1990年発売
父は簡単な料理を作れるまでになった。退院した母を看ながらの毎日も、順調のように思われた。しかし、身体の不調を訴えて検査入院した父が、病気への恐怖から、突然痴呆症になる。病院の処置に憤ったわたしは強引に父を帰宅させるが、病人との生活は想像以上に厳しかった。-現代社会が克服しなければならない大きな問題を捉え、家族の姿と生きることの意味を問う、愛と感動のドラマ。
もし、モリエールやモーツアルトがぼくのなかにいるとしたら、学校に殺されてしまう!16歳のある日、ぼくは寄宿舎を脱走、首尾よく戻ったパリで恋に落ちる。彼女は夫のいる女性。初めてのメイク・ラブ、彼女の腕の中で眠る日々。でももちろん彼女の夫も、パパも黙っているわけはない…。ヌーヴォー・ヌーヴォー・ロマンの少年の物語。
儀式の夜、侍女は仰向けにされて司令官を待った。その精液を受け、妊娠を待った。ただそれだけのために、男に仕えるために。そして、なにもかもが女性たちから奪われた。自由、それはいったい、どんな味がしたのだろう-。恋愛も読書も、仕事や家族やお喋りも、自由の思い出は、すべて夜の眠りの中にしまいこまれた。だが、ヒロインに、小さな希望、壁に囲まれた町から脱出する微かな兆しが…。数々の文学賞に輝いた、衝撃の全米ベストセラー待望の完全翻訳版。
細胞手術という世界初の手法で執刀された肝臓移植手術の経過報告に、永田町は耳をそばだてていた。肝機能障害を噂される首相の緊急入院。全閣僚の寿命を1ケ月単位で予測したヒポテーブルなる怪文書。先端医学情報が国政を揺さぶった6ケ月を描く、驚異の医学サスペンス
個であることを求める人々にとって〈家族〉とは…。古びた洋館榠〓荘。そこにはたっぷりの解放感と、互いに侵し合わない〈個独〉の時間がある。血の繋がりのない住人がゆるやかに結ばれる〈共感家族〉。ねばならないの枠の外側に生きる飛べない鳥たちの愛の物語。
雨の日の月曜日。それだけでいいかげん気が滅入ってくるというのに、ずぶぬれになって帰宅してみれば、暖炉の前には同僚のライザが死体になってころがってるなんて!英語教師のアマンダには、自分にこんなことが起きるとは信じられなかった。それに、捜査にあたることになった若手刑事のマッケンジーは、どうやらアマンダを容疑者ナンバーワンとみているらしい。このちょっぴり生意気な刑事の鼻を明かしてやろうと、アマンダはライザの身辺調査を開始した。女優としても活躍し、ちかく地元フィラデルフィアの名士と結婚することになっていたライザ。でも、殺された日の朝に会ったライザは、なにか悩みごとがあるみたいだった。だが、それを探りだす前に、アマンダは第二の死体を発見するはめに…。事件にまきこまれた美人教師が始めたちょっと危険な探偵ごっこ-恋と推理のロマンティック・サスペンス。アンソニー賞新人賞受賞。
ソニイはけちな小悪党で、麻薬売買でぱくられ、弁護を依頼してきた男だった。だから、そのソニイが殺されたと聞いても、どうせくだらないもめごとが原因だろうと、弁護士のビーノはさほど驚かなかった。ただ一つだけ気になることがあった。ソニイの死体を発見したのがFBIだったのである。ビーノは事件の背景を調べ始めた。そのころ、ソニイを殺した二人組の男は、ビーノの生命を狙ってダラスの街を俳徊していた。知らぬまに死の標的とされていたビーノがあばきだした、一見単純な麻薬密売人殺害事件の裏に隠されていた真相とは?ダラス政界の巨悪にひとり立ち向かう弁護士の姿を、裏の世界から生々しい筆致で描くクライム・ノヴェル。
射手座区にある恒星ルクバトの第3惑星パーンー緑ゆたかなこの星に、いま、地球から三隻の植民船が飛来した。FSP(生命既存惑星連邦)の法にのっとりこの地に理想の植民地を建設するのが目的だ。ヨコハマ号の船長ポール・ベンデンの指揮の下、処女地パーンにふさわしい、科学技術にたよらない共同社会を築くための政策がつぎつぎと実行にうつされた。地球から冷凍輸送してきた植物や家畜もパーンの自然環境に適応し、人びとは広大な土地を自由に開拓していく。植民地として、パーンにはなにひとつ欠点がないように思われたのだが…。
スペースホームの考古学者ホワイトディンプルと、土星研究ステーション出身の天才少年バディルの活躍なよって発見された異星人の遺物。そこに書かれたメッセージの解読結果は、驚嘆すべきものだった。人類へのプレゼントとして、太陽から850億キロの距離に恒星船が置かれているというのだ。その船をつかえば、謎に包まれた異星人〈ヘキシーズ〉の母星に到達し、進歩したテクノロジーを人類のものにすることも夢ではなくなる。かくして本格的な調査が開始されたが?より壮大なスケールで気鋭が放つファン待望の『サターン・デッドヒート』続篇。
発見された〈ヘキシーズ〉の宇宙船は、全長860メートルにもおよぶ巨大なものだった。同時に見つかった大量のデータから、この船で彼らの母星に行けることが裏打ちされた。ただちに太陽系精鋭の科学者たちからなる遠征隊が組織され、人類史上かつてない旅が開始された。船長ホワイトディンプルの指揮のもと、幾多の危機を切り抜けて、ようやくヘキシー星にたどりついた地球人一行を待っていたのは、奇妙きわまる異星人たちとあらゆる想像を絶した不可解な文明の姿だった…。新星キャリンが、雄渾の筆致で描きあげた話題のハードSF巨篇登場。
ガリオンは邪神トラクを倒して、真のリヴァ王になった。これで〈予言〉は成就された、と誰もが信じて疑わなかった。ガリオンはセ・ネドラ妃の夫として、また王として国と民を治め、かたや不思議な少年エランドはベルガラスやポルガラと共にアルダー谷で幸福な日々を送っていた。そして2年の歳月を経たある日、ガリオンとエランドの頭の中で予言の声が響いた。-「ザンドラマスに気をつけよ」だが、果してザンドラマスとは何か?答を求めてガリオンは『ムリンの書』をひもとくが…。〈ベルガリアード物語〉に続く新シリーズ、遂に開幕。
東西ドイツ再統一の気運高まるボン。今そこの英国大使館から職員が1人、機密書類とともに姿を消した。彼の名はリオ・ハーティング。現地採用の臨時職員にすぎないが、消えた機密文書が公になれば英独の関係悪化は必至。事態を重く見た英国外務省は、公安部のターナーを派遣、極秘にリオの行方を追わせる。ターナーは失踪した男の経歴、背後関係を探るべく、大使館スタッフにインタビューを重ね、リオの実像に迫ってゆく。果たしてリオはソ連のスパイだったのか?巨匠が自らの体験をもとに外交社会の虚妄を描き新境地を拓いた傑作スパイ小説。
言葉巧みに真実を隠蔽しようとする官僚たちに、苛立つターナー。大使館の閉鎖的な人間関係を辿る彼は、リオが数カ月前から何事かに取りつかれていたことをつきとめる。一方、リオ失踪の噂に、西ドイツ公安局が動きはじめた。醜聞を恐れる大使館はターナーの帰国を決定。だが、真相究明への情熱断ちがたいターナーは、指示に背いて調査を続ける。やがて彼は、事件の背後にドイツ統一をめぐる権力者の卑劣な取引があることを知るが…。国益のためには手段を選ばない非情な国際政治の世界と、その中で正義を貫こうとする人間の苦闘を描く力作。
英米ではホラー・アンソロジーがブームだが、中でも〈ナイトヴィジョン〉シリーズは独自の編纂で知られる。つまり、3人の作家がそれぞれ250枚の中短篇を各巻に書き下ろすことで、一作家一短篇に限られた従来のアンソロジーにつきまとう物たりなさを解消したのである。本巻には、ベストセラー作家ディーン・R・クーンツ、SF界の実力派エドワード・ブライアント、クーンツをしのぐ人気作家ロバート・R・マキャモンの3人を収録する。
第二次世界大戦が終了した1945年。ニューヨーク近郊の町ポート・フィリップの貧しいジョーダーシュ家に生まれ育った姉弟の生活にも転機が訪れていた。中年実業家ボイランとの出会いから奔放な恋愛遍歴を重ねていくグレーチェン、ハイスクールの陸上競技選手で優等生の兄ルードルフ、不敬事件をひき起こし町を追われる弟トマス。自身の価値観にのみしたがい相容れない3人は、それぞれの新たな生活へと足を踏み入れていく…。現代アメリカ文学を代表する人気作家が戦後の混乱した社会を背景に壮大な人間愛のドラマを描いた大ベストセラー長篇。
大学を卒業後、大学院への進学を断念したルードルフは、地元のデパートで要職に就いた。幅広い経営の手腕を発揮する彼は、次第に有能な青年実業家としての名声を築いていく。そして、最愛の女性クロチルドにめぐり逢えたのも束の間、乱交事件を理由に叔父の家を追われ、行き場を失ったトマスは、ボクシングの世界に自分の住む場所を見出そうとしていた。心の底にまだ消えやらぬ互いの愛憎を秘めたまま、運命の糸に操られるよように、2人が思いもよらない再会をする日がやってくる。さまざまな出会いが織りなす人間模様を綴ったショーの代表作。
3人の姉弟は、母親の死によって長い間縛られていたジョーダーシュ家の血の怨念から解き放たれた。グレーチェンは最愛の夫と死に別れ、長く望んでいた学業へ戻ることになる。一方、ルードルフは市長として政治の世界に、トマスはヨットの船長として航海へ出ることになる。3人はそれぞれの求める道を見つけていくが、たがいを理解し合えたと思った矢先、思いもよらない大きな悲劇がかれらを待ちうけていた…。都会的で洗練された短篇の名手として知られるアーウィン・ショーが、家族とは、人間の本質とは何かという問題にとりくんだ傑作長篇。