1990年1月発売
本書は、15世紀から現代まで、ポーランドの詩人や作家23人の作品を気鋭の訳者陣がジャンルにとらわれず紹介。興味つきないポーランド文学の精神的土壌を理解するうえで恰好の書。
ついにラミジも待望の戦列艦の艦長となった。戦列艦ship of lineとは、戦列を組んで敵の戦列と砲戦をかわし、艦隊決戦に参加する備砲60門以上の大型艦のことである。
赤ん坊の誕生を間近にひかえた一家のほほえましいやりとり(「小さな弟」)。木箱で作った車で遠出をして帰りが遅くなり、両親にこっぴどく叱られる子供たちの話(「箱車」)。フランスの田舎町を舞台に、素朴な人情のふれあいと人生の深い味わいを流麗な文章で紡ぎ出した、郷愁を誘う32の掌篇。
どうぞ雨をふらせてくださいと、美しい雨姫さまのもとへ雨ごいに向かう少年と少女を抒情的に描いた「雨姫」、けちんぼの老人と猫とをめぐる怪奇な物語「ブーレマンの家」等、19世紀ドイツを代表する作家シュトルムが描いた珠玉の短編童話4編。
1986年夏のイギリスは、いたるところカットばやりだった。ランダム・ハウス英和辞典で50項目にものぼる複雑多岐な用法をもつ〈CUT〉という言葉を曲芸的に駆使し、しがない純文学作家がテレビの業界人たちに骨までしゃぶりつくされるさまを通して80年代のイギリス社会を諷刺した、超辛口のドタバタ喜劇。
ちょっと頭は弱いけれども気のいい黒人少年ラッキー。身よりのない彼は精神障害施設に送られ、そこで白人の女性教師イルゼに出会う。彼女はラッキーにバレー映画「白鳥の湖」を見せて、人間はすべて自由であることを教えようとするが……。白鳥のように空想の世界に飛翔する少年の姿を通して〈自由とは何か〉を問う、感動の作品。
後漢末の三世紀、漢室の正統の血を引く青年、劉備も〓@56B0県の楼桑村に母親とむしろを織って売り暮らす、しがない身である。この時代を嵐のように吹き荒れた黄巾の賊の乱を避けようとすれば、人々は酷史の収奪にあわねばならなかった。すでに朝廷の威令は届かず、ねい臣がはびこり、地方官またいかにして私腹を肥やさんかと盛んに民を追い使った。後に「三国志」のスターになる関羽も張飛も、この世情では才能を発揮できず空しく膝を抱いていたのであった。が、劉備の血統を知り、その人格識見に親しむや、盟主にはこの人をこそ、と祭壇を作って祈り、劉備を長兄として天下万民を救わんと三人誓い合う。
江戸で日に千両の大金がおちるところといえば吉原。快楽の夢に酔いしれたつけは、翌朝になれば待ったなしにまわってくる。その貸金取り立てを請け負う、馬屋の2代目を、見事な器量のおえんが継いで…。虚栄の渦巻く色街で、若い女が生きてく様は、けなげな中にも強さが目立つ。著者会心の時代連作長編。
美貌の婚約者が部長の愛人!ふたりが抱き合ってラブホテルから出てきた、と知らされた男は復讐のため、部長自慢の若妻をレイプすることに決めた。ホテルに呼び出すと、一気に自由を奪い、全裸に縛る。バイブで嬲り、遂にはアヌスまで-しかし、経験豊かな人妻は、犯られてばかりはいなかった。
唐代伝奇小説の一篇である『遊仙窟』は奈良時代に伝来してわが国文学に多くの影響を与えた。しかし中国では早く散逸、その文学史的意義を認めたのが魯迅であった。本文庫は魯迅が序を寄せた川島校点本を底本とし、翻訳にあたっては敦煌文書の研究成果にも拠って、華麗な原文の趣きを伝えるべく努めた。巻末に貴重な醍醐寺蔵古鈔本の影印を付載。
旅行作家茶屋次郎は、取材で訪れた信州梓川で殺人事件に巻き込まれた。現地を案内すると言った浅沼瑞恵が、早朝、梓川の岸辺で何者かに絞殺されたのだ。だが第一発見者である茶屋は、地元の豊科署に嫌疑をかけられ、その疑いを晴らすべく独自で事件の真相解決に乗り出した。瑞恵の知人小口多津子の協力を得て、やがて茶屋は浅沼家の意外な過去を探りあてた。なんと瑞恵の父は十二年前、祖父は三十年前に梓川で水死していたのである。一つの殺人と二つの水死-これは単なる偶然なのか?山岳ミステリーの名手が梓川を舞台に深まる謎を追う書下ろし旅情推理“川シリーズ”の第一弾!