1991年10月発売
E女子大学4年の友田なつみは、夏休みに訪れた吉野で会社社長、泉と出会った。卒論・就職活動と忙しい日々の中、なつみの脳裏にはなぜか時折泉の姿が浮かぶ。妊娠を苦にした友人の自殺にあい、女性に厳しい就職の現状を経験したなつみは、万葉の時代を風のように駆けぬけた一人の女帝に目を向け始めた…。歴史と現代が交差する地点で女性の生き方を見つめる著者初の長編現代小説。
大学を卒業し、編集プロダクションに就職したなつみ。生き馬の目を抜く世界で、女性が働くことの厳しさを知り始めた矢先、プロダクションが倒産、失業したなつみは、持統女帝の生き方に魅せられて、再び吉野へと旅立った。遺跡発掘に精出す充実した日々に、彼女がほのかな恋心を抱く中年男性、泉が現れる…。万葉びとの華麗な生きざまに現代女性の自立への道を探る、長編ロマン。
ヴェトナムから移住して成功をおさめた実業家レは、深夜ひとりで自分の所有するマリーナに出向いた。立ち退きを拒否するマリーナの船上生活者のひとりから呼び出されたのである。だが、桟橋で彼を出迎えたのは、一発の銃弾だった。レ殺害の容疑は、レを呼び出したヴェトナム戦争の退役軍人にかけられた。だが、本人は犯行を頑強に否認しつづけていた。容疑者の公選弁護人からの依頼で調査をひきうけたブラントステッターは、事件の起きた晩に東洋人二人組がマリーナから逃げていくのを目撃した人物を見つけ出した。その目撃者の話によると、しばらくまえにヴェトナム料理店で四人のヴェトナム人を射殺したのも、それとおなじ二人組だったという。はたしてふたつの事件に関連はあるのか?東洋人二人組とはいったい何者なのか?ヴェトナム人社会の複雑に絡みあった絆に秘められた謎にブランドステッターが挑む、待望のシリーズ最新作。
魔風海峡を渡ったタリオン一行が漂着したのは、海面よりも低く位置し沼地や密林が広がる一大陥没大陸だった。そこでタリオンらはラドゥ七賢人の苗裔三人と邂逅、その助力を得て義勇軍と合流すべく、妖魔の細胞が跋扈するこの大陸を北上し始める。一方フォルタ率いる義勇軍は、冷酷非道なハザル・モルティーギによる思いも寄らぬ攻撃を受け、かつてない窮地に陥っていた…。愛の戦士タリオンの活躍を描くシリーズ第11巻。
ロサンゼルス近郊の原子力発電所が、テロ集団に襲撃された。犯人たちは放射性物質を強奪し、さらに原子力物理学者と職員数名を誘拐ー。そこにはライダー主任刑事の妻スーザンも含まれていた。愛する妻を救うべく、必死の捜査を続けるライダー。一方、盗んだ放射性物質から核爆弾を製造したテロ集団の首領モロは、これを使用してカリフォルニア州全域を壊滅させると通告してきた。核テロリズムの恐怖を描く冒険サスペンス。
イギリス政府首脳を暗殺したIRA最高の狙撃手を抹殺せよ!イギリス首相の命令を受け、対テロ活動で数多くの勲功を挙げた元情報将校ハリーは、動乱の北アイルランドへ向かった。身分を偽装して独立闘争の拠点ベルファーストに潜入した彼は、次第に暗殺犯人へと迫っていく。一方、非情な闘争路線に幻滅しつつも、暗殺犯人は新たな任務を遂行しようとしていた…。二人の男の逃亡と追跡をスリリングに描く冒険サスペンス。
わたしは口腔外科医のアダムズ。ドクと呼んでもらおう。ケープ・コッドの沖に不審な座礁船を目撃したわたしは、友人のダイバーに偵察を頼むが、翌日、彼は溺死体となって発見された。わたしの余計な好奇心がこんな事態を招いたのか。自責の念に駆られ、わたしは自ら謎の座礁船と友人の死の真相を調べはじめる。海と船を愛し冒険に憧れる中年男ドク・アダムズの活躍を描く、アメリカ探偵作家クラブ賞最優秀長篇賞受賞作。
子供は手を離れたし、夫は今夜もクリケット。これまでは家事に追われてきたけれど、わたしも自分の生きがいを見つけなければー。一念発起した専業主婦のクリスは地元の新聞社に就職した。ところが仕事を始めて早々、取材先のホテルで男の首吊り死体を発見してしまい、彼女は思いがけない事件の渦中に…。等身大の主人公が直面する殺人事件とちょっぴり危険な恋をウィットたっぷりに描く、英国推理作家協会賞新人賞受賞作。
探偵の免許を失い、ネヴァダの砂漠でひとりテント生活を送るジャック・ロス。彼は世を捨て、二度と調査の仕事はしないと誓っていた。しかしその誓いは1人の女性レポーターによってやぶられた。彼女によれば、25年前に事故死したはずのロスの母親は、実は殺されたのだというのだ…。沈黙が支配する荒野を舞台に描く、心を揺さぶる正統派ハードボイルド。