1990年7月発売
日本一といわれる名人鮎師光本に友釣りの手ほどきを受け、持ち前の旺盛な探求心で短期間に秘術を身に付けたサラリーマンの中村の頭に、一瞬、セセラギの音とともにひらめいたものは-。「才能も人間性も頂点に達していながら、活かす場所のない定年退職者」を集めて「国際社会で通用する心ゆたかな人材をつくる釣り理想郷」の夢が-。
ゴールデン・フライヤーズと呼ばれる美しい湖畔の村で起こった世にも奇径な事件。名門マーダイクス家とフェルトラム家の因縁めいた争いと悲劇的な結末。-『月長石』のウィルキー・コリンズとともに当代随一の人気作家であったレ・ファニュの幻の名作径奇小説。本邦初訳。
「ほとんどなにも信じない代わりに偏見もない」と自負するハロルド・ライト一家は、陰惨な殺人事件があったため誰も買い手のつかない豪邸を格安の条件で手に入れるが…。(「猫は跳ぶ」)コナン・ドイル,H・G・ウエルズ、コンラッドら9人の作家が腕によりをかけてお届けする、とっておきのコワーイ話のオンパレード。
ブレジネフ死亡、アンドロポフ書記長誕生。その裏には恐るべき陰謀が秘められていた。これを知った特派員の身に次々と襲いかかるKGBの魔の手。当時、特派員としてモスクワに在住した著者が書き下ろした衝撃のノンフィクションノベルズ。
政情不穩の北京で、国際便利屋を自称する現地駐在員岩間一郎と中国青年たちとの危ない交際、そして美少女季里との恋。だが、なぜか彼の周辺にはいつも公安の目が…。話題作『ナンミン・ロード』で注目された著者が、5年の歳月をかけて世に問う700枚の野心作。
母の捻挫の手当てをしているぼくの視界には、パンスト越しに、母の愛液が染みだしたピンクのパンティが見えていた。思わず手をのばしたぼくの指先きに、柔らかい部分と“ムチュ!”という音とともにねばった蜜の感触が伝わってくる。ぼくは、“アッ”という間もなく、Gパンのなかに放っていた-。
彼女の名はオリガ、彼の名はセリョージャ。2人は知りあい、愛し合い、結婚した。2人の間には娘イリンカ。彼は42歳、心臓発作で死亡。彼女に残されたのは娘と姑と、彼の記憶。彼と彼女とふたりの人生。そして彼女に「もうひとつの人生」。
天正10年春、信長は得意の絶頂にあった。東方の脅威だった武田氏はわが蹂躪に沈み、天下統一の道は西国を残すのみとなった。その西国も、秀吉が高松城を包囲し、着々戦果を上げていたが、救援毛利勢の動き如何では、覇業に頓座をきたすとも見えた。かくて信長出陣。だが出陣にも似ぬ軽装は、信長一期の不覚といえよう。運明の本能寺!鞭を揚げて東を指したのは、逆臣光秀であった。
信長凶刃に斃るの報を、織田の諸将はどう受けとったのか。秀吉は備中・高松城を水攻めに計った矢先。もし毛利方に信長の死が洩れたなら、情勢はどう変っていくか。まさに薄氷をふむ思いで、秀吉はこの3日間を過した。だが、彼の心気は生涯の内で最も充実したときであったろう。主君の弔合戦に姫路城を進発した秀吉の眉間は明るく、思惑はずれの天下に失望した光秀とは好対照をなしていた。
天下統一にまっしぐらに進んでいた信長の死。しかも嗣子の信忠もろともの死であっただけに、後継者問題は織田家の内外を通じて、頭の痛いことであった。清洲会議の決定も、次第に宙に浮いてゆく。いち早く光秀を誅殺し、家中第1の発言権を確保した秀吉、1歩遅れたりといえど、宿老として重きをなす勝家。激化する2人の対立に、信長の子・信雄、信孝の思惑がからんで賤ヶ嶽合戦へと進む。
とぎすまされた言語感覚で、「文学の時代」を予感させる新人書き下しニュー・ノベル。オランダの地方都市、男がいて、女がいて、透明な言葉が風のように枝をわたる見つめあい、互いの夢の深さをさぐりあう手にしたキップは…行先不明。
気に入った女の子には熱いキッス。気にいらねえ野郎には、固い地面にキスを。ギャルとギャングが入り乱れる悪人海岸。キザな私立探偵シローが、オンボロ車でつっ走る。(解説・藤田宜永)