1991年3月1日発売
月曜日、イングランドでも有数の大邸宅で、一週間にわたる狩猟パーティーが始まろうとしていた。そんな矢先、招待客の一人の女優が、突然食卓に突っ伏し、息絶えた。しかも火曜日にはさらなる死体が飛び出し、そしてそのあとにも…館の女主人に招かれていたわれがパーティ殿下は、ここぞとばかりに名探偵ぶりを見せつけようとするが…。アガサ・クリスティーを思わせる設定で才人ラヴゼイが贈る殿下シリーズ第2弾。
看護婦養成所ナイチンゲール・ハウスで、胃に栄養剤を送りこむ実習訓練中、患者役の看護学生が突然苦しみだし、息絶えた。数日後今度は別の学生が毒入りウイスキーを飲んで変死を遂げた。捜査を開始したダルグリッシュ警視は、所内の複雑な人間関係の襞に分けいっていく…。白衣の天使の殿堂に渦巻く醜悪な愛憎関係を重厚な筆致で描き出し、英国推理作家協会賞シルヴァー・ダガー賞を受賞したミステリの新女王の代表傑作。
シスターズ・イン・クライムー金庫破りの尼僧たちの話?それとも横領の才に恵まれた娘たちの話?そうではない。これはミステリやサスペンスをものするアメリカの才能豊かな女性たちが特別に書き下ろしたアンソロジーた。60年代以降の男女の生き方の変化を反映し、また優れたミステリは優れた小説でなければならないとの時代の要請にも答えようとしている。テーマを定めず、現代短篇の精華を結集した画期的作品集。
ワシントン州の国立公園の大森林で人骨の一部が発見された。ギデオン・オリヴァー教授の鑑定から骨は6年前に殺された男のものと判明する。が、なんと殺人の凶器は一万年前に絶滅したはずの種族が使っていた槍だった。伝説の猿人が本当に森の奥深くを徘徊しているのか…?一片の骨から縦横無尽の推理を繰り出すスケルトン探偵が真骨頂を示す初期代表作。
ハリウッド一の人気女優ジル・ジョイスが、TVシリーズ番組「フィフティ・ミニッッ」のロケでボストンにやって来た。ところが彼女は匿名者からの脅迫をうけ、ドル箱スターの身を案じたスタッフたちはスペンサーに身辺警護の依頼をしてきた。男好きで気難しく、いつも酔ってばかりいる彼女はスペンサーに変な関心を示しこそすれ、調査そのものには非協力的。脅迫の真相を探るうえで必要な情報をなかなか教えてくれない。そのうち身代わり殺人事件が起こり、事態は緊迫の度を増していく。したい放題のセクシーな美人女優のわがままに手をやきながらも、スペンサーはスーザン、ホークの手助けをえて、なんとしても脅迫者の正体を突きとめようと、女優の生まれ育った西海岸まで飛ぶが…。華やかなショウ・ビジネス界の裏で起こる悪夢のような事件に立ち向かう私立探偵スペンサー。人気シリーズ第17弾。
スターク・トンプソンがキティ・ゴールドマークとパーティで初めて会った時、これが運命の出会いになるとは夢にも思わなかった。名家出身のウォール街の弁護士と、成り上がりの美しい未亡人。だが数週間後、キティはスタークの勤める法律事務所に現れ、夫の遺産の運用を彼に依頼した。と同時に、二人のめくるめく情事も始まった。自ら事業を手がけるキティは、金に対して飽くなき欲望を抱いていた。彼女がもたらす謎のインサイダー情報をもとに、二人はひそかに莫大な利益を上げていった。しかし、ついに二人に危機が訪れた。あるインサイダー取引に捜査当局が目をつけたのだ。司法の手が伸びてくるのは時間の問題だった。80年代の狂乱のウォール街を舞台に、危険な恋と息づまるマネー・ウォーズを描くサスペンス長篇。
雷鳴とともに現れ、刹那のうちに人を噛み裂く謎の殺戮者-。北海道・大雪山連峰で起きた大量殺人事件は、同地に予定されていた宇宙飛行士訓練センターの建設をついに挫折に追い込んだ。ただ一人、犯人らしき“怪物”と対峙したルポライターの美神佳鷹は、その正体を追い、長野へと向かう。一方、秋田県境の白神山地ではマタギ十数人が殺害される事件が起きていた。その傷痕は、犯人が大雪山の事件と同一であることを物語っていた。犯人の目的は何か。そして事件のある所必ず現れる謎の男、木貂雷介の正体とは…。
1990年8月18日。セキュリティ・コマンドーの山谷剛は、イラクのバスラに潜入した。イラク軍に捕われている英国謀報部員を救出するためだ。見事、作戦は成功したが、その代償は高くついた。山谷は、効き腕である右腕前部を失ってしまったのだ。失意の山谷は故郷の秋田県阿仁に帰り、マタギとなるべく左撃ちの訓練にあけくれているとき、昔馴染みの警察庁公安部次長の相羽から困難な事件処理をもちかけられる。事件が公になれば日本の土台が崩壊するという内容だった…。期待の大型新人の鮮烈なハードロマン。
深夜、リサーチ会社に勤める磯見史郎のもとに一本の電話がかかった。郷里・奥越高原のQ市で一軒宿を営む、高校時代の友人・岩井純一からだった。「ある調査を頼みたい」と告げた後、電話は不意に切れた。翌朝、史郎は、岩井が事故死したとの報を受ける。彼の岩が野山荘は、リゾート開発のため、ダムの水没地域に指定されていた。開発利権をめぐる市長と業者の黒い噂を探っていた岩井は、重大な秘密をつかんでいた。10年ぶりに故郷に飛んだ史郎を待ち受けていたものは…。俊英が描く迫真のスーパー・サスペンス。
神々との戦いのさなか、何者かによって火星から石炭紀の地球の転送されたハイパー・マグドナルドにも、ようやく事態の推移が理解されてきた。全ては人類の地球脱出にむけて、世界頭脳が周到に用意した計画の一環だったのだ。ハイパーもまた遺伝子操作を受けて誕生し、敗色濃い地球人を、神々の専制から救う任務を帯びていた。世界頭脳が描く未来世紀の方舟計画とは?スペース・オペラ巨篇。
音楽教師・杉山博之が変死した。杉山が勤務する音楽教室の主宰者・高川伸男は、事件の真相追及を探偵・浅見光彦に依頼する。浅見は、杉山の祖母サキが恐山のイタコであり、「博之は北から来る何かによって殺される」と予言していたことを知る。だが、高川もまた不審な死を遂げてしまう。杉山と高川のかつての教え子・藤波紹子の協力を得て、サキの不可思議な言葉を追い、浅見は北へと旅立つが…。本格長篇推理。
紀州の山間にある城の内村の長老格・一ノ瀬大蔵が惨殺された。息子の大地は、ある致命的な宿命を守るため、父・大蔵の首を切り落として持ち帰る。目撃者の証言から犯人は黒衣の山伏姿の集団であることが判明するが、村の長老格の人物が相次いで殺害されてしまう。犯人を追い始めた大地は、事件が1300年に亙る怨念に起因していることを知り、さらに同族組織の内部にも裏切り者が存在することを漠然と掴み取るー。