1993年1月発売
秘密工作員ハイドは謎の撃墜事件と、もう一つの旅客機墜落事故との関連に気づいた。陰謀の首謀者の手は、各国上層部にまで伸び、英情報組織の長オーブリーも完全に封じ込まれてしまった。彼の姪キャスリンは、罠にかかってFBIから追われる身だ。真相に近づいたハイドを守れるのは、今や彼自身のみ。心身を極限まで酷使するハイドの凄絶な孤軍奮闘ぶりを描く、冒険小説の決定版。
映画撮影中の事故で失明したハリウッドの元音響技師ハーレック。彼の姪のジェイニイが、何者かに誘拐された。彼女はどこにいるのか?犯人からの電話の背後には、電車のブレーキ音や風鈴の音や音楽がかすかに聞こえる。犯人の居場所をたどる唯一の手がかりは、この背後の音のみ。鋭敏な聴覚だけを頼りに、ハーレックが誘拐犯に迫る。シカゴを舞台に展開する異色犯罪ミステリー。
恐るべき新麻薬クラックの急激な蔓延、竜崎軍団の血みどろの戦いははてしなく続く。日本進出をねらう麻薬密売組織は手を替え品を替えて、新たな思いがけない手段を駆使して挑んでくる。-深夜の銀行襲撃、軍団長の母堂誘拐、警察寮の爆破、庁内襲撃と、その荒っぽい手口にはこれまでとは違うものがある。そして、この二、三カ月の間に各地に急造された小規模だが多数の奇妙な薬品倉庫群には新たな巨大な力がバックに…。一方、政界乗っ取りを企む右翼の大物の名が浮かび上がった。万一、両者の目的がどこかで一致したらどうなるか。情況証拠は充分過ぎるほどだが、陰謀のしっぽを出さない。-“やられる前にやれ”軍団一流の無鉄砲なぶったたき作戦を猛者たちが展開する。
東南アジアの一国で起きたクーデターの余波が日本にも及んできた。反クーデター派が東京に臨時政府を樹立したのだ。ところでクーデター派、臨時政府の双方が狙っているのが日本にいるその国の王女さま。だが彼女をガードしているのがマザコンのフリーターというのだから心配だ…。
エレナ松本(22)。日系ブラジル人留学生。エキゾチックな美貌と抜群のプロポーションの持ち主。敬虔なクリスチャン。田上麻衣(25)。劇団『六曜座』所属。劇団公演『屋根裏のジェスティーヌ』に主演が決まった新進女優。大磯海岸で遺体が発見されたエレナ、自宅マンションから落下死亡した麻衣。同時期の“事件”だが、生前の2人は何の関係もない。エレナの恋人と妹、麻衣の友人たちが、別途に「不審な死」の真相を探ろうと、行動を開始する。しかし、行く先々で得体の知れない“邪悪なパワー”にさいなまれて…。
一文字郁良は名前通りのしがないフリーライターだが、全国規模の警備保障会社に頼まれて各支店の体験譚を取材すべく北は北海道から南は九州までの行脚に出かける。自転車チェイス、パンティ泥棒、糞尿譚…。さすが話題には事欠かないが、あにはからんや一文字じしんが政・財・官の結託する大陰謀に巻き込まれる。東京B・B計画-。そこには怪しげな対祖や女性も登場して…。
娘の名はクリーオウ、自称22歳。とある風の強い午後、スメドラー法律事務所を訪れた被女は、謎めいた台詞を残して帰途についた。そして数日後、ひとつの報せがもたらされる。娘が失踪した、という。捜索に駆り出されたアラゴンだったが、澱んだ池に投じられたこの一石は、人々のあいだに意外な波紋を描き出していく…。心に弱点を負った男女の軌跡を辿る、異色のサスペンス。
5月。くつろいでいたウェルズのもとに、情報提供を申し出る一本の電話が入った。出向いた彼を待っていたのは、悪徳警官として知られるワッツ警部補が、以前組織の制裁殺人に手を貸したことがある、という情報。ウェルズは勇んで取材を開始したが、その矢先、謎の暴漢に襲われ、逆に相手を殺す仕儀となってしまう。正義を求めてさまよう敏腕記者の苦悩。サスペンス溢れる第4弾。
一番小さくあれば大きくもある、そのうえ、けっして抜けだしえない、〈心〉という迷宮。この迷宮から抜けだそうとする主人公の旅の行方は?ポレミックな美術批評を展開しつつ、文学においても特異な世界を創造した、急逝惜しまれるマルタ・トラーバの傑作。
遥かな未来。惑星国家カムルーの王子ニキの運命は、ある日大きく一転した。わずか数時間のうちに愛する家族をことごとく惨殺され、みずからも命を狙われる身となったのだ。政権奪取を狙う銀河の一大勢力〈調和連盟〉の陰謀だった。単身カムルーを脱出したニキは特殊手術を受け、宇宙船の電子回路と神経を直結させたゲシュタルト・パイロットとして生まれかわるのだが…?新鋭がはなつニュー・スペースオペラの快作。
稀代の天才歌手ハリスの依頼を受けて、ニキは惑星ラミアに急行した。ラミアはもっか調和連盟の監視下にあり、外部の者の出入りはおろか交信すら禁じられ、住民は餓死の危険にさらされている。待ち受ける連盟艦隊をうちやぶり、ラミアの封鎖を解除するのだ。だがその間にも、ゲシュタルトに必須のドラッグの作用で、ニキの体は着実に蝕れつつあった。迫りくる死の予感に怯えながら果敢に仇敵に立ち向かう彼の運命は?
1999年。世紀末アメリカ。衰えた国力は回復しようもなく、国民は耐乏生活を強いられていた。貧困と麻薬と伝染病がひろがり、人々の不安を食い物にする新興宗教がはびこっている。その不安をあおるように、アメリカ各地でUFOの目撃例が急増、人間そっくりの謎の存在が超自然的事件を引き起こしていた。巨大ネットワーク局の記者ジョージはこの事件に注目して取材を開始したが、やがて恐るべき確信を抱くようになった。
なんとしても異星人の存在をあばき、地球侵略を未然に防がなくてはならないー。ジョージはそう確信した。千年王国到来を訴えるテレビ伝道師ギルレイもまた、異星人来訪を確信していた。西暦2000年の訪れと同時に、キリストを司令官とする宇宙船が降臨、最後の審判が始まるというのだ。多彩な人物が狂気のドラマを織りなすあいだにも、新千年紀は刻々と近づいていた。悪意と哄笑と風刺に満ちた、米SF界俊英の野心作。
ジョン・トムはエレキギターが趣味の大学生。ある夜マリファナでトリップしていたはずが、ふと気づくと、ロビン・フッドそっくりの格好をして言葉を話す動物たちが暮らす世界へと転移していた。その世界の魔法使いのカメが、迫りくる悪を一掃するためにジョン・トムを呼び寄せたのだ。動物たちをお供に連れ、ギターを魔法の楽器に持ちかえて、ジョン・トムの大冒険が始まった。-抱腹絶倒の傑作ユーモア・シリーズ開幕。
ノルマンディ上陸作戦前夜、Dデイの最高機密を握る連合軍将校が演習中に行方不明となった。やがて、彼がナチ占領下のジヤージイ島に漂着したことが判明した。機密漏洩を恐れる連合軍首脳部は、英国陸軍大佐マーティノゥと島出身の女性セアラを救出に差し向ける。だが、身分を偽装して島へ潜入した二人を待っていたのは、驚くべき謀略を心に秘めた“砂漠の狐”ロンメル元帥との出会いだった。著者会心の戦争冒険小説。