1989年9月1日発売
戦国の世も末。鄭芝留、号は飛黄、明末の福建省に生れ、18歳で九州平戸に渡る。在日十年、宮本武蔵の門人・花房権右衛門について武術を極める。海運と密貿易で南海に君臨する大船主・顔思斉の下に馳せ参じた芝竜、やがて寵臣の劉香をしのぐほどに重用されたが、思斉が毒殺され、後継は海の掟に従い、劉香との剣米の神事争いとなった…。海の無頼・海寇たちの活躍を描く海洋活劇ロマン。
大船主となった鄭芝竜は五人の弟を集め、明政府の下で海防と貿易に従事した。ときに、台湾を支配するオランダを後楯に掠奪をくり返す謎の海賊船団が跳梁。芝竜の弟、芝虎が討滅に向かうが、敵船上に現われた海賊の首領こそ、かつて後継争いに敗れ逃走した劉香であった。一方、芝竜は日本人妻に一子をもうけた。幼名福松、後の劉成功である。雄大なスケールで描く海洋活劇ロマン完結篇。
愚庵和尚から柔の技を学んだ帝大生の矢野は、やがて師の元を離れ、学問と翻訳業のかたわら、独自の柔の道を歩み始めた。その頃、危難を救った縁で知り合った千賀子と将来を約束するが突然、二人の上に絶望的な影が射した。維新前夜、肥後藩士だった千賀子の父の横暴に怒り、刺殺したのが矢野の父だったのだ。自由民権の息吹きと東京下町を舞台に描く柔道小説完結篇。
勤皇・佐幕が死闘をくりひろげる幕末の京都。立ち往生していた荷車を押しやったばかりに、町人ふたりが斬殺された。荷車には千両箱が…。下手人は二条城御金蔵番の手代木六太夫だという。ところが、その六太夫が、二条城の焼印の入った千両箱とともに、効外の古井戸から死体となって引きあげられた。なにやら、いわくつきの金らしいが。隠謀の臭いをかいだ鞍馬天狗と杉作少年が謎を追う。痛快時代長篇。
海辺で2人の少女ブルームとバーティが出会ったのは、ふとした偶然だった。時は移り2人の友情を手紙がつないだ。その間、歌手に、弁護士にと、それぞれ夢を手に入れるが、愛に傷つく時もあった。が、友情が悲しみを打ち消してくれた。そして、ある日、不治の病いがバーティを襲うー。愛に、仕事に、家庭に揺れ動きながら、現実を生き抜く2人の姿に、全米女性に共感の嵐を巻きおこしたベストセラーの映画化。
いまやフランスの支配者は民衆!あの貴族のやつらは国家の叛逆者なのだー。老若男女子供を問わず、ギロチンは連日犠牲者を追い求める…恐怖に駆られた貴族たちを救うべく、ドーヴァーの彼方イギリスから謎の秘密結社〈紅はこべ〉が神出鬼没の活動を展開する。果たして首領は何者?サスペンスとミステリー、恋と冒険と愛僧が渦まく、あの懐かしい古典ロマンの代表作。
伊賀忍者の上忍として暗躍していた石川五右衛門。伊賀八郷が織田信長の軍勢に襲われ、数ある組織が漬滅させられていしまう。かつうじて逃げた五右衛門一党は伊賀忍者の怨念を晴らすため、信長をつけ狙うが、信長は本能寺で自刃してしまう。さらに信長の意を継いだ豊臣秀吉の命を狙うが、服部半蔵一党の画策や風魔一族の攻勢に遭う。緊迫した政治状況下、命を賭して秀吉暗殺に狂奔する五右衛門を待ち受けるものは…。
参院選の大敗で、国民自由党は美人ゴルファー川井奈尾子をマドンナ候補にすえた。ところが、彼女は失踪!孔雀警視・笙子は特命をうけ、奈尾子になりすまして逃避行を開始した。-逃げる孔雀、襲いかかる怪しい一群!道連れが、美形、ハイセンス、頭脳明晰とあって、またも笙子の体がうずく。痛快シリーズ第15弾。
関東芸術スタジオは、新春映画に「東海道中膝栗毛」の製作を発表した。弥次・喜多に人気漫才コンビ、ラッキー千歩・万歩、2人の女房と愛人役に美人女優を起用、スタッフ総勢10人で浜名湖にロケハンに出た。初日の朝に、弥次の女房役の室町花江の変死体が発見された。そして、第二の殺人が!好評ロケハン・シリーズ第3弾。
美容師の笹田真知子は、友人宅でレイプされた。“赤い闇の未亡人”こと赤垣美晴と相談した真知子は、女性だけでつくる「レイプと闘う女の会」に駆け込む。ところが、真知子をレイプした男が殺され、ほかの強姦魔たちも次々と、何者かに殺されていく…。事件を追って美晴は能登へ。好評官能ミステリーシリーズ第5弾。
伊藤広子サンは、高1の息子と中1の娘を持つ38歳の一般主婦です。ダンナは、家庭に無関心なフツーの冴えないサラリーマンですが。こいつが信じられないことに浮気してるらしいと知って、真面目な広子さんの頭の線が1本ぷつっと切れました。女ってのはここ一番と腹をくくったら、男よりずっと強かったりして、ね…。長編ロマンチック小説。
六甲道夫の車に金髪女の運転する車が後ろからゴツン。勤務先のホテル・デュークは程近い。六甲は実績を買われ、より大きなホテルの探偵にスカウトされていた。女は魅惑的な体を預け、許しを請う。六甲の欠点は色好み。当然、情事に陥る。そこをロシヤ人に激写され、国際機密会議の盗聴に協力を迫られた。手に汗握る連作劇。
有楽町で、白昼堂々、三億円強奪事件発生!犯人は外人グループか?フリーライター・滝恭介は、女優の不倫の張り込み中、怪しい外人を目撃し、事件にくらいついた。背後には、国際犯罪コネクションの巨大な影が?一路、パリへ飛んだ滝の身にも魔手が迫る!サスペンスの雄が、現実の事件を素材に描く、書下ろし渾身作。
亡父から真面目だけを取り柄に育てられた西並玄一郎。彼は、彼の婚約者の父親であり、父の友人であった赤堀養治から旅行バッグを託された。その数日後、赤堀の他殺体が自宅で発見された。そして、西並が預かっていたバッグも何者かに盗まれていた…。『邪魔な男』で新境地を拓いた著者の洒脱な人間ミステリー第3弾。