1992年8月1日発売
豪傑アイリーンの演技を、NYで1番有名な劇評家がけなした。アイリーンは相手の頭にパスタをぶちまけ応酬するが、仲直りの一幕もあり、騒ぎは無事収まるかに見えた。ところが、くだんの劇評家が謎の死を遂げたことから、事態は悪化の一途をたどる…。古風だけれどイキのよさでは誰にも負けない、女優ジョスリンの名推理。洒落のめした筆致で贈る、チャーミングな本格ミステリ。
初めはよくある事件に思えた。まだ若い主婦の、突然の失踪。夫が語るあれこれも中流核家族にはいかにもふさわしく感じられたが、調査を始めるや、問題の妻は5年間ひたすら偽りの人生を生きていたことが明らかに…。くされ縁の親友、運動不足の飼い猫、元亭主ー。そんな仲間に囲まれながら、忌わしい過去の悲劇に深入りしていく女探偵ジェリ。私立探偵小説コンテスト受賞作。
今年の夏は暑くなりそうだ。まだ5月の末なのに、海水温が27度もあるのだ。ここはプエルトリコの東400マイル。毎年数多くのハリケーンが誕生する場所である。この知らせを受けた若き気象予報官コナーズは、いやな予感を覚えていた。彼を取材したニューヨークの雑誌記者ジョセフィーンは、仕事に情熱を燃やす彼に強い印象を受けた。しかしそのときには、まさか彼女の家族がハリケーンの犠牲者になろうとは、夢想だにしていなかった。
ジョセフィーンの家族に地獄の苦しみを味わわせたハリケーン〈フェイス〉は、そのあと東の海に去って行くかと思われた。しかし、気象予報官コナーズは、片時も気を緩めなかった。〈フェイス〉が再び針路を西に変えないとも限らない…。そして彼の危惧は的中した。〈フェイス〉は、時速180マイルという驚異的な暴風と、高さ40フィートにもおよぶ高波を伴って、ニューヨークを直撃したのである。迫真のディザスター・ノヴェル登場。
ニューヨークのTV界を舞台にくりひろげられる、とびきり愉快で、ちょっぴり心暖まる物語。『君がそこに…』のトム・レオポルドが再びおくる、ユーモアあふれるラブ・ストーリー。
全学共闘・学費値上げ反対闘争に浮き沈みした、男1人・女2人の青春の無惨さを歌い、現実と回想で時代を刻む。キーワードは「去年マリエンバートで」。書き下ろし長編小説。
銀の美貌をもつ青年は、その第三の眼で男を見た。男は血に濡れた虎そのままに、死と硝煙の匂いの中に立っていた…。アフガンから欧州、そして氷の荒野へ、国家的謀略と欲望が渦を巻く中、青年は同じ傭兵として男の傍らにいることを選ぶ。それは彼の過去も精神も、肉体すらも贄として男に捧げる運命の序章であった…。初稿から10年、血と泥の中を這いずりながら己れの生き方を貫く人間たちを描いた花郎藤子の大作、ついに刊行。
アメリカに連れ去られた藤林響を何としてでも救いださねば!このままでは伊賀忍者の秘密だけではなく全世界が危ない。響の姉・莉花ほか、強力な超能力者の助っ人を得て、おれは敵地へ殴り込みをかけることにした。歴史の裏に潜む究極の「組織」とは。爆発的バイオレンスで、スーパー腕力小説が本領を発揮する。
ワシントン郊外の邸宅で、実業家ジョナサン・ガエイタンが血まみれの死体で発見され、自殺と断定された。しかし、捜査にあたったキャメル刑事は、実業家の妻メアリーに秘密の匂いをかぎとった。彼女は前夜、邸宅に侵入した男の存在を隠しているのだ。その殺人狂の男フィリップは近くのモーテルに身をひそめ、次々と陰惨な殺人を引き起こし、事件は意外な展開を見せてゆくー。「『サイコ』『羊たちの沈黙』の伝統を受け継ぎ、新時代を築く傑作!」と絶賛されるD・マーティンのサイコ・スリラー問題作。
後世、義経として語り継がれている人物は、実はふたりいたのではないか?ひとりは源九郎義経であり、もうひとりは伊賀の国司・山本義経。ふたりは同じ源頼朝の家人として同時期に実在している。後世の史家はこのふたりの義経を混同しているのではないか?-その研究成果をめぐる嫉妬と確執が連続殺人事件の発端となる表題作ほか、五篇を収録した傑作推理集。
父母が逃れえなかったナチの手を逃れて、イギリスに渡った二人の少年。堅い絆で結ばれた彼らは、異国での辛苦を乗りこえ、共同事業の成功と、似合いの伴侶、美しい子どもたちに恵まれる。だが、人生の秋を迎えてもなお、一切と別れねばならなかった過去が、身を切るような孤独となって二人を苛む。ひとは、過去からは逃れられないのか-。刊行されるや、たちまち最高傑作と絶賛を博した、ブルックナーの新境地を示す作品。
19世紀末のロンドンで起こった売春婦5人の連続殺人。その手口の残虐さで、現代に語り継がれる『切り裂きジャック』事件を、著者現地取材により緻密に再現した猟奇のセミ・ドキュメント・ノベル幽界版ロンドン・ガイド同時収録。
名門私立高校に赴任した女教師、摩矢子。教え子である理事長の甥に犯され、甥の奴隷と化した美少女たちとともに性の虜になってしまう。一方、本来好色な理事長自身も、部下とともに摩矢子をモノにしようと企てるのだが、すでに甥の手に落ちていたことを知り激怒。対抗意識に燃えた理事長はSMプレイで性の実力を誇示するのだが…。
今まで現実だと信じていたものが突然得体の知れないものへと変じ、日常生活に亀裂が生じたとき人は恐怖のどん底へ突き落される。本書を読む者は、割れ鏡に映じた己れの姿を前にして目まいを憶えるように、不気味な幻想の世界へと誘われていくであろう。ハリウッドの老女優にまつわる奇妙な物語「影の商人」、日記に残されたサイコ・スリラー「焔の湖での自己洞察」、ボードレールへの猥雑なオマージュ「J」、グロテスクな御伽噺「お妃の死」他、短篇全10篇を収録。
静謐な病院内で、院長に迫られる美しき未亡人女医・冴子。白衣の下に息づく豊かな双丘が剥かれ、恥ずかしい下半身がさらされる。夕暮れの医務室で、深夜のレントゲン室で、たてつづけに犯され、嬲られ、やがて、濡れて光る女医の秘唇…。凄艶な腰が、剛直を追いかけるように激しく揺れ、忘れかけていた肉の悦びが、剛子の体に甦った。