1991年1月発売
婦人科医と名乗る男のさそいに乗ったOLと女子大生の美人姉妹は、男の罠に嵌まり、検診台の上で2人重ねて犯される-。あまりに異常な性の体験に二人の女は、いやらしい検診台の上で性の歓びに悶え狂ってしまう。一度体験した死ぬほどの性感は、清純な姉妹を性に乱れる二匹の牡獣に変貌させていく。
信長死せり!報せは異常の迅さで秀吉の許へ届く。如何にして…?歴史の影に添って生きた忍びの者たち。とりわけ伊賀の、とりわけ二人の異能の者だけが駆使できた思念伝達(テレパシー)。驚くべきクライマックスは果して影の怨念を果したのか?柳俊太郎会心の遺作。
武田、松永、三好が裏切り、盟友家康も服した。伊勢に脱出した信長が、そこで企らんだことは?戦国時代の海上砲撃戦を、信長の側近、イタリア人技術者の視点で描いた異色長編。
初体験の感傷的な記憶、書いても書いても売れなかった時代に飲んだ酒の味、殺されるのを覚悟した学生運動の日日…。売れっ子作家としてTVで顔も知られるようになって、問い続ける青春の意味。友情、恋愛、家族のいったい何が変わり、どこへ行こうとしているのか?走り続ける作家のハードボイルド連作。
上野発の急行「妙高」に乗りこんだ奇妙な男女。彼らに向けてシャッターをきったカメラマンは善光寺の戒壇めぐりの回廊で襲われ、フィルムを抜きとられた。一方、終点に着いた列車からは女性の絞殺体が発見された。一連の事件の背景には新興宗教団体の不気味な影が…。表題作ほか十津川警部名場面3篇。
アンデルセンが憧れの国イタリアを舞台にくりひろげた愛の物語『即興詩人』は、鴎外の格調高い文章によって紹介されて以来、広く人々の心を捉えつづけてきた。翻訳文学の傑作であり、明治文学史上記念すべき作品である。
原作が童話集ほどの名声を得なかったにもかかわらず、日本において今なお多くの読者をかちえ続けているのは、いつに鴎外の名訳にあることはいうまでもない。自由自在の語法と華麗でリズミカルな文章によって醸し出されるロマン的雰囲気は遙かに原作を凌ぎ、その後の日本文学に多大の影響を与えた。