1992年3月1日発売
中国は不思議な国だ。現実がフィクションを食ってしまうほどこわい。文字通り食人の記録からはじまって、自然の恐怖、言語の怪談、政治、習俗ととりあげてゆけばきりがない。このような「現実」の記録から、SFを含む未紹介の現代文学までを新しい視点からとりあげ、従来の「中国怪談集」とはガラリと趣向を変えた画期的アンソロジー。
気鋭の女流彫刻家、スーキ・ラベットは彫刻展を開いて全米を回っている。しかし、ツアーの最終地コロラド州ベイルではハプニングの連続だった。まず、空港でスーツケースを間違えられ次には、作品の一部を壊される始末。もうこれ以上、何も起きないようにと願いながらホテルに向かった。ところが、悪いことはこれだけではなかった。ホテルのエレベータの中では、1人の魅力的な男性と一緒になるのだが…。
遥かなる砂漠への憧れ…募る思いをかなえるべく、英国貴族の娘ダイアナ・メイヨは、アフリカ大陸へと旅立った。だが、その地に足を踏み入れたとたん、キャラバン隊はアラブ人の一団に取り囲まれ、彼女の前に1人の男が立ちはだかる。アラブ人の族長、アーメッド・ベン・ハッサン-気性の激しい砂漠の男が、ダイアナの運命をその手に握ろうとしていた。1923年、ルドルフ・ヴァレンチノ主演で映画化され、全世界の女性を虜にした、愛と情熱の物語。
サビーニュ公爵は青春時代に受けた心の傷がもとで人間不信に陥り、今はパリで放蕩生活を送っている。母の公爵未亡人は独り息子の行末と公爵家の存亡を心配し、従兄のロシュシャン枢機卿に相談する。二人は公爵を結婚させようと企て枢機卿は花嫁探しに近接の城を訪ね回った。
なに不自由なく育ったシェイラ・ロジャーズは、ある日突然、すべてを失うことになった。新婚旅行の最中、メキシコ山中で山賊の一団に襲われて夫を殺され、彼らの隠れ家に連れ去られた。一団を統率するラファーガ〈風〉と呼ばれる男は、自分に女がありながらも、シェイラに野性的な情熱を抱く。けんめいに拒みつつも、シェイラはいつしかこの荒々しく力強い男に身も心を委ねたいと願うようになっていた。しかし、それもつかのま、捜索の手は刻々と迫っており、シェイラにもついに決断の時が来た。
南北戦争はブラッドフォード・メイトランドの心にも深い傷跡を残した。南部の大地主の息子でありながら、北部に生まれ育った彼は、自らの信念を貫いて北軍に加わった。しかし、婚約者のクリスタルはこれななじり、そのあげくに彼の弟のもとへと奔ったのだ。アンジェラが5年ぶりにブラッドフォードに再会した時、彼の心はすさみ切っていた。彼を追って飛び込んだ売春宿で、彼女は自分の素姓も明かさないままその身を委ねた。それが、かつて“エンジェル”と呼んだ少女であるなどとは、ブラッドフォードは知る由もなかった。
天保4年の春のことであった。身延街道の1要地たる興津川に沿う小島の猫背山下の一本松に集まった織部熊太郎ら3人の武士が、鉄拐飛介という若者に松の根方を掘らせて取り出したものは。それこそは、200年の昔、寛永10年に埋められた月海老人の白髪の木乃伊であった。織部らに無人の塔に運ばれた月海老人の木乃伊は再生した。200年の昔、駿府城より運ばれた黄金の延棒15貫の秘宝はいずこへ?その埋没場所の秘密は月海老人の木乃伊によって握られていた。秘密の継承者猿丸柳斎の娘加代の乳房に月海の手により謎の文字が隠し彫りされた。加代の乳房に迫る悪人輩の魔手。かくて、加代を助けて美男旗本宗像宗太郎の活躍は…。-手に汗を握ぎる波乱万丈の物語。
東京湾に出現した魔窟・水上区で残虐な殺人が連続し、死体はなぜか無惨に喰い荒らされていた。折しも巷では正体不明の獣人の黒い噂が流れ、住民を恐怖のどん底に陥れていた。事件の拡大を恐れた当局は、腕利きの獣人ハンター竹辺弾十郎に事件解明を命じた…。大都会の闇を跋扈する獣人の驚くべき正体とは?激化する殺戮の真相は?また“獣使い”の異名をとる弾十郎の切り札とは?若手実力派の俊英が描く、白熱のバイオレンス傑作。
有栖川組の若頭砂田が、六本木でヒットマンに狙われた。跡目相続を巡り上部団体が分裂し、血で血を洗う抗争が勃発したのだ。一方、一度は極道世界から脱け出したものの、悪の魅力と甘い汁が忘れられず、組に舞い戻った瞳と涼は、またもや事件に巻き込まれた。だが仲間を眼前で殺られたとき、何かが弾けた…。熾烈な報復合戦と背筋も凍るリンチ。2人を待つ過酷な運命は?現代ヤクザ社会に生きる若者を描いて好評のシリーズ待望の第2弾。
くどいてくるのは全共闘世代のオジサンばかり。うれしいようなさびしいような、乙女心。高田馬場は、昔も今も青春まっただなかで-。著者初のエンターテインメント・ストーリー。