1990年9月発売
かつての恋人マリア=ローザを探す風見と、スペイン内戦に参加した日本人の足跡を追う青木。カテドラルの聳える冬のバルセローナに、2人の男の過去が交錯する表題作を始め、戦乱のベイルートに暮らすジャーナリストの憂鬱を描く「ア・フール・オン・ザ・ヒル」、雑誌の記事を頼りに失踪した友人の消息を求める「パロスデームからの旅」など4編を収めたサスペンス短編集。
1963年11月22日、第35代米大統領ジョン・キャシディがダラスで狙撃された。病院に担ぎこまれた彼は、からくも一命をとりとめたものの、次期大統領選出馬を断念。一方、狙撃犯は逮捕され、一件落着かに見えたが、現場で別の不審人物を目撃したFBIのサリバンは独自の調査を開始する…。もしケネディが生きていたらー迫真のディテールで描く、もうひとつの60年代アメリカ。
1967年。第36代大統領ガードナーのもと、ベトナムは泥沼化の様相を呈しはじめていた。新人上院議員として政界に復帰したキャシディは、ベトナムでの戦線拡大を阻止すべく立ち上がろうと決意。一方、なおも暗殺未遂事件の真相を追うサリバンの前に、FBIをも巻き込む巨大な陰謀が立ちふさがる…。岐路に立つアメリカを描く迫真の政治サスペンス巨編、いよいよクライマックス。
「レベル7まで行ったら、戻れない」謎の言葉を残して失踪した少女。腕に「Level7」と書き込まれ、見知らぬマンションで目覚めた男女。レベル7とは何か。少女はどこにいるのか。そして目覚めた男女は誰なのか-。謎が謎を呼び、衝撃の結末へと到る、大型新人会心のサスペンス。
後ろから突き飛ばされた男の顔から笑みが消え、かわりに驚愕の表情が浮かんだ。恐怖に顔をひきつらせ、必死にバランスをとろうとする。だが、こらえ切れずにエレベータに足を踏み入れた男は、そのまま床を通り抜け、断未魔の悲鳴をあげながら落ちていった。現場に駆けつけたチスレンコ主任捜査官は、死体も突き飛ばしたほうの男も発見できなかった。党の大物委員長から要求されたことは、ソ連に幽霊は存在しないことを証明し、この騒ぎが悪意に満ちた西側帝国主義諸国の陰謀であると暴きだすことだった。しかし、大勢の目撃者に会い、調査をすすめればすすめるほど、事件の不可解さは深まって…。ペレストロイカ以前のモスクワを舞台に官僚機構を襲った幽霊騒ぎの顛未を描く表題作ほか、英国ミステリ界の鬼才が皮肉とユーモアをこめて贈る、ヴァラエティ豊かな傑作短篇集。
とても仕事にとりかかる気分ではなかった。それでも、親友のトニーが失踪したとあっては腰をあげないわけにはいかなかった。どうせ大した事件ではあるまいと思いつつ、ハンク・プリンスは調査を開始した。ところが事態はもっと深刻だった。どうやら麻薬取引に手を染めていたトニーは、大物密売人から金をくすねていたらしい。それがばれて、命を狙われているのだ。エヴァン・ウィリアムズの黒ラベルとアンディ・ウィリアムズをこよなく愛し、フォークナーを愛読する元3A野球選手に私立探偵ハンク・プリンス、南部の街アトランタに初登場。
惑星マリフェンに、突如ジャクスドローン人の戦艦が襲来してきた。猛攻撃のさなか、この星で研究に従事していた天才科学者キャル・セムザックが誘拐されてしまう。だが地球連邦は、多大な犠牲をはらってまで、ひとりの科学者を助けようとはしない。かくしてキャルの姉であり、肉体をサイボーグ化された連邦秘密謀報員ローラは、愛する弟を敵エイリアンから救出すべく、ただひとり広大な宇宙へと飛び立った。痛快スペースオペラ〈星界の猟犬〉三部作、堂々開幕篇。
未踏宙域探査の使命を帯びて、5年間にわたる航宙をつづけていた〈エンタープライズ〉号に、ついに地球帰還の日がきた。カーク艦長の脳裏には、さまざまな想いが浮かぶー。無事帰還できたことへの安堵、不慮の事故で失った乗組員への哀惜の念。だが何よりも大きいのは〈エンタープライズ〉号を指揮できた満足感だった。この艦の艦長にふさわしいのは自分以外に他にいない。艦長職にとどまることを望むカークだったが、司令部から思いがけない命令をうけることに…。
地球で長期オーバーホールに入った〈エンタープライズ〉号から、乗組員はそれぞれの道を求めて宇宙の各地へ散っていく。心ならずも提督となったカーク、宇宙連邦軍を辞めたマッコイ、故郷ヴァルカンでヴァルカン人女性と婚約したスポック。ばらばらとなった三人の運命は、二度と交錯しないように思われた。しかし、ヴァルカンで古代ヴァルカンの大導師の霊魂たる〈カトラ〉が盗まれたことから、三人は銀河を揺るがす陰謀へと、いやおうなく巻きこまれていく…。
月面の研究所が、白鳥座方面に未地のX線源を探知した。観測の結果判明した事実は、恐るべきものだったー。このX線源はブラックホールや中性子星などの通常の天体ではなく、木星に近い大きさの物体であり、しかも光速の98パーセントという速度で太陽系にむかって突き進んでいるのだ。これだけ途方もない放射線源が太陽系内を通過すれば、地球上の動植物は残らず絶滅し、太陽系全体も壊滅的な打撃をこうむることになる。残された時間は約6カ月。宇宙的規模の死刑判決を前にした人類には、なすすべもなかった…。気宇壮大な宇宙ドラマの開幕。
地球と人類の滅亡への秒読みが開始された。容赦なく迫りくる破滅の瞬間…。だが、事態は思わぬ急転回をむかえた。謎の物体が飛行速度を急激に減少させたばかりか、進路までも劇的に変化させたのだ。このままいけば、物体は太陽系内で完全に停止し、木星近傍の空域にとどまることになる。かくして、アメリカと中国合同の木星探査船が、この謎の物体の調査に派遣されることになった。そこで隊員たちが見た驚倒すべき真相とは?ニーヴンやホーガンにつづくハードSFの新星が豊富なアイデアをちりばめ、雄渾の筆致で描きあげたSF超大作登場。
ガリオンとセ・ネドラの一粒種ゲラン王子を誘拐した真犯人はザンドラマスだった。どうやら、この〈闇〉の権化ともいうべき謎の人物は、なんらかの理由で、『ムリンの書』に記された場所ーもはや存在しない場所へとゲラン王子を連れていくつもりらしい。だが、いったい何処へ?確かなことは、蛇の女王の国ニーサへ向かったということだけ。これを知ったガリオン一行は、神々の父ウルより神託を得たのち、さっそくニーサへと向かった。だが、旅の途中、一行は夢にだに想像しなかった恐るべき敵ーこの世で最後の巨大なドラゴンに襲われた。
惑星間戦争以前、人類は宇宙進出に燃え多くの惑星を開拓していった。テラ2もそんな植民星のひとつである。だが、人類の存在すら危機的状況に落としいれた惑星間戦争のため、地球からの船は途絶えーそして、500年の歳月が流れさった。植民グループごとに成立した都市国家は、苦難の開拓時代を経て、成熟の時を迎えつつあったが、植物戦争を契機として、異変が起きた。都市国家のひとつECが隣国のニロスを統合し、圧政下のニロスでは、救国戦線を中心としたレジスタンスが展開していた…。連邦宇宙軍の活躍を描く新シリーズ、開幕。
500年ぶりの地球からの公式使節団を乗せた連邦宇宙の恒星間戦闘宇宙軍ライデンは、テラ2の静止軌道上で待機していた。テラ2での交渉相手は誰なのか?地球連邦議会議員選挙をひかえ、使節団長のトカレフはあせっていた。はやくテラ2の代表者と接触しなければ選挙に間にあわない。一方、ECの独裁者マウザーは独裁政治隠蔽を図り、目ざわりな救国戦線の一掃のため、ニロスに中性子爆弾を打ち込もうとしていた。このミサイル発射を阻止できる人物はただ一人ーその名はヒロト・アカギ、ニロスのコンピュータ・プログラマーであった。
妻と娘を乗せたヨットが凪の大西洋上で消息を絶ったー。バハマでリゾートを経営する実業家マンガンを襲った突然の不幸。娘の死体の発見状況からシー・ジャックの可能性が強い。真相を知ると思われる流れ者のヨットマンを追いはじめたマンガンだが、彼の身辺にも危機が迫ってくる。折しもバハマは火災・暴動・伝染病の流行に揺れていた。やがて、マンガンはバハマ経済を破壊せんとする巧妙な陰謀が、彼とその家族を巻き込んで進行していることに気づいた!南洋の楽園をめぐって展開される死闘をスリリングに描く、巨匠の傑作冒険サスペンス。
1891年2月、英国海軍大尉セントビンセント・ハーフハイドは海軍省に呼び出され、極秘任務を命じられた。西アフリカのベニン湾沿岸にロシア海軍が要塞を築き、英国の交易路を脅かしているとの情報が入った。そこで現地へ潜入し、情勢を探れというのだ。かつて艦長と諍いを起こし、休職の身となった彼としては、この危険な任務を引き受けざるをえなかった。巡洋艦に乗りハーフハイドはベニン湾へ向かう。だが行く手に待つのは、因縁浅からぬロシアの提督と彼の強力な戦隊だった。激動の時代を奔放に生きる海の男の活躍を描く新海洋冒険シリーズ。