1990年12月1日発売
パリのスキャンダル!アヴァンギャルドの法王ソレルスは、ついにあらゆる壁を突破した。ビッグバンから女の秘密まで、いまや彼の言葉には、ありとあらゆるものを表現する魔力があたえられた。ソレルスの新小説の前には、すべてのポストモダン小説は青ざめ、現代哲学は色を失なう。フランスで話題のベストセラー小説。
映画界に異彩を放つワンマン監督、大柳登志蔵が謎の失踪をとげた。しかも『探偵映画』という野心作の撮影中に。そして映画の結末、つまり「犯人は誰か?」は脚本家でもある大柳しか知らないのだ。残された俳優やスタッフは撮影済みのシーンから、彼らなりの犯人捜しにのりだすが…。待ちうける美しいラスト!
「今晩とめてくれません?」出会ったばかりの、それも年下の亮太にあっさり言われたときから、佐和子の愛と殺人事件のスリリングな季節が始まった。天才バレリーナの死と謎のロールスロイス、そして第2の殺人。事件を追う2人の「恋の行方」も意外性に満ちて。酒落た会話と息つく間もない展開!期待の女流推理。
中山素平は日本興業銀行副頭取の就任した。思えば日本開発銀行へ転出し、設立後の仕事、過労入院、造船疑獄と多難続きだった。輿望を担っての復帰とはいえ、製鉄、油田開発など産業基盤の整備という大仕事が待っていた。しかも師と仰ぐ元総裁河上弘一の訃報。興銀と中山素平の責務は、ますます重い。
富豪の若き一人娘が不審な事故で死亡して三カ月、彼女の遊び仲間だった男女四人が、遺族の手で地下シェルターに閉じ込められた。なぜ?そもそもあの事故の真相は何だったのか?四人が死にものぐるいで脱出を試みながら推理した意外極まる結末は?極限状況の密室で謎を解明する異色傑作推理長編。
応仁の乱で焼失した大徳寺の伽藍再建の勅令を受けた一休禅師は、寄進行脚のすえ大役を果たし、名誉ある「紫衣」を賜る。そして山城の酬恩庵での修行生活に戻るが、ひそかに身辺をととのえる。やがて風狂僧一休にも非情な老いと病が訪れる。時に88歳、眠るがごとき大往生。著者、渾身の大傑作長編、完結。
魂を揺さぶる美しさと、地上最強といわれる戦闘力を持つ女性戦士・沢村ゆりの無二の親友ヘニングスが生命と交換に探り出した、宿敵マダム・マヌーの真の資金源とは?その資料を手に、悪の巣窟へ乗り込む、ゆり。だが、そこには新たに、アメリカ最大のマフィアの一団が…。伝説の格闘物語、第4弾。
珍らしい姓をもつ人物が、続けざまに殺される。その舞台は津和野、高山、土佐中村、そして角館ーいずれも風光明媚な“小京都”とよばれる観光地である。そして事件ごとに見えかくれする、ナゾめいた女性の存在。名探偵キャサリンが小京都を探訪しながら意外な真相に肉迫する、会心長編。
尾花建設の令嬢マリが、京都を根城とする暴力組織『新鮮組』に誘拐された。観光会館入札にからむトラブルが原因だった。最愛のマリを奪還すべく、仲間と共に文麿は京都へ乗り込む。完全封鎖された京都周辺の道路を文麿はどう突破しようとするのか?古都はいま戦場と化した。そこには想像を絶する文麿の戦略と予想もできぬ恋が待っていた。
映画スター櫟弘一郎は、美貌の混血娘冴子の奴隷として仕えている。同じく奴隷である大東映画社長笛吹に一蹴された日米合作映画出演の話を実現させてもらった代償としてである。執拗な拷問を受けながら、弘一郎は冴子の不可思議な魅力に陶酔を覚える。そして冴子は、富豪の有閑マダムにお好みのセックス・ゲームを提供する奴隷事業を始めるため、4人の奴隷を連れてメキシコに渡った。
有閑マダムに奴隷を派遣し、セックス・ゲームを楽しませる冴子の奴隷事業は見事に当り、ついにはシカゴ・シンジケートに眼をつけられることになった。一方冴子は“白い奴隷”獲得に乗り出す。ハリウッド有数の富豪であり、マゾでもあるエリック・バートン、女装の美少年J・シナモン等大成果を上げてゆくー。対立する冴子とシンジケート。そんな最中に、バートンが死体となって現われる…。
屈託のない上海時代に「とうさま」と呼ばれた父は戦後、失職し権威は崩壊した。母の名前を呼び続け父は死んだ…。私にも母にも懐かしいその父はいま山頂の墓地を離れロッカー式納骨堂に静かに眠る。14歳の夏長崎で被爆した私の生と死の現実を描く短編集。
プロ野球史上初、少女監督誕生!普通の女子高生だった由貴が、おじいちゃんの遺言で東亜ホワイト・ウイングスの監督に就任。それも、パ・リーグ万年最下位球団を優勝させなくちゃ球団は身売り。幼なじみで甲子園の優勝投手の柳葉くんが、入団してくれたけど…。強豪オリックス、西武、近鉄を敵に回して由貴の奮闘が始まったー。第2回日本ファンタジーノベル大賞最終候補作。
デビュー前、山の中のミュージックキャンプで出逢った不思議な女性たっちゃん。年下だけどゲーノーカイでの理想の先輩“猫”。人間嫌いだったけれど、ウィズ・ベイビーの幸福をみつけた学生時代の友人フミちゃん。遠い北の外国に暮らすテレサ。中島みゆきがめぐり逢った、優しく、そして逞しく生きる女たちー。彼女たちの奏でる、様々な人生のかたちを描く「女歌」に続く小説第2弾。
ウォール街のM&Aスペシャリスト、ライマンに、全米一の巨大メディア買収の話が持ちこまれた。相手はヨーロッパのマスメディアを一手に握る謎の人物、ブレッソン。莫大な手数料と、アメリカ人の価値観に影響を与え得るメディアを外国人に渡していいかという愛国心の間で、ライマンの心は揺れ動く。東西緊張緩和後の情報活動を扱って、新しいスパイ小説の方向を示す注目作。
冷戦後もソ連経済を監視すべきだという情報員ハイジの意見は、無視されたままだった。部下の死によって疑惑を深めたライマンは、彼女と協力してブレッソンの過去を探るが、家も家族も持たず、資金源さえ明かそうとしない男の謎は深まるばかりだった。一方、買収をしかけられたニューズ・ワールドウィーク社側は、アメリカのメディアが乗っ取られる危機感から結束し、反撃に出たー。