1989年9月1日発売
「自分が学校から脱落するのではなく、自分から学校にさよならする」と決めた14歳の少女夏実。「ほかの子がちゃんと行ける学校へ、行けないような子に育ててしまった」と自らを責める母の史子。肉親、隣人・教師たちはそれぞれの立場から、この母娘を見守る。無機質なシステムと化した学校をめぐる問題を、現代を生きるすべての人々に関わるものとしてとらえた社会派小説。
「花まつりを見に行きます」という絵ハガキを遺して死んだ姉・直美。その足跡をたどって岡田美沙緒は北海道を訪れる。冬の花まつりとは一体なにを意味するのか?そして人妻の事故死との関係は?すべての謎が解け、姉の愛した男をさがしあてたとき、美沙緒を待っていたのは、想像を越える慟哭の真相だった。
東京近郊の高校を卒業した男たちの数奇な人生。周辺住民に追い立てられるメッキ業者、サラ金に迫われて非道な取立人に変身した男、怪しげな技でくいつなぐ大道芸人、強運に妻に救われる元博奕打ち等、中年男たちの、怨念、反骨、乱暴な友情、切ない恋愛を、辛辣にユーモラスに描く、新風都会派傑作短編集。
パレスチナ解放勢力とイスラエル軍がきびしく対峙するレバノン南部ー、日本人ジャーナリスト峯元彦は、PFLPのコマンド隊の軍事行動に参加。火を吹くカラシンコフ自動小銃、轟く対空砲火。戦争の悲惨と人間解放の困難さを目の当りにした峯は、それでも戦火の中で真の自由を獲得する道を探し求めた。
「忘れられないわ。素敵だったルート19、そして、あなたも」ほんもののツーリングを教えたくてタンデムランに出たぼくと彼女。雨あがりのルート19、ぼくはマシンを止め、彼女の手をとるー。表題作をふくめ、メカニックと女とバーボンと、ちょっとセンチメンタルな関係をみずみずしく描いた六編を収録。
星子、両親のアメリカ旅行のお伴ができず、今回は葉山のリゾートマンションでひとり暮らし。葉山ならショーナンのいい男をまとめてハントできるかも…なんて気分ワクワクだったけど、ただではすまない我らが星子。宙太との同棲、不倫の恋、そして恐ろしい殺人事件。あげくのはてに東北大追跡と並べきれない忙しさ。夏は女の子が狙われるアブナい季節ー今年の夏はホントにアブナいっ!ユーモア・ミステリー。
時は優雅な昼休み。場所はひそかに、階段下の道具置き場。ここを溜まり場にするあたしたちは、つっぱり。通称、階段グループ。例によって、メンバーは三上、美也子、立花、そして良子。モクふかしながら、美也子が言うには、我らが早匂悠樹が、暴走族の『狂竜党』に狙われてるって。そして、『狂竜党』の頭の女がなぜか学校に転校してくるって話。これはちょっとタイヘンなことになるぜ…。
怪力の持ち主・舞にプロポーズする慧の協力で、暴力団旭日会をつぶしたが、白鳳学園では、依然として舞とソロリティーとの対立が続いていた。そんなとき、新任教師の朱鷺がきた。千里は彼にすっかり夢中になってしまった。実は、ロリコンの朱鷺とソロリティーとが組んで、千里にいけないことをしようとしていたのだ。運よく、もう一人の新任教師の野々村の機転で、舞は千里を救い出した。
「ちょっとぉ、菜月と柊平くんってどうゆー関係?」柊平が超美形ボーイなもんだから、みんなはあたしを羨望と嫉妬の目で見てる。そんなこと言ったって、あたし達は単なる昔なじみ、どうってことないヨ。それより、あたしには気になるあいつがいる。大友圭吾、ちょっぴり悪。何かと話題をふりまいてる。でも、彼には年上の女がいるっていう噂。あたしのことなんか知らん顔。恋にゆれる少女のときめき物語。
沢田竜司ことボビー・沢田ー失踪していたレイラの父が突然帰ってきた。“トレジャータイムス”のボーカリストとしてバイトしていることが学校にバレ、処分されそうだというのに。あんな男が父親だなんて、一度も思ったことないのに…。父親に反発して、家を出て潤哉のアパートに転がりこんだレイラだったが、父とレイラには、忘れていた意外な過去が!大好評「いとしのレイラ」完結編。
ヨビコーの高一補習コースからの帰り道、弥生にナンパボーイ風の圭介が近づいてきた。一目ボレだって。でも、そんなパープーまる出しの男の子なんて嫌い。弥生には、片思いだけど、憧れの酒田先輩がいる。その時、ビルの上の窓から花瓶が落ちてきた!狙ったのは弥生?-翌々日、高校の化学部室に野球の硬球が投げ込まれた。そして、さらに…。弥生と圭介の犯人捜しが始まった。
ぼくとミヤは恋人同士、ぼくらの愛をじゃまするものは何もないーなんちゃって!でもそれがヘンな感じなんだ。小町谷センパイ自慢の新車が暴走してぶつかりそーになったり、ワープロの画面に打ちもしなかった不思議な文章が残ってたり。そして、ぼくの大切なミヤが原因不明の病気。まるでだれかがぼくたちを呪ってでもいるかのよーに。なぜ、なぜなんだ?学園ライト・ミステリー。
サハラに住む部族の反乱を鎮めるため父・プトレマイオス十二世の名代として、灼熱の砂漠を渡っていくことになったクレオパトラ。警護につくのは、正義の神の子・アシラスや戦いの神の子・マルタら親衛隊の隊士たちだ。ほのかな思いをアシラスにうちあける間もなく、クレオパトラの命を狙って次々と襲い来る砂漠の暗殺団。そしてアシラスたちの前に最強の敵・ブラック・ピューマが現れた。
高校に入学した僕(北斗光)と悪友の脇田誠とは、皇緑子の強引な勧めで天文部員になった。さらにもう一人、茶之水博士というとぼけた名のガリ勉も入部した。顧問は緑子のおじでもある夏川先生。その先生が、5月の連休の合宿後に、信州で運転をあやまって死んだ。僕たちはその死に不審を抱いた。夏川先生のマンションを訪れてみると、すでに部屋があらされている。次は…学校の天文台だ!
表向きは平凡な草紙屋、その実、謀事に抜かりなく、剣の腕も確かな悪党、巽屋孫兵衛。彼が墓守の卯平、女髪結いのお徳、遊女のお新、元浪人の妻お京といった、ひと癖もふた癖もある面々を率い、色と欲にボケた亡者どもを、あの手この手で引っ掛け、騙し、有り金残らず巻き上げるー江戸は深川界隅を舞台に繰り広げられる、痛快なダーティー・トリック・ストーリー10編。
主君織田信長からその政治的・軍事的手腕を高く評価されていた明智光秀は、天下人を自認する信長の増長をひそかに憂えていた。意に添わぬ者たちに対してはおびただしい殺戮をくりかえし、古参の重臣さえも些細な理由で追放する信長。しかし諌言は受け入れられず、いつか光秀の心は信長から遠ざかっていく…。逆臣の汚名を覚悟で主君を弑逆した悲運の智将の内面に迫る長編小説。
スカイマスター337。アメリカの地方小空港を転々とするそのセスナ機は、飛び立ったあと必ず死体を残してゆくー一滴残らず血を抜かれた死体を。スティーブン・キングが現代の吸血鬼テーマに挑む表題作。過去に秘めた恐怖が母親の死とともに蘇える、クライヴ・バーカー「魔物の棲む路」。その他、ストラウブ、マレル、キャンベルなど、モダンホラーの神髄を結集する戦慄の全13編。
ニューヨーク市警のはみだし刑事ニックは、所轄管内で2人の人間を殺害した日本人サトウの護送を命じられる。が、相棒のチャーリーともども大阪空港に着いた早々、出迎えの警官に扮した一味に、まんまとサトウを奪われてしまう。この大失態を挽回すべく、アメリカ人刑事コンビは、言葉もわからぬ異国の大都会で必死の捜査を始める。大阪を舞台に描く異色のポリス・アクション。