1991年発売
現代アメリカ文学随一の実力派作家が描く「ヴェトナム以後」。「アメリカの夢」が崩れ、道を見失いかけた時代。ひたむきで、不器用にしか生きられない心優しい人びとの、孤独と不安、ひそかな願いを、深い共感をこめて描く10篇。
ファッショナブルな仕事に生きる男と女の出会い、別れ、そして再会。時の流れの中から浮び上る5つの愛のかたちを描く新鋭の連作。TOKIOで最もトレンディな街代官山を舞台に描くラヴ・ストーリー。
新天地を求めてイタリアに来て2年になる英国人モリスは、地方都市ヴェローナの語学学校で英語を教える一方、金持ちの子女相手に個人授業をやって生計を立てていた。夏になると学校は休みになるし、教え子は長期休暇で避暑に行くし、収入源を断たれてしまうモリスはどうやって夏を乗切ろうかと思いあぐねていた。そんな矢先、生徒の1人である名家の娘マッシミーナが家出して、想いを寄せるモリスのもとへ駆け込んできた。彼女の1家から交際を禁じられていたモリスは最初、無垢な17歳の少女を家に帰そうとするが、やがて奇妙な誘拐劇を思いつき、巨額の身代金を手に入れようと恋の逃避行に出るが…。英国の新鋭が放つ、香り高き傑作心理サスペンス。
モース主任警部は病院へと急ぐ救急車に横たわっていた。その朝、吐血して意識を失っているのを発見されたのだ。モースの脳裏に、自分の死亡記事がちらりとよぎった…。しかし、診断はたんなる胃潰瘍だった。長年の酒と煙草がたたったらしい。命に別状はないが、しばらく入院しなければならないという。退屈な入院生活の気晴らしに、モースはたまたま手にいれた『オックスフォード運河の殺人』をひもといた。ヴィクトリア朝時代の殺人事件を扱った研究書である。その書によると、1859年、一人旅の女性を殺した廉で二人の船員が死刑となっていた。しかし読み進むうちに、モースは著者がいくつもの重要な事実を見落としているのに気がついた。死刑になった二人は本当に有罪だったのか?モースの頭脳がめまぐるしく回転しはじめた。歴史のミステリの名作『時の娘』を髣髴とさせる設定で描く、英国推理作家協会賞ゴールド・ダガー賞受賞作。
故郷銀河から3200万光年離れた島宇宙M-87で、宇宙航行種族を求めてさまようローダンたちは、微弱なハイパー・インパルスをキャッチした。発信源をたどった《クレスト4》は、巨大赤色恒星の周回軌道上で驚くべきものを発見した。発信源は、三百隻ずつの転子状宇宙船がでたらめに接合された統計三千隻の大宇宙船団だったのだ。ローダンは発信者とコンタクトをとるため、コマンド隊員とともに転子状船に乗りこむが…。
わたしの名前はニタ。15歳になったばかりの女の子。“研究所”と呼ばれる建物で、描型エイリアンのリペルと暮らしている。リペルは外に出ちゃダメっていうし、わたし以外に人間はいないしで、毎日たいくつ。でも、リペルに入ってはいけないといわれた建物に行ってみたら、同じ年ごろの男の子がいたのだ。その子と二人でリペルを説きふせ、わたしたちは人間がいなくなった理由を調べに、研究所の外へ冒険の旅に出た…。
銀河を越えて送られてきた遺伝子情報をもとに,十肢生物ナーによって作られた人類。だが、人類をあくまで庇護しようと考えるナーと、自らの独自性を追求する人類とのあいだには、深刻な対立が生じてしまった。人類がその解決策として選んだのは、ナーに別れを告げることだった。宇宙を航行する巨大なスペース・ツリー〈イグドラシル〉に乗りこみ、自分たちの故郷、3700万光年の彼方にある地球めざして旅立つのだ…。
遥かな地球をめざす壮大な銀河間航宙の途上で人類は、二つのブラックホールが一つに融合しようとする、恐ろしい光景に遭遇した。しかもそこから発生する膨大なエネルギー流が、前方に迫ってきている。スペース・ツリー《イグドラシル》も瞬時に呑みこまれてしまうだろう。人類が助かるには、ブラックホールとブラックホールのあいだのわずかな〓@68D2間を、決死の覚悟で通りぬけるしか方法はない…。好評『創世伝説』の続篇。
トロイアの王妃は臨月を控えて悪い夢を見たー。生まれた男の子が火と燃えている夢だ。王はこれを凶とし、恐れおののいた。やがて赤子が生まれた。これまた凶兆として嫌われる男女の双子だった。結局、男の子は山奥に住む羊飼いの里子に出され、片やカッサンドラーと名付けられた女の子は王妃の手で育てられることになった。だが、それも12歳になるまでのこと。やがて彼女も里子に出された。女戦子アマゾーンのもとに。
クムの桎梏を逃れてあらたな歴史を踏み出した新生モンゴール。だが四囲の情勢は予断を許さず、クム軍はいまだモンゴールとの国境をうかがう。そして、救国の英雄イシュトヴァーンがその掃討のために派遣された。一方、イシュトヴァーンの軍師アリは、クムとの調停を順調に進め、和平はすぐさまにでも成立しそうに思われていたがー。前線からの報を待つトーラスにもたらされたのは、意外にも突然のクム軍の奇襲だった。
スコットランドの石油貯蔵基地に錨をおろしたマンモス・タンカー〈カローリア〉。ペルシャ湾から長途の旅を終え、これから積載した12万トンの原油を積下ろすのだ。だが、見る者を威圧する外観の下では、恐るべき事態が進行していたー。老朽化した船内ではさまざまなトラブルが発生、航海士のミスと偶然が積み重なり、船はまさに壮絶な死を迎えようとしていたのだ。巨大タンカーに潜む危険を克明に描く海洋サスペンス。
夜霧を引き裂く悲鳴を聞いて駆けつけたハマーが見たものは、死の苦悶に足を絡み合わせた、あられもない姿の美女の死体だった。誰かが彼女を縛り上げ、鞭で引っぱたいて殺したのだ…。調査を始めたハマーに伸びる何者かの魔手。執拗な追跡の末に浮かび上がったものは、美女を食い物にする謎の組織の存在だった。残虐な殺しの背後にひろがるどす黒い欲望にハマーの怒りが炸裂するセンセーショナルな問題作、遂に文庫化。
シカゴの金庫破りフェイブと麻薬課の捜査官ジミイー子供時代からの無二の親でありながら、二人はまったく別の道を選んだ。しかし二人は、お互い相手の仕事には干渉しないはずだった。フェイブが相棒と押し入った部屋で、無惨な女の死体と大量のコカインを目にするまでは…。クライム・ノヴェルの次代を担うと絶賛される大型新人が放つ鮮烈なデビュー作。
愛しのブルー・ベルへの想いを断ち切れないでいる無免許探偵バークのもとへ、幼なじみの女性キャンディから突然連絡が入った。10代の頃の遊び友だちだった彼女と20数年ぶりに会ったバークは、いまは超一流の売春婦となった彼女の変貌ぶりに驚く。彼女にはエルヴァイラという名の15歳になる娘がいて、目下、とある秘密教団に囚われているので救い出してほしいとバークに依頼してくる。前科27犯の私立探偵バーク、怪力の音なしマックス、メカの仕掛人モグラ、予言者プロフェット、粋なオカマのミシェル…。ニューヨークの暗黒街にその名を知られたアウトロー軍団の捨身の活躍。傑作『ブルー・ベル』でファンの心をつかんだ注目の鬼才が放つ、人気沸騰のシリーズ最新作。今回はあの恐怖の殺し屋ウェズリイが登場。