1989年発売
フロリダ上空を飛行中の米軍機が国籍不明機に襲われ、積荷の原爆4発が奪われた!折りしもケープ・カナベラルのケネディ宇宙センターでは、スペースシャトルの打ちあげが間近に迫っている。当日は全世界から元首や首脳4千人が招かれていた。テロを警戒するNASAの保安主任ハドフは、犯人グループの解明に全力を傾ける。そこで捜査線上に浮上したのは、宇宙センター近くの飛行場で旧式軍用機を駆り、航空ショウを展開する一団。ハドフは一匹狼のパイロット、バーノンに彼らの調査を命ずるが…。鬼才が豊富な体験を基に放つ航空サスペンス。
犯人グループの正体も目的も謎のまま、打ちあげは刻一刻と近づいてきた。バーノンは消えた原爆に発信器が取りつけられていることを知り、一計を案ずる。協力を約束した航空ショウのメンバーに受信器を与え、原爆の捜索に当たらせるのだ。百機以上の旧式軍用機と保安機関の捨身の努力で、やがて原爆の1発また1発と発見されてゆく。だが、最後の一つが見つからぬまま、打ちあげの時は目前に。この未曾有の危機を回避することはできるのか?陽光まばゆいフロリダを震撼させる空前のテロ、それに立ち向かう空に勇士たちの活躍を描く娯楽巨篇。
雑誌〈コズモポリタン〉の仕事で、著者ホッチナーが世界的な文豪アーチスト・ヘミングウェイにはじめて会ったのは、1948年、ハバナのバー〈フロリディタ〉だつた。フローズン・ダイキリをしたたか飲み、2人の14年にわたるつき合いが始まった。メキシコ湾での釣り、パリはオートゥイユの競馬、そしてスペインの闘牛場めぐり…愉しい時が続いたが、それは1961年、ヘミングウェイの猟銃による自殺で終わりを告げたのだった。車中で、船上で、酒場で語られたヘミングウェイ自身の言葉をもとに、文豪の素顔と死にいたる日々を描いた衝撃の伝記。
熊と会話する方法を語り、自作の映画化作品をこきおろし、フイッツジェラルドやディートリッヒの思い出に笑う。ときには文学を志す者に真摯な助言をあたえ、また冒険と人生の意味を説く。“パパ”と呼ばれ、敬愛された彼の言葉は、いつも人を魅きつける力に溢れていた。しかし、アフリカでの2度の飛行機事故と、ノーベル賞の受賞騒ぎをさかいに、彼の身体と精神は徐々にバランスを崩していく。疑いと苛立ち。「もう書けない」という恐れ。入院。…弱さを背負った偉大な作家の生と死を、克明に、そして、かぎりない情愛をこめて浮彫りにする。
ニューヨークの画廊でデビューしたての新進画家が麻薬の打ち過ぎで死んだ。警察は事故と断定したが、続いて画廊のオーナーが殺されて事件は思わぬ方向へ…。殺し屋から足を洗って画家として名を成したのもつかの間、美術界の黒い陰謀に巻き込まれ、ミス・メルヴィルは素人探偵に!お嬢さま育ちの愛すべきオールド・ミスが活躍する。
これは、進化についての物語である。同時に、宇宙についての物語である。さらに、物語自体が、遺伝子の二重螺旋の構造を持った物語である。本自体の構造も、二重になっている。
東部の田舎町にヘイスティングス一家は引越してきた。作家の夫、元女優の妻、前妻の娘ギャビー、双子の弟ショーンとパトリック。いかにもモダンなこの一家を、裏の森から一対の邪悪な目が見つめていた。あの子供たちをいただいたらさぞ楽しめるだろう-そのものは、人間の形をしていなかった。一家の越してきたケスラー農場の裏に広がる森は“妖精の森”と呼ばれ、地元の人々は夜歩きを避けていた。そして、前住者のケスラー老人は謎めいた経歴の持ち主で、多量の金を地所内に埋めていたという噂もあった。だが、ヘイスティングス夫妻は格別気にとめていなかった-事件が起こるまでは。ファンタジイの巨匠が新たな境地を切り拓いていく大きな話題を呼んだ、全米ベストセラー巨篇。
商事会社勤務のOL、得田彰子は、結婚を前提に交際していた、車のセールスマン、常沢尚広に裏切られ、傷心旅行のドライブに出かけた。そこで親密になった内村が、つづいて高田が不審な死を遂げる。彼女は事件を報らせるTVをみて、2人の死があまりにも似ていることに愕然となった。事故死か、殺人か?一方、警察は検証の結果、両方の事件にマスコット人形が媒体になっていることをつきとめた。が、今度は常沢が自宅で死体となって発見され、彰子は参考人として呼ばれる。そこでうかびあがった意外な真犯人とは?
砂漠に浮かぶ街・レイテアにヤケィは引き寄せられた。彼は“知る者”全ての魔法が終末を迎える時、それらを知った上で新たなる魔法を生み出す男。彼はこの街で何を知るべきなのか…。街の酒場で、ヤケィら4人の旅人のパーティは、赤い瞳を持つ少女・ネイに出会った。「明日、街の神・ニーギラの祭壇に生贄として捧げられてしまう」と言う。4人は少女を守ろうとするが…。ニーギラとの凄絶なる戦い。街を覆うギジュガの大木、その内部、神室で光る輝きの塊とは?神殿でヤケィの見た光景とは?怒涛のファンタスティックアクション。
新年早々、京都二年坂で、首と手首のない男の死体が発見された。京都府警の橋口と検視官・江夏冬子は、死体の足の爪に付着していた嵯峨菊をヒントに、大覚寺の庭から切断された小指をみつける。一方、府警には、行方不明になっている夫、兄、父ではないかと、三人の女性からの問い合せが相ついだ。結局、指紋から大和田ユリの父親と確認されたが、事件は意外な展開をみせ始める…。本格長篇ミステリー。
静岡県藤枝市で起った“食堂一家殺害事件”の犯人として逮捕された岡野保は、一貫して無実を主張したが、死刑が確定。拘置所で刑執行におびえる日々を送っていた。一方、東京では岡野の冤罪を晴らすべく特別弁護団が結成された。弁護団の一員月村耕介は再調査のため静岡に赴き、かつて岡野を取調べ、今は停年退職している志木元刑事を訪ねる。月村は新事実をつかんだが…!?会心の長篇法廷ミステリー。
福浦美絵は、4年前に事故死した元恋人の大谷雅也の墓参に、雪の降りしきる津軽へやってきた。パトロンの我妻英之輔との結婚を間近に控え、その報告をすることで雅也と訣別しようと思っていた。命日、美絵は墓前で雅也の友人だった安藤と会い、雅也は謀殺されたのではないかと聞かされる。疑惑は徐々に拡がり、複雑に絡み合った事件の糸口は、やがて美絵の過去へと遡ってゆくが…。長篇ミステリー。