1991年2月1日発売
被害者は全員、頭に弾丸を一発撃ち込まれていた。そして、全員が警官だった。警官だけを狙う連続殺人鬼の登場に警察全体がパニックに陥った。捜査を担当するストライカー警部補も、いつ狙われるかもしれない不安と闘いつつ、必死で手がかりを探した。そこへ、ストライカーと部下たちの努力を嘲笑うかのように、こんどは浮浪者に変装して潜入捜査をしていたFBI捜査官が頭に弾丸を撃ち込まれて死んでいるのが発見された。FBI捜査官の調査は事件と関係あるのか?犯人を犯行へと駆り立てているものとは?名作『モンキー・パズル』のストライカー警部補が姿の見えない敵を相手にふたたび獅子奮迅の活躍をみせる、才気溢れる女流作家の傑作サスペンス。
陰謀うずまく近未来アラブの犯罪都市ブーダイーン。この暗黒街で一匹狼を気どってたおれ、マリードも、今じゃ顔役“パパ”の雇われ警官だ。金と権力こそあれど、しょせん使い走り同然の身。なじみの女や友人の、冷たい視線が気にかかる。おまけにお膝元のこの街に、怪しい気配が立ちこめてきた。幼児売買に謎の殺人。名誉挽回のチャンスとばかり、捜査に乗りだすおれを待つものは?好評『重力が衰えるとき』続篇登場。
大戦の余波で、地球の環境は激変していた。苛酷な気候となったアメリカ。軍事衛星の監視するその荒野を特別仕様車で走り、命がけで禁制のハイテク部品を闇市に運ぶ、それが“スプリンタ”だ。彼らの冒険の一部始終はヴィデオに撮られ、衛星放送で全世界に流されている。だがスプリンタのひとりスカイラーは、その裏にうごめく巨大な陰謀の存在に気づいた…。華麗なスタイルで衝撃の近未来ヴィジョンを呈示するSF問題作。
天才科学者キャル・セムザックが異星人ジャクスドローンに誘拐された。サイボーグ諜報員ローラは対策をとらぬ銀河連邦を飛びだして、単身この愛する弟の救出にむかった。ローラが身を寄せたのは宇宙海賊〈スターボウ〉。だが捜索は遅々として進まない。一方、銀河連邦とジャクスドローンの戦争のかげでは、両種族の命運を左右する陰謀がひそかに進行していたのだ。痛快スペースオペラ〈星界の猟犬〉第二部登場。
かつての宿敵トロフト星人が、人類の植民に最適といって五つの星系を推薦してきた。だが、そのうちのひとつ、惑星クァサマには排除すべき異星人がいるという。そこで人類は五つの星系にコブラ部隊員と通常人との混成調査団を派遣する。調査団が惑星クァサマで見いだした驚愕の事実とは…?体内にコンピュータはもちろんのこと、レーザー・ガンや各種兵器を組みこんだ超戦士コブラたちの戦いを描く傑作アクションSF。
宿敵ザンドラマスを追跡中のガリオン一行は、東方諸国の皇帝ザカーズの歓待を受けた。だが、その実情は体のよい囚われ人にすぎなかった。世界制覇を目ろむザカーズは、〈西方の大君主〉ガリオンの旅の真意を知りたかったのだ。足止めを食うこと数日、ガリオンの妻セ・ネドラの様子がしだいにおかしくなりだした。たんなるヒステリーかと思われたが、意外にもセ・ネドラはザンドラマスに精神を乗っとられていたのだ…。
天才鍵盤奏者モルト博士は、友人アール・デコ氏の発明した次元移行機で、オルガンの音色が政治を左右する鍵盤帝国に紛れこんでしまう…時の権力者ドップラー総帥を向こうにまわしてのモルト博士の活躍を描いた「鍵盤帝国の劇襲」、音楽業界内に渦巻く怨念なのか?正体不明・神出鬼没の男に翻弄される人々の姿を描いた書き下ろし短篇「わらし’90」など、ミュージシャンである著者ならではの感性が光る七短篇を収録。
デモイン帝国の追及は熾烈をきわめ、ラドゥ王国軍は苦難の逃避行を強いられていた。そしてついにタリオン以外の全員が帝国側に捕えられてしまう。帝国の大軍の集結する大君の城塞へと単身潜入したタリオンは、思わぬ味方を得て王国軍の救出に成功、かねてより計画していた西方への脱出をはかる。それは船で海を渡り西方へ行くというものだった。だが、ゆくてには毒虫飛び交い、怒涛逆巻く魔の海峡が待ち受けていた…。
ならず者に乱暴されかけた義姉を救ったがために殺された。ジョーダーシュ家の三男トマス。フィルム編集者の姉グレーチェンと実業家の兄ルードルフは、トマスの一人息子ウェズリーの将来を案じるのだが、父を殺した男への復讐を誓うウェズリーは、みずから父の歩んだ不幸な生き方をたどるかのように、ひとり旅立っていく…。苦悩、暴力、愛、情が横溢する壮大な物語世界を展開する“短篇の名手”の、もうひとつの魅力。
伯母グレーチェンがみずから監督した映画に抜擢され、俳優として華々しくデビューを飾ったウェズリー。実父トマスの過去に追い求め、その真の姿を知るにつれ、彼は自分自身の生き方をも見出していのだが、父の生命の奪った男への復讐心は、静かに、だが〓@57F6然と心の底で燃え続けていた…。人気作家ショーが、文学とエンタテインメントの魅力を融合させた名篇『富めるもの貧しきもの』の感動の世界を今ここに甦らせる!
ペレストロイカが進むソ連で、対外秘密工作を司るKGB第13局が解体されることになった。だが、これに不満を抱く保守派が、第13局の責任者になっていた世紀のスパイ、キム・フィルビーと共に、アメリカを大混乱に陥れる作戦を開始する。そんな折り、ロンドンの米国大使館にKGBの高官が亡命を申し出た。彼からソ連の陰謀を知らされた米政府首脳部は、特殊部隊員デランに密命を下すが…。策謀が交錯する本格スパイ小説。
海上保険業者のボディガードを依頼されたカードは取引場所のフランスの田舎町に乗り込んだ。ところが一発の銃声が黄昏の静寂を引き裂き、カードの眼前で依頼人は事切れた。取引の目的は何だったのか?このまま引き下がってはプロとしての意地が許さない。次次と襲いかかる死の罠をくぐり抜け、謎の狙撃者を追う彼が暴き出した真相とは?パリ、ロンドンそして北欧の大自然を舞台に繰り広げられる巨匠会心の冒険小説。
閑静な住宅街に警官の悲鳴が轟いた。彼が目にしたものは、子どもの腐乱死体と半狂乱の母親の姿だったのだ。警察は母親を逮捕したが、実は彼女も頭に傷を受けており、昏眠状態に陥ってしまう。彼女が妊娠していた事実をつかんだ郡検事事務所のピンチョン捜査官は新聞記者のアンナとともに事件の核心に迫るが…。難事件に挑む頑固者の捜査官の後ろ姿を情感豊かに描くアメリカン・ミステリ賞最優秀警察捜査小説賞受賞の傑作。
西暦2130年に、忽然と太陽系に現われた謎の飛行物体。ラーマと名づけられたこの物体は金属製で、長さ50キロ、直径40キロ、自転周期4分の巨大な円筒型の宇宙船ということが判明した。しかし、異星人の構築物は人類の理解をはるかに超え、正体の解明に至らぬままラーマは太陽系を去っていった。そして70年後の2200年、第二のラーマが太陽系に姿を現わした。SF史上に燦然と輝くアーサー・C・クラークの名作『宇宙のランデヴー』で解明されぬまま残された謎に、地球人類がふたたび挑戦する、ファン待望の続篇。