1990年9月発売
惑星間戦争以前、人類は宇宙進出に燃え多くの惑星を開拓していった。テラ2もそんな植民星のひとつである。だが、人類の存在すら危機的状況に落としいれた惑星間戦争のため、地球からの船は途絶えーそして、500年の歳月が流れさった。植民グループごとに成立した都市国家は、苦難の開拓時代を経て、成熟の時を迎えつつあったが、植物戦争を契機として、異変が起きた。都市国家のひとつECが隣国のニロスを統合し、圧政下のニロスでは、救国戦線を中心としたレジスタンスが展開していた…。連邦宇宙軍の活躍を描く新シリーズ、開幕。
500年ぶりの地球からの公式使節団を乗せた連邦宇宙の恒星間戦闘宇宙軍ライデンは、テラ2の静止軌道上で待機していた。テラ2での交渉相手は誰なのか?地球連邦議会議員選挙をひかえ、使節団長のトカレフはあせっていた。はやくテラ2の代表者と接触しなければ選挙に間にあわない。一方、ECの独裁者マウザーは独裁政治隠蔽を図り、目ざわりな救国戦線の一掃のため、ニロスに中性子爆弾を打ち込もうとしていた。このミサイル発射を阻止できる人物はただ一人ーその名はヒロト・アカギ、ニロスのコンピュータ・プログラマーであった。
妻と娘を乗せたヨットが凪の大西洋上で消息を絶ったー。バハマでリゾートを経営する実業家マンガンを襲った突然の不幸。娘の死体の発見状況からシー・ジャックの可能性が強い。真相を知ると思われる流れ者のヨットマンを追いはじめたマンガンだが、彼の身辺にも危機が迫ってくる。折しもバハマは火災・暴動・伝染病の流行に揺れていた。やがて、マンガンはバハマ経済を破壊せんとする巧妙な陰謀が、彼とその家族を巻き込んで進行していることに気づいた!南洋の楽園をめぐって展開される死闘をスリリングに描く、巨匠の傑作冒険サスペンス。
1891年2月、英国海軍大尉セントビンセント・ハーフハイドは海軍省に呼び出され、極秘任務を命じられた。西アフリカのベニン湾沿岸にロシア海軍が要塞を築き、英国の交易路を脅かしているとの情報が入った。そこで現地へ潜入し、情勢を探れというのだ。かつて艦長と諍いを起こし、休職の身となった彼としては、この危険な任務を引き受けざるをえなかった。巡洋艦に乗りハーフハイドはベニン湾へ向かう。だが行く手に待つのは、因縁浅からぬロシアの提督と彼の強力な戦隊だった。激動の時代を奔放に生きる海の男の活躍を描く新海洋冒険シリーズ。
若い女性ばかり狙った、9年前の連続刺殺事件はニューヨークを震憾させた。犠牲者は皆、全身に無数の傷を受け、その見開かれた両眼は、アイスピックでひと突きされていたのだ。ブルックリンで殺されたバーバラも、当時その犠牲者の一人と考えられてしいた。が、数週間前に偶然逮捕された犯人は、バーバラ殺しだけを頑強に否定し、アリバイさえも立証されたという。警察の捜査再開も期待できず、父親はスカダーに真犯人深しを懇願したが…。暗闇に埋もれた過去を求め虚無の街を彷徨うアル中探偵スカダーの姿を哀切に描き出す傑作ハードボイルド。
豊かな体と長い髪、どんなに隠そうとしてもショーガールのように見られてしまうきれいな脚、それがわたしの外見だ。ウェストサイドのレストランでキャッシャーをしている売れない女優ーそんなわたしの帰りを待つのは、アパートの部屋に住まわせているかわいい野良犬たちのはずなのに、その日は様子がちがっていた。付き合いのあった盲目の男と盲導犬が殺されていたのだ。刑事には容疑者扱いされるし、その後わたしの愛犬の一匹も何者かに惨殺されて…。キュートで犬好きの女優が予想もつかぬ怪事件に巻きこまれていく風変わりな新シリーズ。
情熱的な中年女性クララ・ヴェルドは、ニューヨークに四番目の夫と住み、ファッション関係の仕事をしていた。いつも洗練された身なりの彼女には、最初の結婚の前からイシエルという恋人がいて、彼からもらったエメラルドの指輪をいまも変らぬ愛のシンボルとしていた。ところが、その大事な指輪が紛失して…。ノーベル賞作家が贈る、ウィットあふれる愛の物語。
何者かの罠にはめられ無実の罪で服役していた元最高裁判事アデア。十五カ月の刑期を終えた釈放の日、彼は獄中で囚人仲間に命を狙われた。危うく難を逃れた彼は、襲撃者の口から自分の首に二万ドルの賞金が懸かっていることを知る。姿なき敵の正体を暴いて復讐することを誓ったアデアは、弁護士ヴァインズの力を借りて、出所と同時にカリフォルニアの浜辺の町、ドゥランゴへと向かった。ドゥランゴ-主だった産業もなく、人口が一万にも満たない過疎の町。この町の最大の収入源であるビジネスは、命を狙われている者に隠れ家を提供することだった。ドゥランゴに致着したアデアとヴァインズは町の女市長と警察署長の二人と手を組んで、身を隠すと同時に復讐のための策を練りはじめる。が、その直後、町には謎の殺人鬼が現われ、アデアへのメッセージを残しながら次々と犯行を重ねていく…。ますます面白さに磨きのかかった、巨匠の傑作ノンストップ・サスペンス。
パロ=モンゴールの戦いのさなか、辺境の森に忽然と現われた豹頭人身の超戦士グイン。その出現は、古代王国パロ、尚武の国ケイロニア、新興モンゴール、草原の国アンゴス、そのほかの群雄が割拠する国々に、また人々に大いなる波紋をもたらすのだった。現代の語り部栗本薫が全百巻という壮大な構想のもとに繰り広げる大河ロマン、グイン・サーガ・シリーズ。第二部陰謀篇愛蔵版、ここに登場。
1976年、ミネソタ州セントクラウドのハイスクールを卒業した男女の中に、ニック、チャーリー、マーティー、ビルの姿があった。田舎町に残る者、出て行く者-それぞれの進路は分かれていった。月日は流れ、卒業13年目の冬、今は麻薬売買に手を染めるニックが故郷へ帰ってきた。ニックの出現で町に波紋が広がる中、義姉の葬儀のために、チャーリーが町へ帰ってきた。彼はニックにはめられて刑務所送りになり、流れ者に身を落としていた。再びセントクラウドで一堂に会した同窓生たち。青春時代の確執、大人になってからの破綻…静かな田舎町に、過去に端を発した殺人の時が迫っていた。アメリカのホームタウンの人間模様を克明に描き出して、文芸作家2人が創り上げた深味のある長編ミステリ。
薬師丸春麿は、28歳でシングル族である。東大を卒業して、平和物産企画部に所属していたが、仕事では全く信用されていない。しかし天下の東大卒。外見はインテリ風で目鼻立ちがよく、色は浅黒く精悍。女にモテて、女に強い。特に、幼くして亡くした母の面影に似ている女となると、猪突猛進、失敗したことがない。この春麿の「長所」を見込んで、平和物産のオーナー会長が特別秘書に抜擢した。会長直々の部下になった春麿は、次々と現われる女を篭絡し、会長のスキャンダル揉み消しに手腕を発揮するが…。
「北京の銀座」などと日本人が勝手に名付けたりしている王府井大街。日本製の時計・カメラ・テレビ・洗濯機はじめヨーロッパ製・アメリカ製・香湾製のありとあらゆる商品であふれるこの大商店街。そこには中国人のたくましい熱気が渦巻いているのだが…。
新橋に事務所を持つ弁護士・樋口丸男の許に、彼のかつての同級生・西村陽子の紹介という若松美知子が訪ねてきた。美知子の兄・邦雄は、会社で3億円近い偽造手形を切り、失踪、自殺を遂げた。無実を信じる美知子は樋口に事件の調査を依頼。手形は切ったが、その金を使った形跡がないことがわかる。そんな矢先、美知子が突然依頼をとりさげにきた。不審に思った樋口は調査を続行する。長篇サスペンス・ロマン。
天野川を下った町のはずれに、邦子の嫁いだ小さな造り酒屋がある。子供に恵まれず、夫と舅夫婦との平穏な毎日を送る邦子だったが、東京から移り住んできた日本舞踊の月形流家元・月形霧玄に淡い憧れを抱き始めていた。思いかけず、京都月形会館の竣工パーティに招かれた邦子は、ためらいながらも一人旅立ち、誘われるまま瑳峨野で一夜をともにしてしまう…。人妻のはかない純愛を描く長篇恋愛小説。
酒のうえのケンカでヤクザを殺し、4年の服役のうち仮釈放で出所した相崎哲は、恩人伊勢田政治の死を知らされ、墓参りのため島根県松江へ向かった。そこで、自分が殺人の罪をきせられ、指名手配をされていることをニュースで知る。相崎は海辺に身を隠していたが、4人組のヤクザに襲われ気を失った。相崎を救ったのは、テキヤ上りで今は出雲神農族の一員となっているユキだった…。長篇伝奇サスペンス。
牛に揺られ、宗匠頭巾を戴いて悠然と瞑目して村道をやって来た五十がらみの人物が何者なのか、高柳又四郎は知らなかった。往き過ぎざまに、又四郎はしたたかに瓢箪で肩を打たれた。居斬りに斬って捨てようとしたが、身動きも出来ない。死ぬ気で抜き打ったが、相手の体は空を躍って、畦にたたずんでいたー。この人物こそ、又四郎が目ざす剣術者藤木道満であった(音無しの構え)。珠玉の名篇を収めた剣豪小説。