1990年発売
ブレジネフ死亡、アンドロポフ書記長誕生。その裏には恐るべき陰謀が秘められていた。これを知った特派員の身に次々と襲いかかるKGBの魔の手。当時、特派員としてモスクワに在住した著者が書き下ろした衝撃のノンフィクションノベルズ。
政情不穩の北京で、国際便利屋を自称する現地駐在員岩間一郎と中国青年たちとの危ない交際、そして美少女季里との恋。だが、なぜか彼の周辺にはいつも公安の目が…。話題作『ナンミン・ロード』で注目された著者が、5年の歳月をかけて世に問う700枚の野心作。
母の捻挫の手当てをしているぼくの視界には、パンスト越しに、母の愛液が染みだしたピンクのパンティが見えていた。思わず手をのばしたぼくの指先きに、柔らかい部分と“ムチュ!”という音とともにねばった蜜の感触が伝わってくる。ぼくは、“アッ”という間もなく、Gパンのなかに放っていた-。
彼女の名はオリガ、彼の名はセリョージャ。2人は知りあい、愛し合い、結婚した。2人の間には娘イリンカ。彼は42歳、心臓発作で死亡。彼女に残されたのは娘と姑と、彼の記憶。彼と彼女とふたりの人生。そして彼女に「もうひとつの人生」。
天正10年春、信長は得意の絶頂にあった。東方の脅威だった武田氏はわが蹂躪に沈み、天下統一の道は西国を残すのみとなった。その西国も、秀吉が高松城を包囲し、着々戦果を上げていたが、救援毛利勢の動き如何では、覇業に頓座をきたすとも見えた。かくて信長出陣。だが出陣にも似ぬ軽装は、信長一期の不覚といえよう。運明の本能寺!鞭を揚げて東を指したのは、逆臣光秀であった。
信長凶刃に斃るの報を、織田の諸将はどう受けとったのか。秀吉は備中・高松城を水攻めに計った矢先。もし毛利方に信長の死が洩れたなら、情勢はどう変っていくか。まさに薄氷をふむ思いで、秀吉はこの3日間を過した。だが、彼の心気は生涯の内で最も充実したときであったろう。主君の弔合戦に姫路城を進発した秀吉の眉間は明るく、思惑はずれの天下に失望した光秀とは好対照をなしていた。
天下統一にまっしぐらに進んでいた信長の死。しかも嗣子の信忠もろともの死であっただけに、後継者問題は織田家の内外を通じて、頭の痛いことであった。清洲会議の決定も、次第に宙に浮いてゆく。いち早く光秀を誅殺し、家中第1の発言権を確保した秀吉、1歩遅れたりといえど、宿老として重きをなす勝家。激化する2人の対立に、信長の子・信雄、信孝の思惑がからんで賤ヶ嶽合戦へと進む。
とぎすまされた言語感覚で、「文学の時代」を予感させる新人書き下しニュー・ノベル。オランダの地方都市、男がいて、女がいて、透明な言葉が風のように枝をわたる見つめあい、互いの夢の深さをさぐりあう手にしたキップは…行先不明。
気に入った女の子には熱いキッス。気にいらねえ野郎には、固い地面にキスを。ギャルとギャングが入り乱れる悪人海岸。キザな私立探偵シローが、オンボロ車でつっ走る。(解説・藤田宜永)
巨万の財宝がねむる伝説の宝島探検にむかう一行のゆくてには、恐ろしい海賊の陰謀がまちうけていた。樽の中でのその陰謀を盗み聴いた勇敢なジム少年の大活躍。巨匠スティヴンスンの名を不朽にした海洋険小説の傑作と、身の毛もよだつ二重人格、分身の恐怖を描く『ジーキル博士とハイド氏』の2代表作を、野尻抱影の香り高い名訳でおくる。
地下室の扉が再び開かれるのは72時間後。人工的に“孤島”を作り、その中でミステリー講座を開催する。参加者は立案者の推理作家と若い教え子たち7人。ところが初日の夜、推理作家は死体となって発見され、続いて第2の殺人が。さらに人間消失。新トリック・メーカーが読者にあえて挑戦する不可能犯罪の極致。
夜の闇が忍び寄って来る。廃てられた大きな館に続く荒れた道を、冷たい夜風が吹き抜けて行った。館は人気もなく、すっかり荒れ、深い闇が中をおおっていた。闇の中を老婆がひとり、物悲しい子守り歌を静かに口ずさみながら歩いていく。今は亡き子供たちに、ずっと昔歌ってきかせた歌ー悲しく美しいJ・ハーバートの怪奇スリラーの傑作。