1992年8月1日発売
ヘイ!わたしはチナスキー、作家になった老いぼれのアル中ギャンブラーだ。楽しいことがあると一杯、悲しいことがあると一杯、何もないと何かを起こそうとして一杯。人生とソーダのミックス、ウォツカ・セブンで、とりあえず女たちに、乾杯。ウィリアム・バロウズ、ポール・ボウルズと並んで3Bsと称され、世界中に熱狂的なファンをもつチャールズ・ブコウスキー。映画「バーフライ」では自身をモデルにして脚本を書き、ミッキー・ローク演じるアル中作家が評判をよんだ彼の自伝的小説を、音楽評論家として活躍中の訳者が本邦初紹介。
わたしは50歳。体重102キロ、猪首、短足、目は濁り、赤ら顔。肉体労働者から作家に転職したアル中男。テレビがきらい、映画館もうんざり、パーティにも作家仲間にも、ニューヨークにもビートニクにも何の関心もない、ただの酔っぱらい。そんなわたしを今日もまた、女たちが待っている。卑語俗語にみちたラディカルな愛を描きつづけ、常にアカデミックな文学シーンのアウトサイダーでありながら、世界中の若者に熱く支持されているチャールズ・ブコウスキー、遂に日本に登場。
客との文学論を商売としたコールガール組織に立ち向かう私立探偵カイザーの物語。歯科医ゴッホの芸術的苦脳を描いた『もし印象派画家が歯科医であったなら』。ウディ・アレンの手にかかれば、シェイクスピア、死海写本、心霊現象、バレエの入門書等々、すべては深遠でおかしな物語へとかわる。戯曲『神』、『死』も収録した、ウディ・アレンの第2短編集。
ニューヨークの喧噪を離れ、ペンシルバニアの片田舎で、執筆活動のかたわら夫や息子と穏やかに暮らすことを夢見たイーディス。だが、夫の伯父ジョージの突然の闖入によってその夢は脆くも崩れ去ってゆく。そんなときイーディスに残されたものは、一冊の厚い日記帳だけであった。やがて彼女は日記に描かれたもう一つの別の世界、彼女自身の幻想を生きはじめる…。
寝たきりの生活を続ける伯父ジョージと成人後も無気力でまったく働く気のない息子クリッフィー。息のつまるような現実のなかで、イーディスは次第に自らの狂気に陥ってゆく。やがて彼女は日記に記す…。「現実と夢の世界との差は、耐えられない地獄だ」。ハイスミスが現代の“狂気”を冷たく、乾いた筆致で描き切った傑作、待望の翻訳刊行。
謎の呪文を残し消えたベールゼブブ。タケルたちは妖精王の助けを借り、とびっきりのアイテムを手に悪魔の迷宮に乗り込んだ。果たしてシルリルを救えるか!異次元世界の大冒険、ドンデン返しの大団円。
島根半島の東端、美保関燈台下で美女が扼殺死体で発見された。数カ月後、殺された女性が同級生だったと知った菊地大作は、死体を遺棄したとみられる夜、燈台近くで恋人法子とともに男の恐喝にあっていたことを思い出し、その時拾った写真引き替え券から男を犯人と断定し行方を追った。だが、男はすでに殺されており、菊地も松江で刺殺されてしまう。一方、法子から菊地殺しの犯人探しを依頼された探偵の甲斐正樹は菊地のダイイングメッセージ“米子”の意味を求めて、策略と殺意の罠が待ちうける出雲路へと飛ぶ-。
卒業か留年かの瀬戸際に立つ高校生の冴木隆と、不良中年私立探偵の父・涼介。キザな二枚目・粕谷の出現によりドタバタ親子の日常はまたしても急変する。父の永遠の宿敵・粕谷を尾行中、隆は銃撃戦に巻き込まれ、どことも知れぬ町に連れ込まれる。会ったこともない母や妹に囲まれて、町に出没する殺人鬼と対決する羽目になった隆の頭は大パニック。
お陰参りの集団で混雑する伊勢神宮参道に花吹雪のようにお札が舞った。打倒水野越前の不敵な文字を記したお札をまいた一団は、雲切十兵衛ひきいる雲切五人衆であった。捕り手に追われる雲切一党の美女千里のお虎の急場の難を救ってやった若侍は、岸波又四郎であった。次の集合場所に定められた尾張名古屋城の天守閣めざして、お虎と又四郎も名古屋へと急いだ。又四郎・伊織兄弟の幼き日、大坂城の金塊を江戸へ運ぶ宰領役を命じられた岸波半兵衛こそ兄弟の父であったが、宇津谷峠で盗賊団に襲われ、半兵衛は何者かの手で行方不明となった。孤児となった又四郎を養育してくれた恩人丸目洗心斎と名古屋で再会の又四郎は?黄金の行方をめぐって波瀾万丈の物語が展開する時代長編の快作。
奇妙な首吊り死体だった。その男は口にティッシュを詰め、コマのように回転していた。新潟県警は不自然さは残るとしながらも、自殺として処理。が、ポケットから発見された〈ピタゴラスの時刻表〉と題された紙片に込められた殺人者の意図には気づかなかった。“新潟・東京・米原”の3点を結ぶ地名と時刻が記されたその紙片こそ、1年後に始まる惨劇の予告だった…。
〈大坂箱〉を譲りたいー。鎌倉で骨董屋を営む剣崎新は、亡父の知人・田村の思いがけない提案に驚いた。豊臣秀吉ゆかりの品といわれる大坂箱は、骨董蒐集家垂涎の的で、本物ならば大変な掘り出し物である。早速剣崎は、越前・武生にある田村の実家を訪ねたが、その直前、田村は何者かに殺され、箱は姿を消していた。嫌疑は剣崎に向けられ、やがて第2の殺人が…。