1991年12月1日発売
人類だけが常に地球の主だったわけではない。そう、今もなお〈旧支配者〉は世界の何処かに潜み、虎視眈々とわれわれを狙っているーH・P・ラヴクラフトが生みだした〈クトゥルー神話〉。本書は、あのコナンの生みの親がおくるクトゥール神話傑作短編集である。表題作をはじめ、「妖蛆の谷」「獣の影」「闇の種族」「大地の妖蛆」「鳩は地獄から来る」など全十三編を収録した。
デタントをより促進するために、アメリカ第七艦隊がソ連のウラジオストク港を表敬訪問することになった。だがソ連は目下、太平洋艦隊の増強につとめている。この裏には何かある…。海軍情報部部長マグナソンがにらんだとおり、ソ連海軍は第七艦隊を盾に、中国の領海に眠る大油田を占領しようとしていたのだ。マグナソン配下の工作員たちが中国へ、ソ連へ飛ぶ。米中ソ大海戦の危機が刻一刻と近づいていた。軍事冒険スリラー巨編。
下呂温泉旅館『下呂渓山荘』の経営者坂松寿男から「妻の不倫の証拠をつかんでほしい」との依頼が『フレンド探偵社』に舞い込んだ。夫・坂松との夫婦仲がしっくりいかない女将は男と次々浮気を重ねていく。その一人・河内大介は女将の案内で飛騨高山へ車で見物にいった帰途、舞台峠でトラックと正面突し、怪死する。主人の目を盗んでは女将と不倫を重ねていた番頭・吉田も河内と同じ運命をたどる。一連の死に犯罪の臭いを嗅ぎとった志摩男、倫子のコンビは事件解明に本格的に乗り出す。
叶理香子は26歳の美人監察医である。東京23区内で発見された変死体を検死したり、場合によっては現場から持ち帰って行政解剖して死因を明らかにするのが主な任務である。その理香子のもとへ若林早紀という女性から一通の封筒が舞い込んだ。「姉がはめていたはずの指輪が事故現場になかったこと、姉に一億円の保険金がかけられていたことで姉の事故死に疑惑を抱いている…」との文面である。ミステリ好きの理香子は早紀とともに事故死の裏に隠された謎の解明のため知恵を絞る。
本田由夫、ナホ夫婦は二階を貸間にしている。その一室に平井が越してきた。そして平井の恋人・信子は、あろうことか、平井の情事をナホに洩らした。なんと華麗?なる行動…その思いがどう発展したのか、いつの間にかナホは平井に燃えだしていた。平井の両腕がナホの両脚の間に入る間柄となった。夫の顔が脳裡をよぎる。が、浮気の一回や二回、現代の常識よ。あんただって、レストランの女の子と熱海で…。ナホは自分を納得させ始めた。多彩なシークレット・ラブの狂詩曲。
麻里子はパリで突然姿を消した。兄の北村泰介は行方を探るべくフランスに飛んだが、待ちうけていたのはパリ警察の刑事だった。どうやら彼女の失跡は恋人の変死事件に関係があるらしく、警察の追及も厳しい。調べ回ってみると恋人というのは電子工学家だが、裏の顔は変質者の上スパイグループとも関係があると判明。その魔手は遂に北村をも襲った。
俺の名は次元大介。ひょんなことからICPOによる、ルパン三世逮捕の全面作戦の情報を耳にした。コードネームは“戒厳令作戦”。世界中に一時的に戒厳令をしき、各国の警察を総動員するという、大がかりなものらしい。とにかく、相棒のピンチは放っちゃおけねぇ。なんとかこれをルパンに知らせなきゃ。それに、やつと一緒にいれば、スリルが味わえる。俺の真価はスリルのなかで発揮される。一瞬の判断と、反射神経のゲーム…。久しぶりに、それが始まろうとしていた。
神秘につつまれた美くしい王国ブリタニアに、滅亡の危機がしのびよる。伝説の8つのルーンを奪い去った、暗黒の騎士ブラックナイトのたくらみとは何か?いま、勇気と正義にあふれる冒険者の前に、ムーンゲイトが開かれる。ブラックナイトの8つの地下迷宮に挑むのはキミだ。
1970年、日本に潜在するアメリカ人の人類学者メルヴィルは、情報部と通じているらしき男スウィートウォーターと、旧知の実業家ミスター岳から思わぬ依頼を受けた。西側への亡命を望む中国の一将軍をひそかに連れだしてほしいというのだ。その将軍が目下駐屯する場所はチベットの山中。岳との過去のしがらみと多額の報酬ゆえに依頼を承諾したメルヴィルは、雪深い極寒の秘境に分け入った。
仮借ない大自然の猛威にさらされる中の行軍は困難をきわめた。しかも、周囲には中国軍の目が光り、頼みの綱の原住民ゲリラが留まる村には邪教の権力者の思惑が渦巻いている。やがてようやく問題の将軍と合流できたメルヴィルだが、自分に課せられた真の役割はそのときも知る由がなかった!アントニイ・プライス、テッド・オールビュリーが絶賛した英国の新鋭が放つ冒険サスペンス巨篇。
滝連太郎は、教授の紹介で、映画製作にからんだ楊貴妃ゆかりの地を訪ねるツアーに講師として参加することになった。依頼者は、楊貴妃の末裔と称する美容総合センター社長の唐渡美帆だった。翌日、滝は武見香代子を誘い、デパートで開催されている「泉涌寺秘宝展」に出かけた。展示されている楊貴妃観音を見るつもりだったが、そこで警視庁の大曽根警部に声をかけられた。彼もある殺人事件との関連で捜査に来ていたのだ。数日後、捜査本部に楊貴妃を詠った白居易の「長恨歌」が送られてくる…。楊貴妃渡来伝説に材をとった書下し長編伝奇ミステリー。
レミー、メル、弥生、ミニヨンは弱小詐欺集団〈ドリームポリス〉。10億Crに目がくらみ、砂漠の惑星サウスに〈聖なる獣〉ムーンパンサーを密猟に出かける。ギイ族とムーンパンサーの秘密をめぐり、さらにヘンな2人組・佐野&忍、革命家、神官ラモーンが入り乱れ、謎が謎を呼ぶ。新感覚な作者が贈るファンタジー活劇。
ちょっとシニカルでロマンチック、官能的で厳粛な、最適の訳者で贈るNYタイムズ絶賛の短編小説集。『ニューヨーカー』誌で活躍の謎の匿名作家が、4人のブランチ仲間の女性を中心に織りなされる11の愛のかたちを描く。
一流商社マン松平京一郎は、人気歌手マヤと結婚し幸せの絶頂にあった。引退し、家庭に入るマヤは、芸能界の匂いのない慎ましい女性。新婚生活は順調にすべり出したかに見えた。だが、マンションの真下の部屋の主婦が殺されたその日から、マヤはタバコや酒の臭いを身に染み込ませ、人が変ったような言動をとり始める。やがて、京一郎に小さな疑惑が芽生えたー。
情欲の火焔に身悶えする人妻ー。不倫、近親相姦、火種は尽きない。細くしなやかな指先が花淫を割って、妖しく蠢めく洞穴の奥先で魔物が男を誘っている。満たされない体の疼きに、禁断の世界を彷徨う女たちは熱い樹液を全身に浴び、忘我の境地にむせび泣く。
内裏を舞台に行われた大江山の「鬼」達との壮絶な戦い以来、京には束の間の平和が訪れていた。そんなある日、宴の席で、碓井貞光から一条戻り橋に出没するという橋姫の噂を聞き、一人戻り橋に出かけた渡辺綱は、そこで妖しい魅力を湛えた謎の女、茨木と宿命的な出会いをするのだったが…。そして、息子への帝の寵愛を妬む源頼光の父・鎮守府将軍満仲、内覧の藤原道長の地位を狙う伊周、権力を巡る男達のどす黒い野望は、大江山の首魁・呪天童子の、新たな魔手を呼び寄せることとなるのだった-。戦うことに悩みながらも「鬼」との壮絶な戦いに巻き込まれていく頼光と綱達。好評ファンタジー伝奇ロマン第三巻。