1989年発売
女に敵する男たちに制裁を加えるため女だけで組織された国際秘密結社パイソン・レッド・クルー(PRC)。日本人で唯一の構成員である立花瀬奈は、化粧品会社のキャンペーンガール選考会として開催された裸の鑑賞会の裏側を、仲間と共に探る内に、悪辣な組織の実態を掴む。残虐な手段で一人ずつ抹殺していく彼女たちは、やがて最後の標的へと照準を合わせる。官能ハードバイオレンスの気鋭が送る傑作スーパーノベルズ。
津吹淳一、19歳。花の1浪予備校生。10月ともなると、心臓がしめつけられるような気分だった。浪人仲間の吉沢や大道寺らは、それぞれ問題をかかえて動揺していた。淳一は、失恋の痛手から立ち直ったと思ったら、またしても女の子から手紙がきて大動揺!?さらに悪いことに、津吹家の両親が冷たい戦争を…。勉強ひと筋の浪人といえども、人生にはいろいろ問題がある。ガンバレ、津吹淳一!『学問ノススメ《挫折編》』に続き、爆笑とペーソスの青春まっただなか《奮闘編》!
豪邸を建て、子どもは一流校へ。しかし一家団欒の夢は、妻が金属バットで何者かに殺されて吹き飛んだ。迷宮入り事件になる寸前、中年の元刑事がつきとめた真相とは?(表題作)…信州の旧家にまつわる猟奇事件、ホモセクシュアル、青年の暗い怒り…現代の〈奇〉なる部分に焦点をあて、想像力を無限に飛翔させた傑作集。
“誰だって長島や王になろうと夢をもってプロ野球に入ってくる。社長になりたいと思うサラリーマンがいてなぜおかしい”井浦兆一・41歳、友光ホームズの万年係長だ。ようやく課長に昇進した井浦は、妻や部下の前で「社長になるぞ!」と宣言。周囲の冷笑を尻目に出世街道へ。-テレビの舌鋒で知られる著者の痛快小説。
サルベージ船海邦丸は、当初の目的から離れて、針路をとつぜん奄美から南沙諸島へ向けた。なぜかいつもと違い、社長も乗船している。そして、社長令嬢の密航や漂流ヨットにいた若い女性の救助など事件が続発。社長の思惑はいったい何か?人間たちの確執と愛憎とロマンスをのみつくす無限の海。海洋サスペンスの傑作。
父母を失い、頼る人もいないドルーシラは今は住み込みの家庭教師として公爵家で働く身。そんなある夜、ドルーシラの部屋に、今は候爵となっている幼なじみのヴァルドが飛び込んできた。「きみだけが、ぼくを助けることができるんだ」思いがけない再会に驚くまもなく、雇い主の公爵が現れ、公爵夫人とヴァルドとの仲を疑い、決闘を申し込もうとする。ヴァルドをかばうためにドルーシラは思わず、彼から求愛され、結婚するつもりだと告げる。
ジェニー・ウェバー、30歳。いまN・Yで活躍中の売れっ子コピーライター、離婚歴あり。ロングアイランドでの週末、溺れかけたジェニーはたくましい男に助けられた。男の名はクーリー、コロラドから来たカウボーイだ。ジェニーと、クーリーはその日のうちに恋に落ちる。だが、恋の喜びもつかのま、あまりにもかけ離れた二人の生活に、ジェニーの悩みに深まってゆく。
ボストンの法律事務所で弁護士を目指して働くローラ。そんなローラのもとに、何と母が逮捕されたという知らせが飛び込んできた。とるものもとりあえず駆けつけてみると、もう辣腕弁護士が身受けしていったというではないか。その弁護士とは、ボストンでは知らない人はいないという存在、ケイシーだった。古きよき街並を守るために、現在D・J・K社の地域開発計画を阻止しようと戦っている彼に、ローラは正義感の強かった前夫の姿をだぶらせる。2人は互いに惹かれ合うが、そこには意外な落し穴が待ち受けていた。
きらびやかなグランドオペラ舞踏会は、ジニイとスティーヴの噂話でもちきりだった。アメリカ上院議院ブランドンの娘ジニイは、ロシアの貴族サルカノフの未亡人となっていた。ジニイを連れ戻したスティーヴは、ふたりの過去がスキャンダラスな話の種になることを辟易してくる。ついに彼は、一年の約束でジニイに結婚をせまる。華麗な結婚式-だが、それもジニイには空ろな出来事として映らなかった。二人の間からはわだかまりがぬけず、スティーヴの態度もどこかよそよそしい。そんなある日、スティーヴは彼女を娼館に連れこむのだった。
義理の母ソニヤはスティーヴの愛人だった!ジニイはスティーヴと別れる決心をすると、ひとりメキシコに旅立つ。その傍には、ジニイを自分のものにしようとするアンドレがいた。が、突然の大地震で失明してしまうジニイ。スティーヴは彼女が死んだと聞かされるや、アンドレを追い、決闘の末、彼を殺す。傷心のスティーヴは、ジニイへの思いを振り切るようにプレヤーズ・エンドに向かうのだった。南北戦争直後のアメリカ南部を舞台に、淑女と娼婦のふたつの顔をもつヒロイン、ジニイとスティーヴの愛と憎しみのドラマ「甘い野生の恋」の完結編。
あるときはかたむいた遊園地、あるときは7,900年後の海辺、またあるときはカラッポの水族館。電報を巡って、会えないあなたとわたしがくり広げる、谷山ファンタジーのメリー・ゴー・ラウンド。回転木馬にのってでかけよう。現実と異次元との間を自在に駆け回るヒロコさんの最新作!
なに不自由なく育つたシェイラ・ロジャーズは、ある日突然、すべてを失うことになった。新婚旅行の最中、メキシコ山中で山賊の一団に襲われて夫を殺され、彼らの隠れ家に連れ去られた。一団を統率するラファーガ〈風〉と呼ばれる男は、自分に女がありながらも、シェイラに野性的な情熱を抱く。けんめいに拒みつつ、シエイラはいつしかこの荒々しく力強い男に身も心もゆだねたいと願うようになっていた。しかし、それもつかのま、捜査の手は刻々と迫っており、シェイラにもついに決断のときが来た。
平凡な人生を歩んできたランナ・マーシャル。彼女の運命はひとりの老人に出逢った日から、思いがけない方向にむこうことになった。彼の息子チャドとナバホ・インデイアンとの混血の私生児ホーク。まったく違う世界で生きてきたふたりの男に、同時に惹かれていくランナは、財産をめぐる家族同士の争いとうらぎりの罠にはまっていく。ランナの愛は?運命は…?広大なアリゾナの自然を背景に、ジャネット・デイリーが情熱を込めて書きあげた感動のロマンス長編。
モンタナの大牧場主の息子チェースと貧しい娘マギーとの恋はかなうはずのない夢でしかなかった。ましてマギーの父が、大牧場の牛を盗む泥棒とわかってからは…。警告にもかかわらず盗みをやめなかった父は、ある日マギーの見ている前で処刑されたが、そこには黙って見守るチェースの姿もあった。マギーの愛は一転して、激しい憎しみに変わる。カルダー大牧場への復讐を心に誓うマギーだったが、皮肉な運命の女神は、16歳の彼女にチエースとの愛の結晶を授けていた。絶大な権力を誇るカルダー家の愛と憎しみの歴史を描く、待望の大河ロマンス、カルダーシリーズ第一弾!
「見はてぬ夢」につつぐカルダーシリーズ第2弾、前編!舞台は100年前のテキサス。開拓に夢をはせるベンティーン・カルダーは、17歳になったばかりのローナを妻にむかえ、遠い未知の土地モンタナへ旅立つ。はてしない荒地とインディアンへの恐怖、そしてカルダーを陥れようとする男たちの策略のなかで、ふたりの愛は、ともすれば傷つけあい、まどい、反発しあう。レディたるもの、性の悦びを感じてはならないという道徳感がまかりとおっていた時代。ローナは、あまりにも強い愛の衝動に、恥じらい戸惑うのだが…。
「見はてぬ夢」につづくカルダーシリーズ第2弾、後編!大牧場主として成功をおさめたベンティーン・カルダー。息子も生まれ、一家は幸福そのものに見えたが、ローナは寂しかった。夫が外の出来事をなにひとつ話しくてれないのだ。彼女は、優しいことばをかけてくれるブル・ジャイルズに惹かれていく。そんな危なっかしい関係を、ベンティーンが黙って見過すはずはなかった。しかし、ある出来事をきっかけに、ふたりの愛はゆるぎないものとなったのだが…。
伊予松前5千7百石の城主加藤嘉明は、慶長5年9月15日、いわゆる天下分け目の合戦“関が原の役”で徳川家康に味方し、一躍20万石の大名にのし上がって新城を構築せんと画策し、勝山の地に三層の天守閣をもつ城下町を建設することになった。普請奉行足立右衛門重信は、主君の意を受け、この地の土質や降雨量、さらには樹木の種類に至るまで調べるという充分な考究を重ねて築城に当たっていたが、小天守の石積みで意見の食い違いをきたしていた。亡き母に代わって父の世話に務めるひとり娘の千波は、そんな父の疲労を肌に感じ取っていた。とある日、せっかくの土塁を何者かに爆破されるという事件が出来した!-“金亀城”構築をめぐっての普請奉行父娘の剣と恋の物語。
六郷の渡しの河原で、女にも見まがう若衆が屈強の浪人輩に取り囲まれていた。危ういところを救ってくれたのは、空腹に困ってその場に寝転んでいた若侍倉間勝太郎であった。助けられた若衆は川路鮎之介と名のったが、その正体は女と勝太郎は見抜いていた。事実、川路鮎之介こと鮎姫は遠州掛川5万石は太田備中守盛澄の孫娘であったが、江戸へ向かう道中で、家重代の秘宝“群れ千鳥の懐中鏡”を何者かのために奪われてしまった。それは、ばてれん忍者甲羅弾三郎の仕業であった。忍者を操る恐るべき黒幕とは…。婚儀にまつわるもめごとに反発する鮎姫を助けて、「お鮎ちゃん」、「鮎の字」とまるで長屋の小娘でも呼ぶような気安さで接する倉間勝太郎なる若侍の正体とははたして…。
遠州掛川からぶらりと江戸へ出てきた次男坊ざむらい砂子銀作は、浅草奥山の矢場で奇怪な浪人に連れ去られようとした美女、お雪を救ってやったことから…。幕府転覆の陰謀をたくらむ軍略家愛州若狭守を首魁にいただく怪盗団「迅風連」の跳梁!その逮捕を目指すは幕府御目付鳥居耀蔵に率いられる隠密組と北町奉行遠山金四郎の隠密党であった。お雪の手引きで、銀作は隠密組の配下に属して活躍することになった。小柄の名手銀作であったが、迅風連の怪浪人相手の死闘で危地に陥ったとき救ってくれた宗十郎頭巾の若侍は、“若狭守の討幕の陰謀は偽り”という不思議なことばを残して去った!-乾坤二帳の秘巻をひめた花嫁人形の謎とは!?銀作が突き止めた事件の真相は…。