1990年6月発売
御目付遠山金四郎景晋の配下、花房一平と、幼友達の町方同心、三枝源次郎は、おたがい住む世界は異なっても、情報の提供などで助け合い、江戸の闇に蠢めく悪の面々が引き起こす事件の数々を、快刀乱麻の推理の冴えで解決する。連作時代推理長編。
病床の父の依頼で、信州の小都市を訪ねた三谷裕を、薄幸の少女と美人女教師の死が待っていた…。青いリボンの謎は解けるか?名作「細い赤い糸」で推理作家協会賞受賞の著者が、10年の沈黙を破って書下ろす本格長編。
教師をしながら珍蝶採集に夢を追う正木は、九州の山村で美しい姉妹に出会う。きっかけをつかみ、親しくなろうとするが、激しい拒絶に合う。立腹した正木は、2人を美蝶に見立て、自分にコレクションに加えようと目論む。バッグの中には、麻酔、虫ピン、注射針など、美姉妹を捕える道具が満ちている。
美しいOLの恵美は、ある夜、恋人の同僚・赤尾に強姦されてしまう。それ以来、彼女は赤尾の牝奴隷として、秘密のSEXライフを強要される、しかしそれが恋人の高見にバレないはずもない。高見は恵美の肉体を娼婦のように扱い、歓びの涙を流れさせたあとで告白を迫る。そのとき恵美の秘肉は-。
本書は、平山行蔵(子竜)の平原道場に学んだ相馬大作こと下斗米秀之進をはじめ、千葉周作の玄武館、斎藤弥九郎の練兵館、桃井春蔵の工学館、それに講武所のめんめんなど、すぐれた幕末期の剣客が紹介されている。
若くして一女性と拳銃心中を遂げたドイツ・ロマン派の先鋭クライストの代表的作品を種村季弘の名訳で織り上げる。技巧を凝らした完璧な文体の彼方に誰しも震撼せしめる悲劇の様々な貌が造られ、やがて心をカタルシスへと誘う。珠玉の短篇。
太陽神に仕える神官戦士としての地位と名誉を捨てた放浪の戦士ガルディスと、美神ミシュケイアの加護を一身に受けたかのごとき容姿をもつ吟遊詩人レアーヴェノスが、神より与えられた使命…それは天上界の神の手より盗み出された「妖精の竪琴」をさがし、とりもどすことであった。神よりさずけられた「創嵐剣ディカイオシュネー」を手にしたガルディスVS堕天使ドゥーファーの戦いが迫る。大冒険長編ファンタジー、いよいよ開幕。
十手捕縄をとって30年、捕物の神様とうたわれた名与力・塙江漢が、突如、暴風のように襲った悪魔により、晩年の幸福を引きちぎられる。倅郁次郎は無実の罪で獄舎に繋がれ、その許嫁花世の身辺にも魔手は及ぶ。一命を投げうって巨漢に挑む江漢の努力は、花世の花嫁姿に報われる。
出る杭は打たれる。-永禄の終りから元亀の初めにかけての信長が、まさにその状態に置かれていた。東北には武田・上杉の古豪が若輩何するものぞと眼を光らし、西北には浅井・朝倉が虎視眈々と隙をうかがっている。折も折、西上を打診しつづけていた信玄は、信長の盟友徳川家康を襲った。浜松城北方の台地・三方ケ原に徳川軍をおびき出し、これを粉砕した。家康、生涯唯一の完敗であった。
家康と信長の援軍が三方ケ原で完敗を喫してから僅か三年、信長・家康の連合軍は、宿敵武田軍に潰滅的な打撃を加えた。世にいう長篠の合戦である。武田の騎馬軍団を織田の鉄砲軍団が完膚なきまでに叩きのめした一戦であり、素早く実戦に鉄砲威力を採り入れた信長の炯眼が光っていた。また、三河武士の名をあげたものに、鳥居強右衛門の懦夫をも起たす鬼神の働きがあり、家康も面目を施す。