1991年発売
ライバルの淵神剛との決戦を2日後に控えて、プロレスラー因幡克彦の恋人・瑞恵がマンションから失跡した。カワヤツメを駆使し、女体を狂気に陥れる八つ目族の仕業である。八つ目族の頭領・大彫幻像は奇跡的に甦り、再度首都制圧の野望の実現のため、再起を賭けて立ち上がったのだ。スポンサーから巨額の資金を引き出して、大彫幻像は秋田の山里に巨大な要塞を構築した。カワヤツメを駆使する大彫幻像の動煽術と、その粉砕に立ち上がった芽部流星の心力波及術が、生死を賭けて最後の血の激突をする。-エロス&バイオレンスのスーパー伝奇アクションの長編傑作。
天下の大ドロボウにして正義の味方、ゴエモンが、誘拐されたゆき姫捜して、西や南の珍道中。頼りないけど憎めない相棒、えびす丸。風のような女の子忍者、やえちゃん。奇人発明家、源内さんなどなどの助けを借りて、得意の長ギセルで妖怪どもをビシバシ倒す。いったい、犯人はだれだ。
戦時中、仲間を敵軍に売ったのはだれだ?-頭部の負傷が原因で失われていた記憶が7年ぶりに戻ったとき、マーティン・シェインの胸中に軍役中の忌まわしい謎がよみがえった。裏切った可能性のある人物は3名。真犯人を突き止めてその命を奪うべく、シェインは雨と霧に煙る街で捜査を開始する。が、行手には恐るべき奸計が待ち受けていた。冒険小説の第一人者が放つ秀逸なサスペンス。
ポーランドでの商談に失敗し、失意のうちに帰国した英国人貿易商メイソンのもとに、ある朝、奇妙な客が訪れる。最近、重病で収容所から釈放された老科学者の回想録入手を依頼するものだった。脅しと法外な謝礼に目がくらんだメイソンは、冬のポーランドに飛ぶ。老教授の家でメイソンは意外な人物に出会う。同国出身で南米で活躍するノーベル賞受賞のコスカ神父だ…。メイソンとコスカに仕掛けられた悪辣な罠。猛吹雪の山中を逃げる2人に敵の魔手が迫る。
神としての決断はし易い。しかし神と人との狭間で決断することは難しい。あの英邁なる天武帝にしても、日嗣皇子の決定に過ちを犯しているのだ。そのためにどんなに犠牲になっていった者がいるか。草壁皇子と大津皇子の運命が、その決断によって分かれて行く。そんな中で、すまると昴皇子の対決は果てしなくつづいて行くのであった。
「サーレイハム・ジューダ!」邪術師シャルロが断末魔に放った一言がシオンのそして霊峰山の運命を変えていった。「法の霊士」の即位式の日、シオンはシャルロの言葉を確かめるため、懲罰士の警備をかいくぐり、首領に会うために霊峰山の奥へと進んでいった。しかし新任の「法の霊士」に見つかり、囚われる。即位の儀をけがした理由で、シオンは霊峰山始まって以来の厳しい処置“死刑”を宣告される。薬草で意識を奪われ、漆黒の神輿で処刑場に運ばれるシオンの運命は…。シリーズ完結編。
日本の黎明時代、大和の国を巡る戦を中心に、不思議な力を有する少女・美々花と、大王の血を引く青年・鷹彦が活躍する。大陸から、海の彼方から、彼らを襲う敵とは。史実と神話のはざまで、膨大な資料を駆使し、闇の中から著者がよみがえらせる遥かなる物語。古代史の裏側を探る超SF伝奇小説新シリーズ。
「テエベス百門の大都」と称えられた鴎外の教養は5歳からの漢学によって基礎を培われ、この幼学以来の漢学的素養の浩瀚が晩年の史伝の鴻筆に裨益したが、一方で鴎外は若き日から晩年に到るまで漢詩を能くした人でもあった。本書は、既にその漢詩に関する専著のある漱石に比しこれまで纏った言及の稀だった鴎外の漢詩を鑑賞評釈し、その漢学的素養と用語・師友にも及んだ初の研究書である。
一流商社部長の愛人が誘拐された。内閣調査室の捜査官・黒岩は異例の命令を受け、女の捜索に着手、犯人を突き止める一方、同じく女を追う組織暴力団の存在を察知した。内調と暴力団、相反する巨大組織が、何故一女性の行方を?任務に疑問を抱いた黒岩は命令に背き、真相解明へひとり乗り出す。暴力団から商社部長への繋がりを辿り、事件の裏に、内調によるおそるべき計画が進行していることを知って黒岩は、自らの組織に闘いを挑むことを決意するが…。長篇ハードロマン。
長女の空(そら)を川崎病で喪った愛氏と僕は流離の旅に出る。山峡へ。森の声に耳を澄ます日々…。二人に再び生きる力を与えたのは繊細な奥日光の自然だった。新しいフォト・ノベルの誕生。
蟹だらけの船。魚とりの少年。羊飼いと狩人。猫と警官。菓子泥棒。パルチザンと少女。動物たちの森-。地中海からアルプスにつらなる自然を背景に描かれた、ユーモラスで寓話的な、そしてみずみずしく爽やかな、11の珠玉の短篇。名作『まっぷたつの子爵』から、遺作『パロマー』につながる、カルヴィーノの多彩な魅力の原点をなす初期作品集。
さまざまな虚構が重層的に広がる台湾-その混沌とした現実を見据え、現実もまたひとつの仮象にすぎぬという醒めた認識に立ちながら、甘美な幻影の中国と現実の台湾の狭間に生きる人びとの生の実質を生活者と同じ目の高さで描き切る待望の短篇集。
ハルオと立人とわたし。男女3人の共同生活は、どこか奇妙でヘンに家庭っぽい…。あらかじめ壊れたところから営む現代の最も新しい人間関係を鋭く捉えた大型新人デビュー作。第9回「海燕」新人文学賞受賞作。
見果てぬ青春の夢を追って、アメリカ中西部の大学へ、そしてニューヨークへ-。’60年代の無垢と頽廃の気配がきざす風俗、新しい詩の潮流、性のパフォーマンスに賭ける日米の若者たちを描いて、アメリカと自己をみつめる連作小説。