジャングルの奥深く、墜落したヘリの中で息づく人工知能コンピュータ。戦争の背後に蠢く2つの氏族。謎の女デボラ…。現代アメリカ文学の俊英が魔術的リアリズムで描く、21世紀の「地獄の黙示録」。
全長1500メートルの洋梨型宇宙船が、突如モルゲンロート封鎖星域に侵入してきた。マゼラン星雲の方向からやってきたその未知宇宙船は、警告通信にも応答しないし、威嚇射撃にも反応しない。太陽系帝国艦隊の戦艦〈オマゾ〉は宇宙船をやむなく攻撃、破壊した。だが、爆発の雲からグリーンに輝く巨大なクリスタルが出現し、宇宙船のとっていたコースどおりに光速の10パーセントの速度で飛んでいくのだ。〈オマゾ〉の艦長は、この奇怪な物体の監視を命じられたが…。
星界を征服し、あまたの植民星を築いた人類に、災厄がふりかかった。度重なるワープ航法が空間を歪ませ、時空から秩序が失われた結果、大半の植民星が孤立化を余儀なくされたのだ。地球文明と切り離された人々は、やがてみずからの出自も忘れていく…。そうした星の一つ惑星エキドナにひとりの旅人が訪れた。中世さながらの状態にとどまっているエキドナの住民にとって、惑星イガラから訪れた旅人フィオナが語る星の世界の物語は、想像を絶するものだった。そのおりもおり、エキドナに史上最大規模の戦乱が発生した。新鋭が描くSF叙事詩。
フィオナの目的は、自分たちの進んだ科学知識をエキドナにわけ与えて、文明を段階的に進化させ、人類の再統合のいしずえを築くことにあった。だが多くの都市国家に吹き荒れる戦乱と、複雑な階級制度の生み出す権謀術数の渦にまきこまれ、“進化の使者”としての使命達成は困難をきわめた。その反面で彼女は、名誉と誇りを重んじるこの星の文化に心を惹かれていく。そして、心から理解しあえる相手とめぐりあった彼女を、思わぬ陥穽が待ちかまえていた…。大型新人ウィリアムズが、進歩を求めてやまぬ人類の姿を描く雄渾のSFスペクトル巨篇。
大昔の電力施設の廃墟を行くジャンジャンの足の下で何かが、乾いた音をたてて潰れた。それは、有機/無機混合系生物ー通常、“人間”と呼ばれる、ジャンジャンの種族のプラスティックのしゃれこうべだった。だが、ジャンジャンがこの場所に足を踏み入れた目的は、伝説の有機系生物の存在の証拠を求めてなのだった…人類滅亡後に地球の支配者となった種族を描く表題作をはじめ、タイムカプセルに詰め込んだ自社製品の効用を見るため、タイムマシンで未来へ行く男の話「タイムカプセル」など、1988年星雲賞受賞作家が描く傑作SF短篇集。
カルロスの死体から生じた“闇”が再び世界を覆い始めていた。一方、トカゲ・ライダーズの魔手を逃れ、別れ別れになったワニ、クサフリ、マリエらは各々妖女とのあぶない行為や大自然の猛威、謎の美丈夫との恋などを経験しつつ、いつしか無限の深さをもつ大渓谷へ向かう。騎兵隊に追われる尻尾怖いらも加わり、期せずして主要登場人物一同が目指すそこには、惑星を発見した探査船が眠っているという。ついに、この奇妙な惑星の謎が明かされるのか。果たして闇の侵攻を阻止できるのか。愛すべき能天気野郎のシリーズ完結篇。その首尾やいかに?
生物兵器の開発では世界の最先端を行くイギリスのモードン研究所。その実験室に何者かが侵入し、所員を殺害した上、恐るべきウイルス、サタン・バグを奪い去った。このウイルスは微量で全世界を破滅させることができる。これを防ぐワクチンは発見されていない。前警備部長のキャヴェルは内部の犯行と見て、調査を開始。だが不敵な犯人は、研究所を閉鎖しなければ、奪った生物兵器をロンドンで撤くと通告してきた。果たしてキャヴェルは残された時間で犯人の正体を暴き、惨事を阻止できるか?冒険小説の王者が忍び寄る生物兵器の恐怖を描く。
妻の49回目の誕生日に、わたしは妻を殺した。結婚してからひと月とたっていなかった。当年とって28歳のわたしが、20も年上の独身女と結婚したのは、もちろん金が目あてだ。だが、せっかく遺産を手に入れても、自分が捕まってしまっては元も子もない。綿密な計画のもとに、殺人を実行したのだ。そして、すべては順調に進んでいたのだが…。妻殺しをたくらんだ結婚詐欺師の唯一の誤算とは?上記シリア・フレムリンの「最後の土曜日」はじめ、ピーター・ラヴゼイ、パトリシア・ハイスミスら、現代イギリス人気作家10人の傑作書き下つし短篇を収録。
警備会社経営のため、ハザードは全財産を手にテキサスを訪れた。それがトラブルの始まりだった。到着早々別居中の妻の死体を発見したばかりか、殺人容疑までかけられてしまったのだ。これは何者かの罠か?単身事件の謎を追う彼の前に、やがて町のボスの影が浮かび上がるが…灼熱の町を舞台に、暴力を嫌うタフガイの捨身の闘いを描く力作ハードボイルド。
アメリカ海軍の最新鋭ミサイルがテスト中にフロリダ沖で行方不明になったらしい。マイアミ・ヘラルド紙の女性記者キャロル・ドースンは特ダネをスクープするため、証拠を得るべくフロリダで行動を開始する。船をチャーターしたキャロルは見当をつけた場所に船のクルーとともに潜り海底を探すが、そこで見つけたものは沈没船の財宝の一部と思われる金色に輝く不思議な形をした物体だった。だが、彼女たちが持ち帰った物体は沈没船の財宝でもなければ、金でさえもなかった。はたして金色の物体の正体とは?そしてカモフラージュされた珊瑚礁に隠された秘密とは?巨匠クラークがNASAのエンジニアであるジェントリー・リーと組み、今までとは違う新たな境地を拓いた最新長篇。
辺境の森に、忽然と姿を現わした一人の男。鋼鉄の筋肉と燃える眼をもつその男は、しかし、豹頭人身の異形の超戦士であった。自らの過去を知らぬその男グインと人々との出会いが、闘争と激動の運命を展開してゆくことになるとはそのときまだ誰も考えてはいなかった-。現代のロマンの語り手栗本薫が、壮大な構想のもとに繰り広げる大河ロマン。シリーズ開幕を告げる辺境篇が愛蔵版としてここに登場。
深海には恐怖が潜んでいる。暗闇、水圧、奇怪な生き物。だが、それらより遥かに恐ろしいものが、三百年のあいだ海底で眠り続けていた…航空機墜落現場調査班メンバーである心理学者ノーマンは、南太平洋上の米海軍海洋調査艦へ、急遽召集を受けた。三百メートルの海底で正体不明の宇宙船が発見され、しかもサンゴの付着状態から判断して、沈んでから少なくとも三百年の歳月が経過しているという。ノーマンたち科学者チームは、米海軍軍人チームのサポートを受けて、海底居住区で生活しながら宇宙船を調べることになった。この船はいったいどこから来たのか?誰が乗っていたのか?さまざまな謎と格闘するうちに、彼らは宇宙船内で不思議な球体を発見した。ストーリイ・テラー、マイクル・クライトンが放つ、『アンドロメダ病原体』をしのぐ最新サスペンス巨篇。