1990年発売
鳳プロの社員旅行に誘われた美樹は、ようやく親の許しをもらい、シュン、満、荒井、片山、彼と同じ会社の旅行専門編集の園川都ともどもタヒチへやってきた。美樹は、年がいもなく、ツアーで知り合った小学生の日向子がさかんにシュンに接近するのに悩まされながらも、ポリネシアの雄大な景色を楽しんでいた。ところが奇妙な鳥が気になりだしてから、美樹とシュンの周辺は騒がしくなった。
壮太郎と木綿子は山に囲まれた信州の町で育った幼なじみ、壮太郎が1歳年上だ。それぞれ中学を卒業すると、父親の転勤によって東京へ移り、博習館高等部へ進学した。2人は1年のブランクののち再会したのだが、壮太郎はすっかり変わってしまっていた。彼は代議員議長として有名で、現在の恋人は真希子。大人の関係だ。しかし、それを知っても彼に対する木綿子の気持ちは変わらなかった。
「このウワキモノ!」ミス松高といわれる岬真奈美から、おれにたびたび電話がかかってくるので、妹のかなえは最初冷やかし半分だったのが、最近では、反感をあらわにしている。理由はわかっている。札幌のゆり子をどうする気なのだといいたいらしい。ところが、真奈美はおれに関心があるからではなく、親友の石橋のことをあれこれ聞きたいからおれに近づいたはずなのに、石橋も真奈美も…。
ネコのパタは大好きな野原真夏と相性オール百パーセントの男のコをみつけた(ネコは相性判断の天才なんだよ)。でも、パタのドジでふたりの出会いを邪魔しちゃったのだ。トラジローという名の彼と真夏はどうなるのか、責任を感じたパタは、2年先の未来を超能力ネコのココナに見せてもらうが…。恋は女の子にとってゼッタイのもの。恋する女のコたちは贈るすてきなレンアイ小説。
あたしは聖純子、ニックネームはずんずん。あたしの家は大地霊教っていう新興宗教をやってて、おばあちゃんが2代目教祖。ところで“地の国”って知ってる?おばあちゃんのひょんな手違いから、その地の国から、バサラっていう男のコの魔人が出てきちゃったの。ブルーの髪の超ハンサム。彼があたしと同じ高校に通うことになったから女のコ達は大騒ぎ。でも、あたしの憧れは翔さまよ。
男性週刊誌“プレイガイ”の編集者・川瀬加津子は、下請けのプランナー会社社長楠田浩介と愛し合っていた。だが、加津子は浩介の友人保と結婚する。幸せな結婚生活も、保が自動車事故で植物化人間になってしまい、崩れて行く。生活を支え、仕事に生きる女の空しいこころに忍び寄る愛。様々な人間模様を背景に、揺れ動く女ごころを描いた長編恋愛小説。
輝く青い瞳、魅惑的なプロポーションにサテンのドレスをまとった女は何に怯えているのか?アメリカ西海岸で探偵をする〈わたし〉の許に、雨の金曜日の夜、仕事の依頼に現れた女はサラと名乗った。フェラーリを駆って自分を12時までに、サウスポイントまで運んでほしいと懇願した。そして同じ頃250マイル離れた2つの町で同じ男が轢き殺される奇妙な事件が起きていた…。濃い霧と美しい海に散る神秘的な女と無償の追跡を続ける男の愛。新境地を拓くハードボイルドミステリー。
ぼくたちの愛は、とても素敵なハーモニーだった。ゆたかな情感とはじけるような青春の中に、あなたへの限りない愛と、ぼくへの確かな信頼があった…。「マイ・シュガー・ベイブ」「チープ・スリル」「ジェラス・ガイ」「マイ・ラスト・アフェア」軽快な会話で知と愛をやさしく奏でる4つの恋愛楽章。
ちょっとおませで利発ゆえに自閉的な少女マリ。そのかたくなな心が、スケートボードに乗った心優しいダックスフントの物語によって開かれてゆく。誇り高い老犬は信頼と希望の中で生きのびられるのか…。時代のはかなさを描き、無垢への意志が疾走する。寓話と現実を結ぶ一本の愛の糸。NHKドラマでも大きな反響を呼んだ話題の原作。第9回すばる文学賞受賞作。
鬼のヤタローと、聖処女ウタゲは、完璧主義者で容赦のない、二大名物チーフパーサー。そして、わが極東航空を愛するあまり、文句を連発する、うるさい、うるさいパッセンジャー。この二つの“恐怖”を乗せてフライトする時、私たちドジスチュワーデスには、思いもかけない悲喜劇が…。成田発、ロンドン、パリ、バンコク、シドニー行。様々な人生の縮図を乗せて繰り広げるユーモア・フライト・ストーリー。
繊細で心やさしい童話作家の私。この純粋無垢で純情な私が、結婚した娘に送金するために、悪寒と戦慄、恐怖と吐気に七転八倒しながら、バイオレンス小説を書きはじめた。家族のために死ぬ思いで苦労している私を、優しく美しく、知性もある女房が殺そうとしている。次々と襲う危険な罠、恐怖体験。私の妄想か、錯覚か?-ちっとも怖くない大恐怖ユーモア小説。
航空機がテロの標的としてあまりに危険になったため、米政府は地下にトンネルを巡らし弾丸列車を通す計画を立てた。最大の難所、ミシガン湖底の工事が、もう完成間近だった。しかしコンピューターの予測する地層が、実際と全く違う。無理な工期の短縮もあって、現場は大混乱だった。案の定、爆発事故が続き、奇蹟的に生き残った人々は、深さ400フィートの湖底に閉じ込められた…。
学術論文をまとめるため渡英したドロレス・デュアラーは、ある日、やはり単身でロンドンに赴任していた商社副社長ヴィクター・モリセイと出会い、一夜をともにする。徹底的な女権拡張論者、自然保護論者であるドロレス、男性主導社会の論理に固執し、常に勝者であることを目指すヴィクターーまったく相容れぬはずの男と女が、運命の糸に引きずられるように恋に陥ちた。
ドロレスは男性の支配する社会、生産性のみが重視される社会への憤りを訴え、ヴィクターはそれを認めたうえで彼女の潔癖さ、偏狭さを指摘した。ふたりは互いにおのれの信念を譲らず、会うたびに反発し、だが同時に強く引かれあう。-他人を傷つけながら生きていかざるをえない男と、他人の心の傷みに涙を流す女。理性と感性がぎりぎりまでせめぎあう愛の極限を精緻に描く長編。