1990年発売
バンドに夢中でちっとも振り向いてくれない「あいつ」。大勢のサッカー部員の中でひときわプレイが目につく「あいつ」。失恋が決定した浜田省吾のコンサートで偶然に出会った「あいつ」…。この本に収められているのは、自分の世界でイキイキと活躍する男のコと、それを見つめる女のコの、可愛く切ない7通りの恋のお話。すべての女のコに捧げる恋の入門短篇集。
近所で起きた下着ドロ、犯人は愛犬サクラ、それとも憧れの男のコ?『サクラの散歩道』。ある日、若菜はルックス抜群の男のコに声をかけられた、でも、心には、自分勝手で武骨な幼なじみのことが…『砂場のナイト』。生まれつき事件に巻きこまれやすいボク、今度は金庫泥棒の計画を聞いてしまって…『少年たちのエポック』、ほか3編を収録した短編集。
ママが死んで、6年ぶりにパパの家にひきとられた12歳の池上花音。坂口家にはパパの奥さんの美保おばさんと実の姉のまどかがいたけど、花音の心は新しい環境や中学生になることの不安で、いっぱいだったの。でも、海辺で会ったせいかノッポの一泉という男の子に、なつかしい予感を感じて、花音は新しい季節の扉をたたいた…。少女・花音の成長を描くシリーズ第1巻。
モヒカン頭の琢磨、パンク娘・ミチコ、ゲイの奈加里くん、そいて、あたし、日和。このユニークな四人組も、高校卒業を間近に控えてなにかと気ぜわしい。あたしは最近、本気で料理の道へ進もうかなって考えはじめたし、琢磨はバンドでプロデビューすることしか頭にない。そんな時、琢磨のお父さんが病気で倒れて、あたしは彼の家族と対面するハメに…。好評『きらきら星』シリーズ第3弾。
あたし(生菜子)がひょんなきっかけで、小次郎じいちゃんのやっている下宿屋(三日月荘)の小間使い兼便利屋になってから、随分と月日がたった。当然のことだけど、引っ越して行く人もあれば、入って来る人もいる。ある日不動産屋が「変わった男の方だが」といって、新しい住人を紹介してくれた。その後ろ姿を一目見て、びっくり。なんと金色長髪!ええっ、外人?だが、彼は…。
男は、いけない。女もいけない。いけない二人が一緒にいるから、なおいけない。けれど1人じゃまたいられない…。ついたり、離れたり、危うい男女の関係を編んだ作品集。(解説・川西 蘭)
六年の歳月が流れた。美子のフィアンセ矢吹義一が、結婚式を目前に義妹の杏子と出奔してしまってから。しかし美子の傷は癒えることがなかった。京都で再会した矢吹はすっかり痩せ、昔の面影はなくなっていた。…愛しくも哀しい男女の仲を描いた表題作ほか。女ごころの微妙な綾を細やかに描いた珠玉の七篇。
巨大都市TOKYO。男と女がうろたえ、怒り、涙する。なぜ彼らの日常が犯罪になるのか?弁護士だから見つめられる人間の哀しみを背負いつつ、中町公一が法廷をカンバスに人生を描きあげていく。裁判小説の新境地を拓く佳作短篇集。
53歳の野々村を愛しながら、19歳の青年に心惹かれる省子。2人の男を隔てる歳月のせつなさに、妙な愛しさを覚えて…。はぐれ、寄り添い、憎みながら愛し合う男たち、女たちの8話。直木賞作家最新作品集。
「わたしがメキシコの石壁を背に立たされて蜂の巣にされたという話を聞くことになったら、思い出してほしい。それはこの世とおさらばするには願ってもない方法だとわたしが考えていたことを。それは、老衰や病死、地下室の階段での転落死にまさる。メキシコで異邦人であること-ああ、それは安楽死だ!」不可思議な手紙を最後に、メキシコ革命の戦塵の中に消息を絶ったアンブローズ・ビアス。その謎の最期を、アメリカ人女性、メキシコ革命軍士官との愛憎のなかに、事実と虚構を混然とさせながら描く。ジェーン・フォンダ、グレゴリー・ペック主演映画原作。
蘭の原種を探し求めるオーキッド・ハンターは、世界にただ一つの蘭づくりを最高の名誉とするが、その行動はあくまで隠密、敏捷である。ところが、そのハンター達が次々に殺され、とびきり高価な花が盗まれた。死体の胸には、必ず蘭の花が…。魅力的な謎、生彩ある登場人物、意外な展開。華やかな推理美に彩られた、名探偵キャサリン・シリーズの代表作に「宵桜殺人事件」を併録。
製薬会社社員の田原と禅道は数学者、相良五郎の命を偶然救い、親しくなった。教授昇進を目前にした14年前、彼は女性スキャンダルの罠に嵌まり、大学を追われたらしい。当時の恋人が今になって不審な動きをするのを怪しんだ二人は調査を始めた。象牙の塔の権力闘争、新薬認可を巡る製薬会社の策謀の中から浮び上ってきたのは実験薬の盗難事件だったー。元東大医学部教授が描く医学推理。
時の昭和3年、所は奉天。一瞬の爆風とともに、張作霖暗殺さる。唯一の目撃者である少女、麗華を追って、関東軍が立ち上がる。奉天軍、そして国民党軍も動きはじめた…。上海まで1600キロ、期限は3日。日中全軍を敵にまわして、デューセンバーグが中国の大地をひた走る。脱出なるか?日本冒険小説の金字塔、ついに文庫化。日本冒険小説協会新人賞、吉川英治文学新人賞受賞作。
ソ連大使館員殺害の容疑で逮捕された大学教授・荻野が、突如聞き慣れぬロシア人名を口走り、精神鑑定に持ち込まれた。自分は元ロシア赤軍情報部スパイ、クリヴィツキー将軍の生まれかわりだと言うのだ。彼の心神喪失状態なのか、それともなにか他の可能性が?謎は深まるばかりー。スペイン現代史が趣味という私立探偵・岡崎神策が活躍する、表題作など五編の連作ミステリー。
妻は海外旅行社の優秀な添乗員。夫は外出嫌いの人気旅行作家。御推察の通り、資料と経験談の提供者は妻である。さて、今日も、それぞれの思惑を秘めた参加者たちと共に、ツアーが出発した。行先はローマ、スリランカ、チュニジア、ニューヨーク他。そして旅先で起こる不倫、嫁姑の確執、殺人事件…。妻の報告に、夫の推理が冴える。練達の著者ならではの異色連作ミステリー集。