1990年発売
主人公ティルが放浪者・道化師あるいはもぐりの職人となって教皇・国王から親方連までさまざまな身分の者たちを欺きからかい、その愚かさを暴いて哄笑をまきおこす。500年余も読みつがれてきたこの作品はいまも諷刺の力を失っていない。中世ドイツ語原典の翻訳に気鋭の社会史家ならではの詳注を加えた。図版多数。
能の水上流宗家・和憲には、和鷹、秀美という二人の孫がいた。巷では、異母兄妹になるこの二人のうちどちらかが将来、宗家をつぐだろうといわれていた。だが、舞台で道成寺を舞っている最中、和鷹は謎の死を遂げた。そして宗家・和憲も理由もなく突然行方不明に…。一方、新宿の高層ビル街で、一人の男が突然苦しみ倒れた。その側には天河神社のお守りである「五十鈴」が…。舞台は東京から、吉野・天川へー。
日本を深く愛しつづけたラフカディオ・ハーン(小泉八雲)1890年に来日以来、日本の物語や民間信仰、風習等を通して、西洋至上主義に捉われることなく日本を理解しよと務め、数多くの秀れた作品を残した。本巻は八雲の作品の中でも「耳なし芳一」「轆轤首」「雪女」等、一般に親しまれている怪談・奇談42篇を、気鋭のハーン研究者達の新訳で収録。さらに巻末にこれらの原拠30篇も翻刻した。 1 耳なし芳一 2 おしどり 3 お貞の話 4 乳母桜 5 策 略 6 鏡と鐘と 7 食人鬼 8 貉(むじな) 9 轆轤首(ろくろくび) 10 葬られた秘密 11 雪 女 12 青柳の話 13 十六桜 14 安藝之介の夢 15 宿世(すくせ)の恋 16 因果話 17 天狗の話 18 和 解 19 普賢菩薩(ふげんぼさつ)の伝説 20 死骸にまたがった男 21 菊花の約(ちぎり) 22 破られた約束 23 閻魔の庁で 24 果心居士(かしんこじ)の話 25 梅津忠兵衛 26 夢応の鯉里(りぎょ) 27 幽霊滝の伝説 28 茶碗の中 29 常 識 30 生 霊 31 お亀の話 32 蠅の話 33 忠五郎の話 34 鏡の少女 35 伊藤則資の話 36 美は記憶なり 37 美の悲哀 38 薄明の認識 39 破 片 40 振 袖 41 夜光るもの 42 ゴシックの恐怖 43 解 説 44 原 拠
86のバストを震わせて竜子は怒った。恋人春彦と美人美容師の密会写真を前にして、「ヘアデザイナーの取材だなんて大ウソなのね。」職権乱用なんのその、新宿中央署の総力あげて二人をマーク。ところが春彦誘拐を告げる電話がとび込んで。春彦が掴んだ美容界の黒い陰謀とは?ご存知ボディコン竜子の名推理。
「頼子が死んだ。」十七歳になったばかりのひとり娘を殺された父親の手記の一行だ。手記は、通り魔殺人で片づけようとする警察に疑念を抱いた父親の孤独な推理行と、遂に犯人をつきとめ相手を刺殺、自らも死を迎えるころで終わっている。だが本当の物語はこの手記を名探偵・法月綸太郎が読んだ時に始まるのだ。あなたが手記に抱く違和感が謎を解く鍵だ。
初恋の人・美佐子に別れをつげ、和倉勇作は苦労を重ねて警察官となった。その勇作の前に殺人容疑者として現われたのは、学生時代どうしても勝てなかった宿敵の瓜生晃彦だった。しかも美佐子の夫として。宿命を背負った二人の対決が極限に達したとき語られる、ただ「ひと言」の衝撃。感動の名作、ここに誕生。
うりふたつの人間ドッペルゲンガー(D)の急激な出現!人類は滅びの道を歩むのか、それとも逆にD現象は地球に進化をもたらすのか?また満月に大量発生するわけは?そして謎の美少女椎名恵の正体は?すべての秘密を明らかにする驚愕の総完結編。日本のSF史上に新時代を開いた記念碑的巨編ついに完成。
ウォール・ストリート・アガサ・クリスティーー『ニューヨーク・タイムズ』。ボストンに本社を置く、急成長を遂げた航空会社『スパロー・フライウェイズ』の従業員代表が殺された。折しも同社はM&Aを前にした攻防で、血みどろの社内抗争が繰り広げられていた。殺人犯は社長か重役かー、米企業社会の暗部を抉る、手に汗握る長編サスペンス。
警備会社に転職した江原光彦は、派遣先のスーパーできれいな顔をした女が万引するのをつかまえた。正式の取調室をいやがる女を江原はラブホテルへ連れ込んだ。泣きながらかぶりを振る女に江原は強引に挑みかかった。悪徳ガードマンの赤裸な日常をあますところなく描いたピカレスクロマンの長編傑作。
第2次大戦の終了まぎわ、日本軍によってマレーシアの奥地に秘匿された時価数百億円の財宝探しが計画された。チームのメンバーに、美貌の女・須賀涼子、ボディガード役に、元情報工作員で射撃の名手・原卓二。そして謎の現地組織。恋と欲望の修羅場の勝者は誰か?著者渾身の長編冒険バードボイルド。
「メキシコ沿岸でソ連原潜が事故」というベタ記事を追った商社マン今田総吉は、メキシコ政府が秘かに進める天然ガス開発計画を察知。プラント受注に動きだした途端、米国メジャーの不可解に介入が強まり、イスラム過激派はサウジ油田を爆破する。複雑な世界エネルギー情勢なのか、熾烈をきわめるプラント争奪戦の内幕を描いた経済情報小説。
港で、行き場を失った怪物ー二度と素晴らしいスピードでアイスバーンを滑降することも出来なくなった一台のボブスレーが放置されているのを見つけた歯科医の青年は、医院の開業資金をつぎ込み、そこにカフェ・レストラン〈ボブスレー〉を開店する。青春への郷愁をドラマチックに描いた秀作四編を収録。