1992年8月発売
眩く光り輝いて見えた過ぎ去りし日の夏の記憶。海は永遠にうねり、夏は決して終ることはなかった…。海と海辺に生活する人々と動物たちに限りない親近感を寄せて流れるように綴った掌篇小説群と散文詩。
現代(いま)からおよそ2000年前、孤独なユダヤ娘から産み落された不具の父なし子で超常者の青年が、自らの意志で十字架にかかり処刑された。-その青年の名はイエス・キリスト。キリストの劇的な生涯を個性的に描き切る本格長篇小説。
おれの名は楠木重来。仲間のカイスケ、タクロー同様しがないアトラク屋だ。ところがひょんなことからおれたち3人組は異世界ヤロフに来ちまった。ラウーン王国の王女シェリカ姫を救うため、おれたち3人は立ち上がった。いくぜカイスケ、タクロー!悪党どもをぶちのめせ。
『夢の国の住人』と呼ばれる小指麻人と力武努は新宿の「E.C」という店でホストをしている21歳。この3年で今の仕事もすっかり板につき、いいコンビを組んで仕事は順調と思っていたら…。え?ウソッ!麻人が店をやめるって?そこでハタと努は気付いた。一体、麻人って自分にとってどんな友人だったわけ?
「俺は永遠に生き続けるんだ…」強迫観念的に〈永遠の生命〉を希求する男、ハートは、幻の「マヤの書」から死と恐怖の秘密を探り出し、巧妙な情報操作によって全生命の支配と管理を企むが…。古代マヤから現代へ、時空を遥かに超える場面転換、極彩食の幻覚が織りなす万華鏡世界-。バロウズ特有の技法を駆使しながら黙示録的結末へと展開する表題作ほか、ロバート・F・ゲイルのユニークなイラストを含む「言霊の書」、カットアップをはじめとするバロウズ理論の解説書「電子革命」の2編を併録。
「人間五十年。天下のうちをくらぶれば、夢まぼろしのごとくなり」と、乱世を疾駆した織田信長。その夢と理想を受け継ぎ天下を統一した豊臣秀吉。そして盤石の幕府組織の確立に取り組み、手にした天下を末永く子孫に伝えた徳川家康。「時代小説の仕掛人」がリレー式に、天下統一をなしとげた三代の英傑の戦いと統治の構図を克明に描き、等身大の視点で生き生きと彼らの人間像に迫る。池波正太郎作品唯一の絶版長編、待望の文庫化。
奇術とミステリーのみごとなドッキング。これは、推理作家にして秀れたアマチュア・マジシャンでもある著者にして初めて可能な技である。探偵役として登場するは、美貌の奇術師・曽我佳城。魔術の舞台はさながらに次々に発生する魔訶不思議な難事件を、鮮やかに解決する、異色の傑作推理短編集。
これは現職の弁護士が書いた裁判小説である。被告人は無実なのに、殺人で起訴される。状況はすこぶる悪い。疑わしきは被告人の利益に判断するというのが刑事裁判の鉄則。だが、わが国の現実の法廷では不利益にしか作用しない。主人公の弁護士はこの八方ふさがりの中でどうやって真相に迫るのか。