1991年3月1日発売
タッカー・ルーミス。熱い野心をもつディベロッパー。ウェストベイの街じゅうが一目おくハードで危険な男。リスクが大きく誰もが尻込みした土地を、高級住宅地に変え、大立者のひとりとなった。そのルーミスの次の狙いはバーナード島。だが、自然保護のため、島は国立公園に指定された。事態を思わぬ方向へ動き出す。地元の不動産業者ウェイド・ローリーは、自分たちが不正な陰謀に巻き込まれていることに気づくが、危機はもう忍びよってきていた…。水と緑と自然豊かな南部の街を舞台に、開発を巡って対立する男たちの欲望。米国ミステリ界の巨匠マクドナルドが、90年代のキーワード「環境」を先取りし、大胆な構想で描いた遺作。
ドイツ空軍のヘルマン・ゴルトシュタイン軍曹は、腕ききのパイロットだった。彼は16機を撃墜した者に与えられる〈ブルー・マックス勲章〉をめざし、愛機フォッカーを駆って次々に敵機を葬っていった。しかし、16機を撃墜した彼に勲章は与えられなかった。ヘルマンがユダヤ人だからというのがその理由だった…。間もなく第1次大戦は終り、彼はドイツをあとに、アメリカに旅立つ。
アメリカに渡ったヘルマン・ゴルトシュタインは、ハーマン・ゴールドと名を変え、曲技飛行隊に入って活躍した。だが、野望を抱く彼は、メキシコからの酒の密輸で元手を稼ぎ、航空郵便事業を始める。ハーマンは順調に事業を伸ばし、ついには航空機の製造に乗り出していく…。航空機産業がまだ離陸したばかりのアメリカを舞台に、ひとりの男の大空に賭ける夢と情熱を描き大河小説。
1956年4月、ソ連共産党第一書記ニキタ・フルシチョフは初の英国訪問を実現しようとしていた。しかし英国側警備責任者に任じられたクリストファー・クレイトンとジャマイマ・ジェームスの前に、恐ろしい事実が明らかになった。白系ロシア人による暗殺計画が着々と進行しているのだ。フルシチョフを殺させるな!必死の警備作戦が始まった。忠実に基づく迫真のサスペンス長編。
フランスの田舎町の、ある一軒家の地下室で、赤ん坊の白骨体が見つかった。住んでいるのはまだ若い、その町の町長の息子ピアンセ夫妻。片足を引きずりながら、硬骨漢のデブール警部が地道な捜査に打ち込むが、精神のバランスを失いつつあるピアンセ夫人への脅迫も始まって…。スピード感あふれる独特の文体で描かれた心理サスペンス。第一回パトリシア・ハイスミス賞受賞作。
ボストンの老舗の紅茶会社テンプルトン・ティー社。その女社長ミネルバ・テンプルトンの80歳の誕生日に、16年前、従兄のトラビスとの結婚を反対され、喧嘩別れ同然にミネルバのもとを去っていった孫娘のデリラが帰ってきた。引退するミネルバの後継者の座を目指し、かつて愛しあっていたトラビスとデリラは激しく競いあう。ボストンの名門一家を舞台に描く、危険な愛と野望のドラマ。
トラビスとの愛を祖母に引き裂かれ、ひとりロサンゼルスに旅立ったデリラ。彼女はハーブティーの会社を設立し、祖母譲りの経営の才能を存分に発揮して、女実業家として大成功をおさめた。夫と死に別れ、成熟した大人の女性としてボストンに戻ってきたデリラの心は、危険なかおりをふりまく昔の恋人トラビスと彼女を優しく見守る彼の弟ニックとの間で激しく揺れ動く。愛の大河ロマン。
戦国時代、守りの哲学を以て、まさに侵略されんとする国々を救援、その城を難攻不落としていった謎の集団、墨子教団。その戦術とは、そして弱点は何だったか-。「後宮小説」に続き、中国のエッセンスを息もつかせぬエンターテイメントに作り上げた、若き鬼才・酒見賢一の新・中国小説。
大統領を暗殺せよ。日米開戦前夜、日独の秘密作戦が始まった。謀略の真相を知った特殊工作員と上海社交界の舞姫・マヌエラの数奇な運命を描く迫真のノンフィクション・ノベル。
マイク・ハマーが事務所のドアを開けたとき、そこに見たものは、血まみれの秘書ヴェルダと、見知らぬ男の惨殺死体だった。男はハマーの椅子に縛りつけられたうえ、両手指を切断されていた。机の上には“俺を殺したから、お前は死ぬのだ-ペンタ”という置き手紙。だが、ハマーの身に覚えはなかった。いったいペンタとは何者か?何の目的でこんな酷いことを?愛するヴェルダを半死半生の目に遭わされ、復讐を誓うハマーは、自らを囮として捨身の調査を開始。ペンタがCIA局員を殺しており、また事務所で殺された男が元暗黒街の人間だったことをつきとめる。19年の空白を経て、探偵マイク・ハマーが甦った。巨匠スピレインが、冷酷な殺人を繰り返す暗殺者を追うハマーの壮絶な闘いを痛快に描く、ファン待望の最新作。
小生物ヒューゾリアンが酸素を供給し、人間が居住できる〈宇宙の珊瑚礁〉。冥王星軌道の外側にその星域は広がっていた。そこは巨大コンピュータ〈計画機械〉の支配から逃れた人々の楽園だ。〈機械〉に忠誠を誓う青年少佐ボイジー・ガンは密命を受け、〈宇宙の珊瑚礁〉に潜入する。〈機械〉への脅威は早急に取り除かなければならない。だが、かれがそこで見たものは、〈機械〉どころか宇宙そのものも揺るがす陰謀だった。
クローンとなって死から甦った企業傭兵スチュワール。だが、“前世”の自分が記憶を更新していなかったため、生涯最後の15年分の記憶は欠落している。なぜ死ななくてはならなかったのか?自分を殺した犯人は?謎を解明する鍵は、惑星〈冥土〉をめぐる企業抗争にあるらしい。過去の自分の足路をたどるスチュワールが、記憶の冥路の果てに見た真相とは?好評『ハードワイヤード』に続くサイバーアクション超大作登場。
辺境の惑星で古美術商を営むアレックスのもとに悲報が届いた。唯一の肉親のおじが、恒星間飛行中に死亡したのだ。遺品を調べるうち、アレックスはおじが情熱を傾けていた調査に興味をひかれた。アシュール人と人類の戦史に燦然と輝く英雄クリストファー・シムーおじはこの英雄の謎に満ちた実像を解明しようとして、志なかばに倒れたのだ。おじの遺志を継ぎ、歴史をたどる銀河の旅に出発したアレックスだったが…?
銀河英雄の伝説のヴェールをはぐアレックの旅は、開幕から不吉な様相を帯びてきた。おじが調査結果のいっさいを記録していたファイルが、何者かに盗まれてしまったのである。だれが、なんの目的で盗んだのか?おじは何を見つけようとしていたのか?見えざる敵の妨害に悩まされながらも、アレックスは厚い時間の壁にはばまれた歴史の謎に果敢に挑んでいく。新鋭マクデヴィットが雄渾の筆致で放つ宇宙SF決定版。
疫病騒動に乗じて、まんまと東方諸国の皇帝ザカーズの宮殿から脱出したガリオン一行。かれらは、アシャバの〈トラクの家〉をめざして先を急いだ。ポルガラによれば、宿敵ザンドラマスは、その地で何かを捜しているらしい。果して、それは何か?少なくともガリオンたちにとって、つごうの悪いものであることはたしかだ。となれば一刻の猶予もままならぬ。だが、ガリオンたちの行手には、恐るべき悪魔が待ち受けていた。
憧れの地球連邦宇宙軍に海兵隊員として入隊したシン・ムナカタ。だが、弱冠19歳のムナカタの初陣は悲惨だった。火星のポイントに偵察訓練に出た小隊は正体不明の敵の攻撃を受け、ムナカタ以外全滅してしまったのだ。ただ一人生き残ったムナカタ、その生還は絶望的と思われたが…謎の敵・エリミネーターの正体を追うムナカタと、彼を支える宇宙最大の民間総合危機管理請負業者〈ホーリー・スォード〉の活躍を描く。
新館〈ファン・ワールド〉の大オープニング祭を四日後にひかえた巨大ショッピング・センター、ヤンキー・グリーン・モールの建設現場で、何者かに仕掛けられた高性能爆薬が爆発した!ヤンキー・グリーンの保安主任ジェイコブズは爆破犯人を追うが、狡猾な犯人は壁や天井の裏側を縦横に走るパイプやシャフトの中に潜み、その影すらつかませない。超高度な保安システムの死角をついて進行してゆく、狂気の爆破計画とは?