1991年発売
ダンスこと団子翔市が、ゴールド(金田)辰巳から見せられた1枚の古文書。それには、日本に密かに渡来したソロモンの黄金の隠し場所がしるされているという。古文書の謎を解くべく集まった、ダンス、ゴールド、雪女、そして御隠居。だが、ダンスたちの同級生、小松とインテリヤクザの遠藤が、別のルートから吉祥大社に秘められた浅草黄金伝説を追う。さらには秘密結社、神聖十字軍やらJCIAまで現れて、黄金争奪大乱戦が始まる。黄金は実在するのか?そして、最後に笑う者は…?
女王ヒミコの病はますます重く、それに乗じて、強国クナの攻撃も更に激しさを増していく。皆が結束すべきこの時、ノボルとマサルは、倭を統一し、その王になるという、イヨに代わる大きな野望を胸に、東国へ、ヒムカの国へと去っていった。ただ1人、イヨの愛を得たタケルだけが留まり、彼女と邪馬台を救うために苦しい戦いを続ける。病の床で、後継者イヨの“目覚め”を必死に願うヒミコ。イヨもまた、自分の身にさし迫っているらしい大きな変化を予感し、恐れおののくのだった…。
白い砂と蒼すぎる海の中で今、危機に瀕する珊瑚礁を憂える沖縄の女。嵐に荒れる夏の終りの北の海辺にふいに現われた酒場の女。南国のホテルで白い貝を手に踊る異国の女。そしてもう二度と見ることのできない青春の日の海でつむじ風のような恋をした少女…。潮の香りとともになつかしく浮かび上がる女たちの肖像。海と風と女の忘れ得ぬ物語。
警視庁捜査4課で暴力団相手に活躍する父と元フリーのリポーターで事件大好きの母を持つぼくの名前は青野純之介。まだ1歳の赤ん坊だが、ぼくのタフガイぶりはちょっとけた違い。暴力団の幹部も「いい根性している。ヤクザにすれば大物になる」と保証するし、ぼくを誘拐した犯人は、ぼくももてあまして逃げ出す始末。1歳のベイビイを主人公にした、奇想天外なユーモア・ミステリー連作。
イギリス秘密情報局イラン担当主任マシュー・ファーニスが、ホメイニ体制下のイランに拉致された。現地工作員の情報を求める捜査官は、連日、過酷な拷問を彼に加える。一方イギリスでは、マシューが家族同様に付き合っていたイラン人青年チャーリー・エシュラクが、麻薬密輸で得た資金で武器を調達し、処刑された家族の復讐のため、単身イランへの潜入を計画していた…。
12世紀のイングランド。いつか大聖堂を建てることを夢見る建築職人トム・ビルダーは、職を求めて放浪の日々を送っている。そのころ、かつての大修道院キングズブリッジは衰退し、その大聖堂も大掛かりな修復を必要としていた。折しも教会を軽視してきた国王が逝去し、イングランドに内乱の危機が迫る。-壮麗なる大聖堂の建立をめぐり、数多の人びとが織りなす波瀾万丈の物語。
キングズブリッジ修道院長となったフィリップはトムを起用し大聖堂の再建を目指した。かつて放浪中のトムに出会ったジャックは、没落した前シャーリング伯の娘アリエナに一目で恋しながら、トムの徒弟として建築の才を開花させていく。だが、アリエナの父を捕らえシャーリングの地を得たウィリアム・ハムレイは、自領の衰亡を横目に繁栄するキングズブリッジに、焼討ちを仕掛けた。
トムの死後息子のアルフレッドが作事を引き継いだ大聖堂が脆くも崩れ去った。ウィリアムの暴挙で財産を失い困窮したアリエナは、ジャックへの愛を諦め棟梁のアルフレッドと結婚するが、彼女はすでにジャックの子を宿していた。ヨーロッパを放浪し建築の修業をしていたジャックは、新たな建築様式を身につけ、キングズブリッジへ帰還する。半世紀に及ぶ大聖堂建立物語の大団円。
江戸に流通革命をもたらすはずの大工事に、忍びよる影また影!伊豆大島の波浮に築港計画がもちあがるやいなや、幕府内部で奇怪な動きが目立つようになった。船団の針路と物流の変化をめぐって濁流のごとくぶつかりあう思惑と思惑、そして謎の剣客の暗躍。江戸、下田、伊豆大島がなす大三角形に展開する海と剣のサスペンス。
九州のさる城に囮のキリシタンが立てこもり、集まった10万余の幕府軍を巨艦が一気に叩き潰す。-ルソンの地で練られた壮大な幕府転覆計画に、豊臣の残党や、南方に取り残された侍たちが呼応する。幕府、細川藩、中国商人、イスパニア、オランダ、智恵と剣の限りを尽くし、島原の大乱が勃発した。
年上の女優ローズへの青年アレクシスの人生を狂わしてしまうような一途な恋、アレクシスの伯父ジョージ卿の落着いたムードへのローズの傾斜、二人の間に生まれた娘ジェニーのアレクシスへの幼い愛-。ローズを軸にまわるさまざまな愛の輪舞。「シャンパンに浸したペンで書いた」ような小粋なラブ・ストーリー。
こんな楽な仕事ばかりなら、探偵稼業も捨てたもんじゃない-それくらい、金持ちの家出娘エイシアを探しだすのは簡単だった。ところが、私立探偵クルーガーがエイシアを自宅に連れ帰ってみると、なんとそこでは、母親がエイシアのボーイフレンドをベッドにつれこんでいるまっ最中であった。クルーガーはショック状態のエイシアをなぐさめ、彼女の姉の家までおくっていった。だが、それで一件落着とはいかなかった。その晩、ボーイフレンドが何者かに射殺され、エイシアがふたたび姿を消したのだ。しかも、容疑はエイシアにかけられ、なぜかクルーガーも共犯者と目されていた。驚いたクルーガーは、真相を知るべく必死でエイシアをさがしまわった。だが、その努力もむなしく、こんどはエイシアの母親が射殺体となって発見された。“ドラッグさえあれば文句なし”のハイな探偵ダン・クルーガー、二転三転する殺人事件で鮮烈にデビュー。
“飢餓”をテーマに、伝統あるイギリス海洋小説にひとひねりくわえてみせたレジナルド・ヒルの『洋上の聖餐』、未亡人セーラ・ケリングの親類にあたる学者のハイペシャ・ケリング夫人が、盗まれた人形をめぐってあざやかな罠を仕掛けるシャーロット・マクラウドの『甘い罠』など、心理サスペンスからユーモアあふれる掌篇まで、バラエティにとんだ豪華短篇集。クライム・クラブ創立60周年記念。