1992年10月1日発売
「元総理、た、助けてください…」殺人現場を目撃してしまい、犯人扱いされるのを怖れる平サラリーマン、近藤俊樹。彼が助けを求めたのは元日本国内閣総理大臣・霧島幸四郎だった。「依頼」を受けて調査を開始する霧島の現在の肩書きはなんと「探偵」。ミュージシャン・タケカワユキヒデ、衝撃の作家デビュー。
草木も眼る丑三つ刻。飲んべえのお孝は、いつもながらに千鳥足のいい気分で、一人夜道を行く。暗闇に浮かぶ桜並木の向こう、ぼおっと白い光が見えた、と思うや、突然、何者かがぶつかってきたー。それが事の始まり。お孝は顔見知りの闇医者桃玄こと東方透十郎や、彼の友人で女形の橘あやめと共に、思いもかけぬ結城家のお家騒動に巻き込まれていく。透明人間が現れるわ、命が狙われるわと、もうたいへん。さあさ、うるわし、あやしの歌舞伎調大活劇、はじまり、はじまりぃーっ。
人々の欲望と苦痛を呑みこんだ街ケルベロス。この魔都で、ドレス・ガンを知らぬ者などいない。稲妻馬に跨がり、青銀の光と化して、他人の生体エネルギーを奪う美少女。だが、彼女の前に、黄金のオーラを纒った美しき魔人ベルリン・ハウザーが現れた。噂によれば、彼は黄金の精を放つという。ドレスは、ベルリンの生体エネルギーを奪うべく、彼の棲み家を急襲するが…。一方、毒を食らい、他の肉体を借りて生きる魔導師ハインドが、ドレスの魔力に目をつけ、その魔手を伸ばしていた。
刑事となった良文は、抜群の検挙率をあげた。ある夜、連続殺人事件の捜査で、少年時代の親友・幸太に会い、彼が事件に関係していることを知った。いつものように走り、獲物を追う。その結果手に入れた真実の味は?昭和35年、高度成長前夜の東京。27歳の『老いぼれ犬』高樹良文は悲しみで一杯の獣だった。
冷泉帝の実の父として公には並ぶ者なき権力の座につき、四季になぞらえた館をもつ広大な六条院には紫上、花散里、明石上、秋好中宮と愛する女人たちを配して、今や源氏の栄華は無上のものとなった。かつて愛した夕顔の忘れ形見、玉鬘の帰還。葵上との間に生れた夕霧と雲居雁の幼い恋の成就。そんな折、源氏に朱雀院の皇女三の宮が降嫁されることになり六条院の平隠な暮しに波紋が投げかけられる。