1991年発売
山には、侵しがたい領域がある。計り地れない巨大な生命の存在に恐怖し、平伏することがある。その生命は樹に宿り、大地に潜み、動物に姿を変え、風に隠れ、水に溶けて、愚かな人間の所業を秘かに凝視している。
形勢は変わり、天子を名乗る曹操と、蜀の勢力拡大を恐れた孫権が手を結んだ。孔明、〓@70AA統、徐庶の三軍師は、関羽、張飛に守りを固めさせる。魏に攻め込むは、義兄弟の契りを結んだ趙雲、馬超。勢いに乗った劉備玄徳は、洛陽に向かい、ついに曹操の本拠地、許昌を臨む。迎え撃つは魏の精鋭、許〓@64AD、徐晃、張〓@67FE、張遼。ここに漢王朝の命運を賭けた一大決戦が繰り広げられる。三国志演義を題材にとった壮大な中国版if!幻の名著、周大荒著「反三国志演義」初の小説化。
ニューヨーク暮らしにうんざりしていたサイモン・モーリーは、九十年前に投函された青い手紙に秘められた謎を解くため〈過去〉--一八八二年のニューヨークへ旅立つ。鬼才の幻のファンタジー・ロマン。
ニューヨーク暮らしにうんざりしていたサイモン・モーリーは、九十年前に投函された青い手紙に秘められた謎を解くため〈過去〉--一八八二年のニューヨークへ旅立つ。鬼才の幻のファンタジー・ロマン。
老船長が空にしたアラク酒の壜の中にボトルシップを作るという話が突然、南の国の小さな湾に碇泊する三本マストのスクーナー船の話になってしまう…あざやかな手品のような逸品『壜(ラ・ボテリヤ)』、盗みに入られてもほうっておく邸の主人と、節度を守って盗む泥棒たちの奇妙な共棲とその破局…『優雅な泥棒たち』、夢の中の青年を探して、少女は時を超える旅に出かけた…美しいファンタジー『蒼い夢』、速度に取り憑かれた人間を笑い、秩序に取り憑かれた国家を諷刺する『生き急ぐ』『秩序の必要性』、死を待つばかりと思い定めた老人が、ひょんなことから生きる歓びを見出してしまう悲喜劇『汽車を乗り間違えて』、構想中の小説の登場人物が実際に現われてしまった…作家のイメージの発生現場を垣間見させる『トルコ人』等々、時間と空間を自由に往き来しながら、変幻自在なプリズムの光を結晶化したような現代ドイツ随一の短篇の名手、クルト・クーゼンベルクの世界。クールな透明感あふれる文体で描く、ふしぎで、おかしくて、皮肉な21篇。
大正14年12月21日、鶴見に建設予定の火力発電所の下請分担をめぐり、清水組と間組との関係が悪化。急を聞いた大阪はじめ各地の稼業人が次々と上京、ついに千人を超える男たちが激突した日本最大の喧嘩となる…。関係者の証言、資料をもとに克明に再現したノンフィクション・ノベル。
モーゼル銃数梃と猟銃数十梃がいっせいに火をふいた。砂まじりの烈風が吹きつけてくるような散弾のあらしにまじって、ヒューン、ヒュッ、と挙銃弾。白鉢巻や白襷の男たちの怒号が飛びかい、白刃が交差し、血飛沫が舞う…。千人を超える血気の男たちがくりひろげる乱闘、死闘の顛末は…。