1993年1月発売
うだるような暑さのなか、住民はまんじりともしない不安な一夜を過ごしていた。閑静な住宅街に押し入って銃を奪った3人組が、駆けつけた警官を射殺して逃走したのだ。賊は現金には手をつけておらず、銃器だけが狙いのようだった。捜査を始めたピンチョン捜査官は、事件にからむテロ組織の存在を知るが…。東部の田舎町を舞台に、頑固者の中年捜査官が凶悪な敵を相手に獅子奮迅の活躍をみせる、人気沸騰のシリーズ最新作。
その女は死んだはずだった。ススキノのバーで飲んでいた〈俺〉に電話で奇妙な依頼をしてきた女は、コンドウキョウコと名のった。依頼を果たしたあと何者かに殺されそうになった〈俺〉は、関西の暴力団につながる右翼団体がからむといわれる地上げ放火で、近藤京子という女が殺されていたことを知る。一体電話の女の正体は…。札幌の街を酔いどれ探偵が行く、クセになる面白さの軽快ハードボイルド。
ニューヨークに本店をもつ高級宝石店の創立者、ルイス・スターレットが、ある夜、何者かに刺殺された。300万ドルの保険金が掛けられていたため、保険会社は調査員ドーラを派遣する。スターレット家を訪れた彼女が見たものは、同家に取り入る怪しげな男女。しかも宝石店では、謎の金地金取引が行なわれていた。マンハッタンの富豪一家に何が起きているのか?色と欲のベストセラー・サスペンス。
「あなたはダニューヴ川から生まれた空の妖精にちがいない…」。その言葉が、心を躍らせるハンガリーの旅の始まりだった。社交界デビューを控えた18歳のアリサは、父のバクリントン伯爵から、貴族の娘は結婚相手を愛情では選べないと言われ、ショックを受けて衝動的に家を抜け出したのだ。旅先で初めて出会ったハンガリーの男性の面影はアリサの心に深く刻みつけられた。
1863年、南北戦争のさなかのアメリカ。南部の由緒正しき家に生まれたアライナは、17歳にしてこの世の地獄をすべて見尽くしたかのようだった。戦禍で両親と兄を亡くしたばかりか、スパイの烙印を押され、北軍に猛獣狩りさながらに追われる身となってしまったのだ。彼女は愛する故郷バトン・ルージュに別れを告げ、少年の姿に身を変えて伯父の住むニューオーリンズへと向かう-。さらに苛酷な試練が待っているとも知らずに。港に着いたとたん新たな苦境に陥ったアライナを浮浪少年と信じて救ったのは、憎むべきヤンキーの大尉コール・ラティマーだった…。南北戦争を背景に、喜び、悲しみ、そして愛を壮大に描く、ウッディウィスの大河長編。